パンパ領には、まだまだ資源がある?
ブレイお兄様がお父様へ報告したようだ。
後は、また大人が考えることだ。
私たちが作った物を職人さんが改良して、さらに商人と商談までしてくれる。
うん。これは楽だ。
私が全部やる必要はない。
ということで――私は書庫へ逃げ込んだ。
「さて……」
何か面白い本はないかな?
棚を眺めていると。
「あっ」
一冊の本が目に入った。
引っ張り出してみる。
これは……。
「植物図鑑か」
そういえば、この世界にはどんな植物があるんだろ?
私は本を開く。
見たことのあるような花。
見たことのあるような実。
そして、木の種類。
名前も似ている物があれば、全く聞いたことのないような植物もある。
「へぇ……」
これは結構面白い。
私はページをめくりながら、次々と植物を眺めていく。
うーむ……。
そう言えば。この領地は木材と竹が主な産業って話だったけど。
「木材って、なんの種類なんだろ?」
今まで木が大量にあることは分かっていた。
でも、木の種類までちゃんと考えたことはなかった。
木材なら何でもいい、というわけじゃない。
種類によって硬さも違うし、加工のしやすさも違う。
家具に向いている木。
建物に向いている木。
道具に向いている木。
色々あるはずだ。
「……もっと調べてみた方がいいかも」
さらにページをめくる。
すると。
「あれ?」
見覚えのある花が目に入った。
「これ……椿みたい」
葉っぱも花も、かなり似ている。
そして、その説明を読んでみる。
「種から油が取れる……?」
椿油。
前世では髪の手入れなんかにも使われていたし、食用や灯りにも利用されていたはず。
「この木があるなら、椿油も取れそうだな……」
木材として売るだけじゃない。
実から油を取る。
そう考えると、木一つでも色々な使い道がある。
「うーむ……」
パンパ領。
木と竹しかないと思っていたけど。
もしかして。私たちが知らないだけで、まだまだ使える物があるんじゃない?
私は植物図鑑をじっと見つめる。
そして、もう一つ思い出した。
「そういや……」
そろそろ竹の子が採れる時期じゃない?
竹が大量にあるなら、竹の子だって採れるはず。
「竹の子掘りって、やるのかな?」
前世では春になると竹の子が出ていた。
採れたての竹の子。
焼いてもいいし、煮てもいい。
炊き込みご飯なんかも美味しい。
……じゅる。
「食べたい」
思わず呟いてしまう。
でも。それだけじゃない。
竹の子も売れるんじゃない?
今まで竹を加工して売っているのなら、竹そのものだけじゃなく、竹の子まで商品になる可能性がある。
「これは……」
また新しい商売の匂いがする。
私は植物図鑑を閉じる。
「お母様に聞いてみるか」
竹の子が採れるのか。
採れるなら、どうしているのか。
売っているのか。
それとも、普通に食べているだけなのか。
知らないことは、まだまだある。
だったら――まずは知ることから始めよう。
私は植物図鑑を棚に戻すと、お母様を探しに書庫を出た。
パンパ領には、まだ私の知らない資源が眠っているかもしれない。
そう思うと、なんだかワクワクしてきた。




