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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者:


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3/13

見渡す限り、全部うちの領地でした

いよいよだ。

私はお母様と一緒に、屋敷の敷地の端までやってきた。


目の前には、私の背丈よりも高い垣根。


この垣根より先には、絶対に行ってはいけない。物心がついた頃から、お父様やお母様に何度も言い聞かされてきた。


まあ、確かにね。


今まで屋敷の周りから見えるのは、ほとんどが森。こんな所で四歳児が一人で森に入ったら、即遭難だ。だから外に出るなと言われていたんだろう。


そう思っていた。


「クルーク、こっちよ」


「はい!」


お母様について垣根の切れ目を抜ける。

いよいよ初めてのパンパ領探索!


どれどれ――。


「…………げっ」


私は思わず足を止めた。


垣根。確かに垣根だった。


問題は――その先だ。


「崖じゃん……」


「クルーク?」


「なんでもないです!」


危なっ!

垣根のすぐ先から急斜面になっている。

その斜面に沿うように、石造りの階段が下へと続いていた。


しかも真っ直ぐじゃない。

右へ行って、折り返して左へ。

また折り返して右へ。


何度も何度も折り返しながら、遥か下まで続いている。


「…………」


そりゃあ、絶対に出るなって言うわ。

垣根を越えたら即大怪我――。


いや。場所によっては大怪我じゃ済まない。


普通に死ぬ。


「…………」


でもさ。一つだけ言わせてほしい。

柵を作れよ!なんで垣根なんだよ!


貴族だろ!男爵家だろ!


……いや。


屋根の穴すらなかなか直せなかった家だった。

その穴すら、雑多な修理で雨は凌げている。

柵を作るお金なんてないのかもしれない。


「クルーク。階段は危ないから手を繋ぎましょうね」


「はい」


お母様の手を握りながら、ゆっくり階段を下りていく。


しかし――。


「わぁ……」


思わず声が出た。すごい。絶景だ。

屋敷の周りにいる時には木々に遮られて分からなかった。

少し下っただけで、一気に視界が開けた。


山。山。その向こうにも山。

遥か遠くまで山々が連なっている。


その間を縫うように川が流れ、所々に木々の色が違う場所も見える。


前世でも、こんな景色はなかなか見たことがない。


「すごい……」


「綺麗でしょう?」


「はい!」


これは素直に感動する。

空気も美味しい。景色も最高。

観光地だったら人気が出そうだ。


……まあ。問題は。


「お母様」


「なあに?」


「私の家の土地は、どこですか?」


「土地?」


「はい。パンパ領です」


お母様は少し考えてから、周囲を見渡した。


「うーん……」


そして、さらっと言った。


「今見えている所は、ほとんど全部かな?」


「…………」


はい?私はもう一度、景色を見る。


山。山。山。山。山。


「…………」


めちゃくちゃ山しか見えないんだけど。

普通、異世界転生っていったらさ。

穏やかな田舎の村とか。広大な農地とか。

草原の向こうに街が見えたりとか。


そういうものじゃないの?


何なの、この山岳地帯。いや、待てよ。

それよりも――。


「お母様」


「なあに?」


「どうして私たちの家は、山の上にあるんですか?」


これが分からない。

領主なんだから、普通は領地を管理しやすい場所に屋敷を建てないか?


街の近くとか。主要な街道沿いとか。

それこそ領地の中心とか。

こんな山の上に屋敷を建てたら、どこへ行くにも大変じゃないか。


すると、お母様は不思議そうに首を傾げた。


「そりゃあ、領主のお屋敷は領地のだいたい真ん中に建てるものだからよ?」


「…………」


え?


「ここが真ん中?」


「そうよ」


「…………」


私は再び周囲を見渡した。


山。山。山。やっぱり山。


「…………」


げっ。ここが領地の中心なの?

つまり。山の上に屋敷を建てたんじゃない。

領地の中心がたまたま山の上だった。


「…………」


思っていた以上だ。


パンパ領。


想像以上にヤバい土地かもしれない。


「じゃ、じゃあ……」


私は恐る恐る尋ねた。


「村の人たちは、どこに住んでいるんですか?」


これだけ山ばかりだと、領民がどこにいるのか全く分からない。

見渡しても村らしいものは見えない。


「村というより、集落ね」


「集落?」


「そう。大きな集落が三箇所あるのよ」


「三箇所!」


ちゃんと人が住んでいた!

いや、領民がいるんだから当たり前なんだけど。


「今日は、そのうち一番近い集落へ行きましょう」


「はい!」


やっと領民の暮らしが見られる。

どんな家に住んでいるんだろう。

何を作っているんだろう。

木材や竹は、どうやって加工しているんだろう。俄然楽しみになってきた。


「一番近いなら、すぐですか?」


「そうねぇ」


お母様は考えるように空を見上げる。


「お昼までには着くと思うわ」


「…………」


ん?今、何時だ?

朝ご飯を食べてから出てきたから……。


「一番近いんですよね?」


「そうよ?」


「……一番遠い所は?」


「一日掛かりね」


「…………」


はい?一日?


四歳児の私は、まだパンパ領という場所を分かっていなかったらしい。


人口が少ない。山しかない。

大きな集落は三つ。


そのくせ――領地だけは、やたらと広い。


私は遥か彼方まで続く山々を見つめた。


「…………」


これ。領地を発展させる以前に――移動するだけでも大変なんじゃないか?

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