木の鎖、実用化!
「よし!」
私は目の前の木の鎖を見る。
「もっと長くしましょう!」
「まだ長くするのか?」
「はい!」
前回作った木の鎖に、さらに木板を追加していく。
一枚。また一枚。
お兄様と二人で、せっせと繋げていく。
「これくらいでいいかな?」
「うん! これなら!」
完成した木の鎖。
その片方を――
「二階の窓まで持っていきましょう!」
「分かった」
お兄様が木の鎖を持ち上げる。
片方は二階の窓。そしてもう片方は――
「もちろん庭!」
庭まで伸ばす。
「これで……」
両端に歯車を取り付ける。
そして、しっかりと固定。
「よし!」
「クルーク」
「はい?」
「これ、回すところがないぞ?」
「あ……」
試作品では、歯車そのものを手で回していた。
しかし、これだけ大きくなると、それでは回しづらい。
すると。
「こうすればいいんじゃないか?」
お兄様が木を削り始める。
「何を?」
「取っ手だ」
歯車の中心に棒を通し、その棒に取っ手を取り付ける。
「これなら回しやすいだろ?」
「おお!」
実際に握ってみる。
「回しやすい!」
「だろ?」
「やりますなー! お兄様!」
「ははは!」
さすがお兄様。こういうところは頼りになる。
「じゃあ……」
私は籠を持ってくる。
「実験開始!」
「また実験か」
「当然です!」
籠を木の鎖に引っ掛ける。
「これで……」
私は取っ手を握る。
「回します!」
ギギ……。ギギギ……。
木の鎖が動く。
そして籠が少しずつ上へ移動していく。
「おお!」
さらに回す。
ギギギギ……。
籠は一階から二階へ。
「そのまま!」
「はい!」
ギギギギ……。
そして――
「着いた!」
二階の窓の高さまで、籠が到達した。
「……」
「……」
兄妹で顔を見合わせる。
「成功じゃないか!?」
「だね!」
思わず二人で笑う。
「すげぇな、これ」
「でしょ?」
「これなら、本当に荷物を運べるぞ」
「そうです!」
私は籠を取り外す。そして、もう一度考える。
これをもっと大きくする。もっと長くする。
山の上と下に設置する。
「……」
これが実際の山道にあれば、重い木材を背負って、何度も坂道を登る必要がなくなる。
「お兄様!」
「ん?」
「これ、お父様に見せましょう!」
「そうだな!」
こうして――パンパ領の物流を変えるかもしれない、小さな装置は完成した。
もっともこの時の私たちは、まだ知らない。
この木の鎖が、ただ荷物を運ぶだけではなく――パンパ領そのものの山道を変えることになるとは。




