竹の子を干したら、どうなる?
「しかし……」
リヒトは、外に干されている竹の子を眺めていた。
「この竹を干して、どうするつもりなんだ?」
細長く切られた竹の子。
それを天日に干している。
「まさか……食う気か?」
うーむ。分からん。分からんけど……。
「まあ、どうなるか付き合うのも悪くはないか……」
◇
「クルークお嬢!」
「ん?」
声が聞こえた。リヒトだ。
「あの竹の子、水分抜けましたよ」
「やったね!」
私は干された竹の子を見る。
おお。しっかり乾いている。
「で? これをどうするんですか?」
「水に浸けて一日待つ!」
「え!?」
リヒトが驚く。
「せっかく干したのに!?」
「保存する時は乾かしたままだけど」
私は説明する。
「今回は次に進むためよ!」
「はぁ……」
リヒトは納得しているのか、していないのか分からない顔をする。
でも、言われた通りに竹の子を水へ浸けてくれた。
◇
翌日。
「水戻し、終わりましたが……」
「いいわね!」
乾燥していた竹の子が、水を吸って元のような姿に戻っている。
ここからが本番。
「そしたら、油、醤油、出汁」
私は調味料を並べていく。
「あと、出来れば砂糖も入れて味付けを!」
「砂糖まで?」
「うん!」
そして。
「その汁が飛ぶまで煮て!」
「……やっぱり食い物だったのか」
リヒトが呟く。
「もちろん!」
ぐつぐつ。
鍋の中で竹の子が煮えていく。
醤油の香り。出汁の香り。
そして、少し甘い香り。
うん。これは絶対に美味しいやつ。
「汁も飛んだかな?」
私は鍋を覗き込む。
「で? これからは?」
「三、四センチくらいに切って食べるのよ」
「うへ……」
リヒトが少し嫌そうな顔をする。
でも、ちゃんと切ってくれる。
ザクザク。
「どーぞ」
切り分けた竹の子を、リヒトへ差し出す。
「私も食べるから」
「……では」
リヒトが一つ摘まむ。そして。ぱく。
「…………」
数秒。リヒトの顔が変わった。
「ん!?」
「どう?」
「この食感!」
リヒトが竹の子を噛みながら驚いている。
「これは……」
さらに一口。
「味付けをもう少し調整すれば!」
「でしょう!」
私は嬉しくなる。
「竹煮よ! 竹煮!」
「竹煮……」
リヒトがもう一つ口に入れる。
「美味い!」
そして、少し考えて。
「辛味を足してみるか!?」
「それもいいわね!」
こうして。
パンパ領の新しい料理が、一つ生まれた。
……まあ。
まだ商品になるかは分からないけど。
「竹の子って、干しても美味しくなるのね」
私は竹煮を眺めながら呟く。
そして思う。
これなら――長く保存できる食べ物にできるんじゃない?
竹の子が一年中採れるこの領地なら。
保存食として加工して売ることもできるかもしれない。
「……また商品候補が増えた」
私はニヤリと笑った。
領地開発。
どうやら、食べ物まで商売になりそうだ。




