↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/158

もっと自由に動きたい!

「ふぅ〜……」


私は大きく息を吐いた。

細かく突っ込まれると、やっぱりボロが出そうで怖い。


「前世の記憶が残ってるなんてバレたら……」


それこそ厄介ごとに巻き込まれるのは、目に見えている。


「日本ではこうだった!」


なんて言えるわけがない。

椎茸の栽培方法も。楓の樹液のことも。

養蜂のことも。全部、前世で知っていたなんて知られたら――。


「……面倒なことになりそう」


だからこそ。


「お祖父様の書庫が逃げ道になる!」


本に書いてあった。昔、どこかで見た。

ちょっと試してみた。

そう言えば、だいたい何とかなる。


「ありがとう、お祖父様!」


私は心の中で祖父に感謝する。


「でも本当に役に立つわよ! 残してくれて!」


お祖父様が残してくれた書庫。

あれがなければ、今頃どうなっていたことか。


……まあ。


書庫にないことを聞かれたら、かなり危ないんだけど。


「さて……」


次は何をしようかな〜。

私は考える。


「うーむ……」


もっと自由に、一番近い集落へ行ければなぁ。

あそこなら、もっと色々な物を見ることができる。領民が何を作っているのか。

何に困っているのか。

何が余っているのか。


実際に見て回れば、何か新しいことを思いつくかもしれない。


「でも……」


私は自分の身体を見る。

小さな手。小さな足。まだ四歳。


「まあ、このボディーじゃ、まだまだ流石に無理だもんなぁ」


一人で山道を歩いて集落まで行くなんて、とてもじゃないけど無理。


大人と一緒なら行ける。


でも、そうなると自由に動き回ることはできない。


「……」


こればかりは、どうしようもない。

身体が成長するのを待つしかない。


「もう少し大きくなればなぁ」


そうすれば、一人で集落へ行って。

あちこち見て、領民と話して、もっと色々なことを知れる。


「……まあ、焦っても仕方ないか」


今は今できることをやるしかない。

私は窓の外を見る。山々が広がっている。

そのどこかに、まだ私の知らないものがある。


「……探したいなぁ」


そう思いながら、私は再び書庫へ向かうことにした。まだまだ調べられることはある。


そして――身体が大きくなったときには、もっと自由にパンパ領を歩き回ってやろう。


「その頃には、もっと凄い領地になってるかもね!」


私は一人、そんな未来を想像して笑った。


◇


その頃。

ストラグルの手元には、一枚の文が届いていた。


第三集落からだ。差出人はもちろん――。

ストラグルの父。

つまり、クルークのお祖父様からだった。


「……父上からか」


ストラグルは封を開け、文を読み始める。

そして――。


「…………」


しばらく無言になった。

そこに書かれていたのは、短い文章だった。


『商品の売れ行きが良い』


『更に増産して送れ!』


『売れまくりだぞ』


『商人からの催促が止まらん!』


そして最後に――。


『わしも笑いが止まらん!』


「…………」


ストラグルはもう一度、最初から読み直す。


「なんだ、この内容は……」


思わず頭を抱える。商品の売れ行きが良い。

それ自体は喜ばしい。いや、非常に喜ばしい。


だが――。


「増産して送れ、か……」


こちらはすでに増産している。

それでも足りないということだ。


「商人から催促が止まらん……」


ストラグルは手紙を机に置く。

炭ペン。固形炭。

そして、これから増えるであろう新商品。


パンパ領で作った物が、領外で次々と売れている。


「……本当に売れているのか」


思わず呟く。今までのパンパ領は、木と竹を売るだけだった。


それが今では――。


「商品の増産が追いつかない、だと?」


ストラグルは手紙を見る。

最後の一文が目に入る。


『わしも笑いが止まらん!』


「……父上」


思わず苦笑する。


「笑っている場合ではないでしょうに」


そう言いながらも――ストラグルの口元も、少しだけ緩んでいた。

どうやらパンパ領の商売は――自分たちが思っていた以上に、順調らしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。