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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者:


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5/12

パンパ領の新商品、炭を作ろう

集落から家に戻ってきた。初めての外出。

時間にすれば、それほど長くはなかった。


けれど――実際に集落を見て、分かったことは多い。


基本的には、事前に書庫で調べていた情報の通りだった。

パンパ領の人々は、自給自足に近い生活をしている。食べるものは自分たちで作る。


足りないものは、木材や竹を売って得たお金で買う。


それで何とか生活は成り立っている。


問題は――。


「…………」


やっぱり、農業を大きく伸ばすのは難しい。

何せ山の中。平らな土地がほとんどない。

畑を増やすなら、斜面を削るか、段々畑を作るしかない。でも、それにはお金が掛かる。


今のパンパ領に、そんな余裕があるようには見えなかった。


「となると……」


今ある産業を伸ばすしかない。


幸い。パンパ領には、他の領地にはないものがある。


「木と竹……」


どちらも、山にいくらでもある。

ならば――これをどうにかするしかない。


まず、木材。


「丸太のまま売っている……」


これは、もったいない。

前世のホームセンターなら、木材は色々な形に加工されて売られていた。


板。角材。細い棒。棚板。建築資材。家具。


もちろん、ここですぐに同じことをやれというのは無理だ。加工するための設備も必要だし、職人も必要になる。


だから、今すぐには難しい。


なら――次に竹。


「こっちは……」


冬の間。

農作業が少なくなる時期に、竹を使ってザルや籠を作る。


そして春先。それをまとめて商人に売る。


「…………」


以上。


「やっぱり終わってないか? 我が領は……」


思わず天井を見上げる。

幸い、今は屋根の穴も修理されている。

そこだけは良かった。


……でも。


木材は丸太。竹は籠やザル。これだけ。


「うーん……」


どうすればいい?


今ある資源を使って、もっとお金を稼ぐ。

それしかない。でも、何を作ればいい?

私は前世の記憶を必死に探る。

ホームセンターで扱っていた商品。


木材。工具。農具。園芸用品。建築資材。


そして――。


「……炭」


ふと思い出した。

ホームセンターで売っていた。


木炭。バーベキュー用の炭。着火剤。


炭関連の商品。


「そうだ」


炭。木なら、いくらでもある。

しかも、丸太として売れないような細い木や枝も使える。


「…………」


これは、いけるんじゃないか?

私は急いで、お母様のところへ向かった。


「お母様!」


「あら、クルーク。どうしたの?」


「お母様。我が領で炭作りはしていますか?」


「炭作り?」


お母様は少し考える。


「うーん……してないかな?」


「やっぱり……」


「どうして?」


「炭なら、木から作れますよね?」


「ええ。そうね」


「なら、商品にできませんか?」


「商品?」


お母様が首を傾げる。


「炭を作って、売るんです」


「…………」


お母様は私を見る。

私もお母様を見る。


「どうしたの?」


「何か作ってみたいです!」


「作って?」


「はい!」


「作って、どうするの?」


「みんなに使ってもらって、それから他所に売ります!」


自信満々に答える。

前世では普通に売っていた。


バーベキュー用。暖房用。料理用。


使い道はいくらでもある。

何より、原料はパンパ領に大量にある木。


「売れるものかしら?」


「…………」


あれ?お母様の反応が薄い。


「炭ですよ?」


「ええ」


「木から作れるんですよ?」


「そうね」


「便利ですよ?」


「そうなの?」


「…………」


この感じ。もしかして――。


「…………お母様」


「なあに?」


「炭って、そんなに珍しいものですか?」


「珍しいというより……」


お母様は少し考えてから言った。


「炭を作って売るという話を聞いたことがないわね」


「…………」


なるほど。そういうことか。

この世界では、炭の価値そのものがあまり知られていない。


なら――。


「…………」


逆にチャンスじゃないか?


原料はある。作ることもできる。

使い道もある。そして、まだ誰も商品として売っていない。


「お母様」


「はい?」


「私、炭を作ってみたいです!」


お母様は少し驚いた顔をした。


「クルークが?」


「はい!」


「……どうしてそんなに炭を作りたいの?」


「それは――」


私は胸を張った。


「便利だからです!」


まずは。作ってみなければ分からない。

そして、もし本当に使えるものなら――パンパ領の新しい収入源になるかもしれない。


私は少しだけワクワクしてきた。


「……やってみましょう!」


四歳児の私が始める、最初の領地開発。


その第一歩は――炭作りだった。

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