お母様の工房も生産量を把握しよう
あとは……椿油。椿石鹸。
それに、それを入れる小瓶と木小箱か……クルークは、資料を見ながら考える。
こちらは、おそらく最初からそれほど生産力は高くないはず。
何しろ、まだ始めたばかりだ。
しかも、これはお母様の管轄。
「……でも」
だからと言って、無視するわけにはいかない。
お母様にも、ちゃんと指示を出さないと。
恐らく、女性陣を使って作っているはずだ。
もし生産量に対して人員が多すぎるなら、その人員を他の仕事に回せる。
逆に、人が足りないなら増やさなければならない。
「よし」
クルークは新しい木板を用意する。
ここにも、同じように数字を書き込めるようにしておこう。
一日の生産量。必要な材料。作業時間。
そして、人員数。
これが分かれば、どこに人手が必要なのか見えてくる。
「お母様!」
「なに!?」
私はお母様のところへ走っていく。
「この木板に、椿油、椿石鹸、小瓶、木小箱が一日にどれくらい作れるか書いてください!」
「えー」
「それと、それぞれに携わっている人員数と作業時間も!」
「えー……」
バシッ!
私は木板をお母様の前に置いた。
「『えー』ではありません!」
「……はい」
「今すぐです!」
「わ、分かりました……」
お母様が渋々、木板を受け取る。
「一日に作れる数……人員数……作業時間……」
「はい!」
「どうして急に、そんなことを……」
「必要だからです!」
クルークは胸を張る。
これから注文が増えていく。
その時に必要なのは、気合でも根性でもない。
まずは現状を知ること。そして、どこを増やせばいいのかを知ることだ。
「お母様のところも、ちゃんと調べますからね!」
「……クルーク」
「はい?」
「なんだか最近、私より領主っぽくない?」
「…………」
ぐっ。それは言わないでほしい。
私はただ――。
「お金持ちになりたいだけです!」
「そこなの!?」
お母様の声が、部屋いっぱいに響いた。




