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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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領主が見つけた価値

「みんな、ちょっと来てくれ!」


お兄様が家族全員を呼び集めた。


「一体なんなんです?」


気だるそうに声を上げたのは、料理人のリヒト。


呼ばれたのは、お父様、お母様、ワイズお姉様、私。


それに執事のエルンとリヒトまで。


「何だ? この木の鎖?」


お父様が不思議そうに見る。


「みていて下さい!」


お兄様が声を張る。

そして、木の鎖に取り付けられた取っ手を握る。


「よいしょ!」


カタカタカタカタ……。


木の鎖が動く。

それに合わせて――


「おー!?」


籠がゆっくりと上へ移動していく。


「籠が二階に!?」


ワイズお姉様が驚きの声を上げる。


「すごいでしょ?」


お兄様が得意げに胸を張る。


「これ、どうやってるの?」


お母様も興味深そうに近づいてくる。


「木の鎖を歯車で動かしてるんです!」


「へぇ……」


リヒトも籠を眺めている。


「荷物を入れても動くんですか?」


「今は実験用だから、そんなに重い物は無理だけど……」


お兄様が答える。


「重くしたら?」


「もっと大きくして、しっかり作れば……」


私はそこで口を挟む。


「山の下から、上まで荷物を運べると思います!」


「……」


その瞬間。


お父様の表情が変わった。

さっきまで興味深そうに眺めていた顔が、一気に領主の顔になる。


「ちょっと待て」


「はい?」


「これがあれば……」


お父様が木の鎖を見る。


「輸送が楽になるんじゃないか!?」


「そうです!」


私は頷く。


「山道を歩いて荷物を運ばなくても、これで上まで運べます!」


「……」


お父様はしばらく黙っていた。

そして。


「これは……」


もう一度、木の鎖を見る。


「かなり重要な物になるかもしれんな」


やった。やっぱり分かってくれた!


「これは、実験用なので、あまり重い物は無理だと思います」


私は続ける。


「だから、職人さん達に見てもらって、もっと丈夫に出来るか調べてもらいたいです!」


「分かった」


お父様は即答した。


「私が預かる!」


「お願いします!」


「エルン!」


「はい!」


「木工師と鍛冶師、それから必要そうな職人を集めろ」


「承知しました」


「実際にこれを大型化できるか確認するんだ」


「はい!」


お父様は木の鎖に手を触れる。


「もしこれが実用化できれば……」


その視線が、窓の外へ向く。

そこにあるのは――どこまでも続く山。

そして、パンパ領を苦しめ続けてきた山道。


「……この領地の物流が変わるぞ」


その言葉を聞いて、私は思わず笑った。


「ふふふ……」


少しずつ。本当に少しずつだけど。

パンパ領が変わり始めている。


しかも今回は――今まで作った商品とは違う。


物を作るための仕組みではなく、物を運ぶための仕組み。


これが完成すれば、木材も竹も、これから作る新商品も今までよりずっと簡単に運べるようになる。


「……これは、もっと稼げるようになるかも!」


私は小さく拳を握った。


ただし。その直後。


「クルーク」


「はい?」


「お前、また何か考えているな?」


「……」


お父様の視線が刺さる。


「い、いえ!」


「本当か?」


「……たぶん!」


「たぶんってなんだ?」


家族の笑い声が、屋敷に響いた。

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― 新着の感想 ―
ええ…… 家に穴空いたまま設備投資は順番違わないか???
いつも楽しく読ませてもらっています ここまで読んでみて、どうしても木の鎖のイメージがつかめず・・・何か検索したらイメージ図みたいなの出てこないですかね?
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