領内の鉄を調べてみよう
少量の鉄製品か……私は腕を組んで考える。
「と言っても、どんな感じなんだ?」
領内に鍛冶屋がある。鍋なども作っているらしい。
でも――。
「鍛冶屋って、実際には何を作ってるんだろう?」
前世で見た鍛冶職人の動画を思い出す。
真っ赤に熱した鉄を叩いて。
伸ばして。曲げて。形を整えて。
「刀作りとか……」
もちろん、刀を作りたいわけじゃない。
でも、ああいう作業なら何となく想像出来る。
「鍋も作ってるみたいだし……」
それなら、意外と色々な物を作れるのかもしれない。
「鍛冶屋、見てみたいな……」
実際に見れば、何が作れるのか分かる。
どんな道具を使っているのかも分かる。
もしかしたら、改善出来るところがあるかもしれない。
「……でも」
たぶん、却下される。四歳児が鍛冶場に行く。
火。熱した鉄。金槌。危険な物だらけ。
お父様に言ったら、
「危ないから駄目だ」
で終わるだろう。
「なら……」
私は木板を取り出す。
直接行けないなら、聞けばいい。
「これ作れますか?」
そう聞けばいい。
木板なら、それほど迷惑にもならないだろう。
「まず聞くことは……」
私は考えながら書いていく。
一つ。作れる物は、何か?
鍋。農具。工具。
その他、どんな鉄製品が作れるのか?
二つ。その作れる物の完成までの日数。
一個作るのに一日なのか。数日かかるのか。
それとも、もっと時間が必要なのか。
三つ。原料の鉄はどこから採れるのか。
鉱山なのか。山の中なのか。
それとも、川から採れるのか。
「この辺りでいいかな?」
あまり細かく聞いても、鍛冶屋さんが困るかもしれない。今知りたいのは、まず全体像。
何が作れるのか。
どれくらい時間がかかるのか。
材料はどこから来るのか。
「よし」
私は木板に最後の文字を書き込む。
『鍛冶屋について教えてください』
これでいい。私は完成した木板を持って、お父様のところへ向かう。
「これ、お願いします!」
「また何か考えたのか?」
「はい!」
お父様は木板を受け取り、私はそのまま部屋を出る。
「……これで分かればいいんだけど」
領内で鉄が取れる。鍛冶屋もある。
ならば――。
「鉄も、何かに使えるかもしれない」
まだ何が出来るかは分からない。
でも知ることから始めればいい。
クルークはそう考えながら、次の発見を待つことにした。




