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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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祖父の日記とパンパ領の始まり

「それに……」


私は書庫に並ぶ本を眺める。


「ここにある書物の内容を信じるとすると……」


やっぱり。

この世界は、地球とは全くの別物だ。

もちろん、似ている部分は多い。

植物も、動物も、食べ物も。


でも。


「竹の子や椿がいい例よね」


竹の子は一年中採れる。

椿も一年中花を咲かせる。

私の知っている地球とは違う。


「これは……注意しないと」


地球の常識をそのまま当てはめていたら、どこかで間違える。


植物だけじゃない。

気候。農業。動物。病気。材料。


もしかしたら、私が「当たり前」だと思っていることが、この世界では全然違う可能性もある。


「私の常識から外さないと不味いわね」


これは覚えておこう。

この世界には、この世界の常識がある。

そう考えながら本棚を眺めていると。


「あれ?」


見慣れない本が一冊。引っ張り出してみる。


「……日記?」


表紙を開くとそこには――見覚えのある名前が書かれていた。


「お祖父様の日記だ」


これは面白そう。

私は机に座り、ページをめくっていく。


そして。


「……なるほど」


どうやら、お祖父様は武勲をあげたことで、この領地を褒美として貰ったらしい。


「それで、ここに移り住んだのか」


最初からパンパ領だったわけじゃない。

お祖父様が、この土地を与えられて。

そこから領地を作った。


さらに読み進める。


「……え?」


私は思わず手を止めた。


元部下数名。そして、その家族。

さらに、この土地で暮らすことを希望した者たち。


その人数――三百人程度。


「三百人……」


その人数で、この山を開拓したのか。

木を切り。道を作り。住む場所を作り。

畑を作り。集落を作った。


今ある三つの集落も、その時から続いているらしい。


領館から近い順に、第一集落。第二集落。第三集落……なんという分かりやすい名前。


そして、そこからさらに離れた場所には、一世帯、二世帯程度で暮らしている家もあるらしい。


「なるほど……」


だから人口が少ないのか。

最初に三百人程度。

そこから何十年経ち今の人口になった。


「それでも……」


私は日記を読み返す。

三百人程度で、この辺りを調べたのは凄いと思う。


山の中だ。道もない。地図もまともにない。


それなのに木の種類や水場を調べ、住める場所を探していった。


「お祖父様、凄い人だったんだな……」


さらにページをめくる。

すると。


「……ん?」


ある一文で、私は固まった。


『本日は北側の山へ向かったが、道を見失い、遭難しかけた』


「…………」


私は日記をじっと見る。

もう一度読む。間違いない。


「自分の領地で遭難しかけてる……」


思わず笑ってしまう。

いや。笑っていいのか?


この広さだ。山だらけだ。

そりゃ迷うこともあるか。


「でも……」


私は少しだけ考える。

お祖父様がここを開拓して。

その人たちが暮らし、今のパンパ領がある。


だったら。私も、この領地をもっと良くできるかもしれない。


お祖父様が何もない山から、この領地を作ったように。


私は――今ある物から、もっと豊かなパンパ領を作ってみよう。


そう思いながら、私は再び日記を読み始めた。


まだまだ。お祖父様が残した記録には、知らないことがたくさんありそうだった。


「クルーク!」


「ん?」


書庫の外から、お母様の声が聞こえた。


「お母様! なーにー?」


「椿の種が届きましたよー!」


「はーい! 今行きます!」


私は急いで書庫を飛び出す。

そして。


「おー!」


そこにあったのは、籠いっぱいの椿の種。


「こんなに集めてくれたんだ!」


「何するの、これ?」


お母様が不思議そうに尋ねる。


「実験です!」


「そうですか……」


お母様は、もう慣れたような返事だった。

最近の私は、何かを集めては実験している。

まあ、今さらと言えば今さらだ。


「まずは……」


私は椿の種を一つ手に取る。

確か。前世の知識では、椿の種から油が取れるはず。


ただし。この世界の椿が、地球の椿と同じとは限らない。


「まずは、干して乾かす……だったわね」


私はザルを持ってきてもらい、お母様と椿の種を広げていく。


「こんな感じかな?」


「そうね」


「じゃあ、数日乾かしますか」


「それで、何ができるの?」


「それは……」


私はニヤリと笑う。


「実験してみてのお楽しみ!」


さて。この世界の椿の種からは――一体、何が取れるのかな?

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