生産の偏りを見直そう
各部署……というより、各作業場からの報告が木板に書かれて届いた。
私は一枚ずつ確認していく。
「…………」
これは……。
「何となくで進んでいる?」
どうも、そんな感じがする。
例えば小瓶。
一日に二十個の小瓶が作られている。
「二十個か……」
一見すると、かなり作っている。
でも……。
その小瓶に入れる椿油は?
「三~五本……」
一日に作れる椿油が、三本から多くても五本。
それなのに小瓶は毎日二十個。
「…………」
私は小瓶の数字を見て、椿油の数字を見る。
そして、もう一度小瓶を見る。
「作りすぎじゃない?」
椿油が五本しか作れないのに、小瓶を二十個作っても仕方がない。
余った小瓶は、倉庫に積まれるだけ。
そして小瓶を作るには、焼くための薪も必要になる。
つまり……。
「無駄に木を使ってる!」
木材はパンパ領にとって、かなり重要な資源だ。
炭にも使う。炭ペンにも使う。建物にも使う。
家具にも使う。
それなのに、使わない小瓶を作るために木を使っていたら……。
「そりゃ、木が足りなくなるよ!」
クルークは頭を抱える。
小瓶が悪いわけじゃない。
必要な物だ。でも、必要な数以上を作る意味はない。
「ならば……」
椿油を三~五本作れるなら、小瓶もその数に合わせればいい。
椿油の生産量が増えたら、小瓶の生産量も増やす。
「これだ!」
作れるだけ作る。ではなく。
必要な分だけ作る。
その方が、資源を無駄にしない。
そして、余った分の木材は……。
「他に回せばいい!」
炭を作る。炭ペンを作る。必要な場所へ回す。
人員も同じだ。
小瓶を作っている人が余っているなら、別の場所へ移せばいい。
「細かいところで、かなり偏ってるな……」
私は木板を並べ直す。
椿油。椿石鹸。小瓶。木小箱。
それぞれの生産量と人員数を見比べていく。
すると、ところどころに余っている人員が見えてくる。
「この人たちを……」
クルークは別の木板を見る。木材の切り出し。
「こっちに回す!」
そもそも、大元の木材が足りていない。
ならば、手の空いている人員を木材の切り出しに回した方がいい。
木材が増えれば、その先にある固形炭や炭ペンの生産量も増やせる。
「うーむ……」
私は腕を組む。
今までなら、
「足りないなら、もっと作ろう!」
だった。でも、それだけじゃ駄目だ。
「どこが足りないのか?どこが余っているのか?余っている物や人を、どこへ回せるのか?」
そこまで考えないと。
「よし!」
私は新しい木板を取り出す。
今度は、生産量だけじゃない。
人員の配置まで書き込めるようにしよう。
パンパ領の生産は、少しずつ形を変え始めていた。




