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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者:


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2/19

山奥の男爵領、発展の余地はあるのか?

あれから四年。私もすっかり成長した。

そう!現在、四歳児です!


「…………」


前世の記憶があるせいなのか、ハイハイはかなり早く習得した。歩くのだって早かった。


まあ……今でも調子に乗って走ると、たまに転ぶけど。


「クルーク、大丈夫!?」


「だいじょうぶ!」


……四歳児の身体って、思ったより難しい。

頭の中は前世の大人なのに、身体は四歳。

このギャップには未だに慣れない。

そして、もう一つ。

読み書きもできるようになった。


これは、お祖父様が残してくれた書庫のおかげだ。


この家には、歴代の当主が集めた本がかなり残っている。


文字については、お母様に教えてもらった。

こちらの文字は、前世のローマ字に近い。

完全に同じというわけではないけど、規則性が分かれば覚えるのは難しくなかった。


おかげで今では、本を読むこともできる。


……まあ。四歳児が一人で書庫に籠もって本を読んでいると、ちょっと怪しまれるので、ほどほどにしている。


とはいえ。私が書庫にいる時間は長い。

理由は簡単。情報収集だ。

この世界がどういう場所なのか。

パンパ領はどんな領地なのか。

何が作られていて、何が売られているのか。


私は本を読み漁った。


そして――分かったことがある。


「…………」


パンパ領。

山の中にある男爵領。人口は少ない。

平地も少ない。農業は段々畑が中心。

主な収入源は――木材。そして、竹。


「…………以上?」


思わず本を閉じた。


「終わってないか……?」


いや。本当にこれだけなのだ。

もちろん、農作物も作っている。

米がある。これは助かった。

味噌もある。醤油もある。


……うん。


日本人として、ここは本当にありがたい。

他にも麦や粟などが作られている。

食文化そのものは、前世の地球とそこまで大きく違わない。


肉も食べる。主に鶏。


それから罠に掛かる鹿や猪。たまに熊。


魚は山なので、川魚が中心らしい。

生活するだけなら――まあ、何とかなる。


ギリギリだけど。


それに、ロバのような小さな馬もいる。

この辺りでは荷物を運ぶために活躍しているらしい。


……ただ。


「発展するか?」


と言われると――。


「うーん……」


難しい。何しろ、山の中なのだ。

平らな土地がほとんどない。

農地を増やそうにも、そもそも農地にできる場所が少ない。


段々畑を増やすにも限界がある。

人口を増やそうにも、食料を増産できない。

そして、山道。これがまた酷い。

荷車が通れる場所も限られている。

当然、大量の商品を運ぶのも難しい。


つまり。


「…………」


私は机に突っ伏した。


これ。詰んでないか?


前世のホームセンターで働いていた知識を使えば、何かできると思っていた。


木材。工具。農具。建築資材。園芸用品。


色々な商品を見てきた。

DIYの相談を受けることもあった。

だから、この世界でも何か役に立つだろう。

そう思っていた。


でも――。


「そもそも土地がないじゃん……」


農業を発展させようにも土地がない。

工場を作ろうにも、運ぶ道が悪い。

商品を作っても、売りに行くのが大変。

そして人口が少ない。


……いや。


これ、ホームセンター以前の問題じゃない?


「はぁ……」


それに――期待していたものもあった。


ステータス。魔法。スキル。


そういうものだ。

異世界転生といえば、あるだろ?

自分の能力を確認するために、


『ステータスオープン!』


とか。魔法を使って、


『ファイアボール!』


とか……やってみた。

もちろん。しかし何も起きなかった。


「…………」


残念。魔法は絵本の中だけだった。

ステータス画面も出てこない。

どうやら私は、普通の人間として転生したらしい。


……いや。それなら、それでいい。

チート能力がなくても、前世の知識はある。


問題は――その知識をどう使うかだ。


「…………」


やっぱり。


まずは現地を見ないと駄目だ。

本だけでは分からないことが多すぎる。

山道がどれくらい酷いのか。

木材はどのくらい採れるのか。

竹はどこに生えているのか。

畑はどれくらいあるのか。


川は。水は。家は。人は。


実際に自分の目で見てみたい。


「…………」


でも。私は四歳児。一人では外に出られない。


当然だ。


「お母様にお願いしてみるか」


私は書庫を出て、お母様を探した。

しばらくして――。


「お母様!」


「どうしたの、クルーク?」


「外に行きたいです!」


「外?」


「はい!」


お母様は少し驚いた顔をした。


「一人で?」


「……」


しまった。四歳児だった。


「……駄目ですか?」


「うーん……」


お母様は少し考える。

そして――。


「一人では駄目ね」


ですよね。


「なら、お母様に連れていって欲しいです!」


「私が?」


「はい!」


しばらく私を見つめていたお母様は、やがて優しく笑った。


「そうね」


そして――。


「じゃあ、行きますか」


「やったぜ!」


思わず拳を握る。

ついに――館の外へ出られる!外に出られて居たのは館の庭のみ。

本で見るだけだった領地を、実際に自分の目で見られる。


どんな山なのか。どんな道なのか。

どんな人が暮らしているのか。


そして――この領地には、本当に発展する余地がないのか。


私はワクワクしながら、お母様についていった。まずは、自分の目で確かめてみよう。

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