針金で、布団ばさみを作ろう
「針金も、残り数本か……」
私は残った針金を眺める。
洗濯ばさみ。泡立て器。
思ったより使ったな。
「泡立て器に、かなり使っちゃったからなぁ」
残りは、本当に数本。
「何に使おうかしら?」
せっかく鍛冶屋さんから貰った物だ。
無駄にはしたくない。
「…………」
私は少し考える。
そして――。
「あっ!」
思いついた。
「待てよ?」
洗濯ばさみ。服を干すときに使う。
だったら……。
「布団ばさみもあった方が便利よね?」
布団を干す。大きくて重い。
風が吹けば、落ちることもある。
「これを挟んでおければ……」
便利だ。洗濯ばさみよりも、大きくて強い物が必要になる。
そして重要なのは――。
「バネよね」
洗濯ばさみの時と同じように、バネで挟む力を作ればいい。
「残った針金を……」
私は細い棒を一本用意する。
そして、その棒に針金を巻きつけていく。
くるくる。くるくる。
「これで……」
針金が螺旋状になった。
「バネ!」
少し伸ばしてみて、戻る。
「うん。これなら使えそう」
あとは、挟む部分。
大きな木の部品が必要になる。
「…………」
私は考える。
「これは、お兄様でも作るのはしんどそうだな」
洗濯ばさみより、かなり大きい。
しかも、丈夫に作らないといけない。
「なら……」
私はバネを外す。
「バネだけ作っておこう」
そして、紙……ではなく、いつもの木板を取り出す。布団ばさみの絵を描く。
どこにバネを取り付けるのか。
どこを握るのか。どこで布団を挟むのか。
「使い方も書いて……」
これなら職人さんにも伝わるだろう。
「よし!」
バネと木板をまとめる。
「お父様に渡して、職人さんに作ってもらおう!」
また私が鍛冶屋へ行く必要もない。
これまでと同じに、私が考える。
絵を描き、使い方を書く。
そして――大人に任せる。
「うん。これでいい!」
残った針金も、無駄にならずに済んだ。
あとは職人さん次第。
「上手く作ってくれるかな?」
私は完成した布団ばさみを想像しながら、木板とバネをお父様の机へ置いた。
針金から始まった生活用品作り。
どうやら、まだまだ使い道はありそうだった。




