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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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庭で見つけた新たな資源

水車。回すことはできる。

それは分かった。


「……でもなぁ」


私は水車を眺めながら腕を組む。


「他には?」


そう言われると……思いつかない。


「うーん……」


いや、どれもすぐには思いつかない。


「まあ、これはこれでいいか」


水車そのものは、かなり使える。

そのうち何か思いつくかもしれない。

今は無理に考える必要もないだろう。


「他のことを考えますかなぁ」


そうと決めた私と母は、領館へ戻ることにした。


農業関係は……やっぱり難しい。

そもそも、パンパ領には土地がない。

平地が少なく、畑も山の斜面を利用しているくらいだ。


「山を切り拓いてまで畑を増やすのは……」


コストが高すぎる。

木を切って、土地を整えて、土を入れて……そこまでして作った農地で、どれだけ収穫できる?


「うーん。割に合わないな」


農業を大規模化するのは、今のパンパ領には向いていない。

となると――。


「やっぱり、今ある物からになるんだよね」


木。竹。椿。キノコ。


そして、今後まだ見つかるかもしれない資源。


「付加価値を付けつつ……か」


ただ売るのではなく、加工して価値を上げる。

木なら炭や炭ペン。竹なら保存食。

椿なら油や石鹸。キノコなら栽培。


「……」


こうして考えると、結構やってるな。

私は領館へ戻ると、そのまま庭に出た。

そして庭の椅子に座る。


「……」


ぼーっと空を眺める。

今日は何かを作る気分ではない。

たまには、こうして何も考えずに休むのも必要だ。


「……」


とはいえ。何も考えないようにすると、逆に考えてしまう。


「次は何を商品にしようかなぁ……」


そんなことを考えながら、庭を眺めていると――。


ふわっ。


目の前を、小さな虫が飛んでいった。


「……?」


黄色と黒っぽい体。

羽を細かく動かしながら、花へと止まる。


「……蜂?」


私は目を細める。


蜂……だよね?


たぶん。花に止まって、何かを集めている。


「……」


花。蜂。


そして――。


「…………」


何かが頭の中で繋がった。


「蜂蜜!?」


ガバッ!


私は椅子から立ち上がった。


「そうだ! 蜂蜜!」


蜂がいる。花もある。

だったら――。


「そもそも、蜂蜜という概念がここの世界にあるのか!?」


もし、存在しないなら。いや、存在していたとしても、パンパ領で採れるなら商品になるかもしれない。


「確か書庫に、虫の本もあったわよね!?」


あったはずだ。

以前、植物の本を調べたときに見た。


「早速調べないと!」


私はそのまま領館の中へ駆け込んだ。


「蜂!」


目的は決まった。


「蜂について調べる!」


また一つ。パンパ領に眠っているかもしれない資源を見つけた気がした。


「……あった」


虫の本。


私は書庫から目当ての本を引っ張り出すと、急いでページをめくっていく。


ペラペラ。


「おっ……これこれ」


蜂について書かれているページを発見した。


「うむ」


そこに描かれている蜂は――。


「私が知っている、ザ・蜂だ」


黄色と黒っぽい体。六本の脚に羽。

どう見ても蜂。


「蜜や花粉を集めて、巣を作る……」


さらに読み進める。


「そこから蜂蜜が採れる」


やっぱり。私が知っている蜂蜜だ。


「よし!」


蜂蜜そのものは、この世界にも存在する。

これは大きい……いや、待て。


「養蜂という概念があるのか?」


私は本をめくる。蜂の生態。巣の構造。餌となる花。蜂が活動する時期。


しかし――。


「うーん……」


養蜂について詳しく書かれた部分はない。


「虫の本じゃ、そこまでは分からないか」


そりゃそうか。

これは虫の生態を調べる本であって、養蜂の専門書じゃない。


「でも……」


私は腕を組んで考える。

前世では、蜂の動画を見たことがある。

養蜂家が蜂の巣を管理している動画だ。


確か――。


「木の枠を増やしていって、巣を大きくしてたわよね」


巣ができる木枠を何段も重ねていた。

蜂がそこに巣を作って、蜜を貯める。


「木枠なら……作れそう」


木工師の棟梁に頼めば、たぶん作ってくれる。

難しい形でもない。


「問題は……」


私は本を閉じる。


「蜂が住んでくれるかどうか」


こればかりは、作って置けば勝手に入ってくれるとは限らない。


場所も必要。蜂が好む環境も必要。

それに――。


「そもそも、どうやって蜂を巣箱に入れるのよ……」


前世で動画を見た記憶はある。

でも、細かいところまでは覚えていない。


「うーん……」


ホームセンターで働いていたとはいえ、養蜂用品まで詳しかったわけじゃない。

世の中、知らないことだらけだ。


「まあ、まずは作ってみるか」


木枠くらいなら、すぐに試せる。


「住んでくれるかがカギね!」


蜂が入ってくれれば――蜂蜜が採れる。

蜂蜜が採れれば――。


「商品になる!」


私は思わずニヤリと笑った。

パンパ領に、また一つ。

新しい可能性が見つかった。

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