リヒトさんへの便利な贈り物
さて。次々!
洗濯ばさみが上手くいった。
針金もある。ならば、次は――。
「いつも面倒を掛けてるリヒトさんへ!」
何か作ってあげよう。
料理人のリヒトさん。
料理で使う道具なら、きっと喜んでくれる。
「泡立て器!」
前世で使っていた物を思い出す。
針金があれば、それっぽい物が作れる。
「握るところは……この丸木でいいかな」
細い丸木を一本用意する。
そして針金。たまたま、同じくらいの長さに揃っている。
「これなら、私の力でも曲げられる」
針金を一本ずつ曲げていく。
くるっ。くるっ。
何本か曲げて――。
「これを最後に……」
まとめる。
持ち手になる丸木に、曲げた針金を何本も取り付ける。
「うむ」
持ち上げてみる。
「中々いい出来だ!」
見た目は、ちゃんと泡立て器。
これなら使えるはず。
「早速、リヒトさんへあげよう!」
◇
「リヒトさん!」
「げっ!」
「なによ! 『げっ!』って!」
「いや……何でもないです、クルークお嬢……」
なんだ、その反応。
私は少しムッとしながら、作った物を差し出す。
「プレゼントあげる!」
「プレゼント?」
「そう!」
リヒトさんが恐る恐る受け取る。
「泡立て器!」
「……これは?」
「私が作った!」
「…………」
リヒトさんが、泡立て器をじっと見る。
「料理するときに使ってください!」
「どう使うんです?」
「こう!」
私は身振りで説明する。
「これなら、泡立ちやすくなるわよ!」
「なるほど……」
リヒトさんは少し考える。
「では、早速使ってみるか」
ボウルを用意して、材料を入れる。
そして――。
「……ほう」
シャカシャカシャカ。
泡立て器が動く。
「確かに……」
さらに動かす。
シャカシャカシャカ。
「泡立てやすい!」
「でしょ!」
「それに……」
リヒトさんが腕を止める。
「腕も疲れにくいな」
「そうなの!」
「こりゃーいいな!」
リヒトさんが嬉しそうに泡立て器を見る。
「クルークお嬢、これは便利ですぞ!」
「ふふん!」
よし。成功!
「料理、頑張ってくださいね!」
「……はい」
リヒトさんが少し遠い目をする。
「これでまた、料理の仕事が増えそうな気がするんですが……」
「気のせいです!」
私は笑顔で答えた。
便利な道具が一つ増えた。
これで料理も少し楽になる。
そして何より――。
「針金、使えるじゃん!」
私は次に作れそうな物を考えながら、その場を後にした。




