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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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山の高低差を利用しよう

「うーむ……」


私は書庫の机に広げた地図を眺めていた。


物流。


パンパ領が発展していくためには、どうしても避けて通れない問題だ。


「でも……」


私は山の地形を見る。


「上から下へなら、どうにかなりそうだよね」


荷物を背負って山道を下りる。

これが大変なのだ。


ならば――


「山の高低差を使えばいいんじゃない?」


私は紙に簡単な絵を描いてみる。

山の上。山の下。その間に一本の線。


「紐を張って……」


線の上に丸を書く。


「滑車を付けて……」


そこから荷物を吊り下げる。


「これで降ろす!」


荷物を吊り下げれば、あとは重力が仕事をしてくれる。


「ロープウェイ……というより、荷物専用の簡易版ね」


人間が乗る必要はない。

荷物だけを吊り下げる。


そして――


「自重で降ろす」


これなら、人が荷物を背負って山道を下りるより、ずっと楽になるはず。


もちろん。


「紐を張るのは大変だけど……」


そこは最初だけ。しっかり張ってしまえば、その後は使い続けられる。


「荷物を吊り下げて……」


すーっと下へ。


「空になった滑車は、まとめて上に持っていけばいい」


一つずつ人が運ぶよりは、ずっと楽だ。


「これなら少しは、負担を減らせそうじゃない?」


私は紙に書いた簡単な図を見る。

問題は――


「……実際に作れるかよね」


紐はどれくらいの重さまで耐えられる?

どれくらいの距離まで張れる?

滑車はどう作る?

途中で支柱が必要になるかもしれない。

それに、荷物を下ろす速度も考えないと危ない。


「うーん……」


まだまだ考えることは多い。

でも。今までのように、ただ山道を歩いて運ぶしかないわけじゃない。


山には――高低差がある。


だったら、その高低差を利用すればいい。


「色々と考えてみないとなぁ」


私はもう一度、木板に描いた線を見る。

パンパ領の物流を変える。

そのための最初のアイデアが――こうして生まれた。


「……いや、待てよ」


私はふと、前世の記憶を思い出す。


山。山の観光地。そこで見たもの。


「ロープウェイ……」


そして。


「ケーブルカーに、スイッチバック式……」


それぞれの仕組みが頭に浮かぶ。


「この辺りかしら?」


パンパ領は山だ。

当然、場所によって地形は違う。

急な崖もあれば、比較的緩やかな斜面もある。


「もしかしたら、ロープを張れない場所もあるかもしれない」


そう考えると――


「一つに絞らない方がいいかも」


ロープで運べる場所はロープ。

線路のような物を作れる場所なら、別の方法。

そして、道を作れる場所なら普通の荷車。


「地形に合わせて使い分ける……」


私は木板にいくつも絵を描いていく。


「ん?」


そこで、また思いつく。


「待てよ……」


ロープウェイのように、荷物を運ぶロープを――


「ぐるぐる回すには……」


手で回す。


「人力でもいい」


ロバ……いや、この世界の小さな馬に回ってもらう。


「家畜の力も使える」


さらに。


「水車の動力を組み合わせる」


川の流れがある場所なら、水車を使える。


「おお……」


人間が回す。家畜が回す。水が回す。

もしかしたら、風が強い場所なら風車だって使えるかもしれない。


「動かし方も、何個も考えていた方がいいか」


一つの方法に頼る必要はない。

パンパ領は山だからこそ、場所によって条件が違う。


ならば。その場所で一番使いやすい動力を選べばいい。


「うん」


私は地図を見る。


「これは……結構、面白いかも」


商品を作る。そして、それを運ぶ。

そのために道を作る。さらに、その道を動かすための仕組みまで考える。


「……領地開発って、思ったより奥が深いわね」


私は新しい紙を取り出した。

そこには大きく、


『パンパ領・輸送計画』


と書いた。


「さて……どうやって実現しようかな?」


まだ四歳の私には、あまりにも大きな計画だった。

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