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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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お祖父様、木を蹴り倒して家を建てた!?

「確か……日記はこれね」


私は書庫の棚から、以前見つけたお祖父様の日記を取り出した。

以前読んだ部分には、お祖父様がこの領地の中心地、つまり今の領館がある場所まで辿り着いた話が書かれていた。


山を越え、森を抜け、ようやく人が暮らせそうな場所を見つけた……というところまでは覚えている。


「その続きは……」


私はページをめくった。

そこには、開拓を始めた頃の記録が残されていた。


『中心地に着いた。見渡す限り山と緑。

さて、まずは雨風を凌げる家作りか。

幸い、木はたくさんある。適当に蹴り倒し、丸太のまま組み合わせるとするか』


「…………」


私は日記から顔を上げた。


「……蹴り倒す?」


もう一度、文章を確認する。


適当に蹴り倒し、丸太のまま組み合わせる……うん。読み間違いではない。


「いやいやいや! 木って、蹴り倒すものじゃないでしょう!?」


思わず声が出てしまった。

普通、木を切り倒すなら斧や鋸を使う。

もちろん、木の太さにもよるけれど、蹴り一発で倒せるようなものばかりではないはずだ。


……いや、待て。


お祖父様なら、やりかねない。お祖母様だって、似たようなことをしていても不思議ではない。


「……うん。今は考えないでおこう」


私は、続きを読んだ。


『うむ。まあ、上手く組めた。これなら多少の雨風は凌げる。飯は鹿や猪が豊富だ。当面は問題なさそうだ』


「家作り、終わるの早くない!?」


しかも、食料は鹿や猪で確保。


今のパンパ領で暮らしていると、当たり前のように聞こえてしまうのが怖い。

いや、当たり前ではないから!


普通、家を建てるだけでも大変だし、狩りだって簡単ではない。


それなのに、お祖父様の日記では、まるで散歩の途中に小屋を作ったくらいの気軽さだった。


「……お祖父様、昔から規格外だったのね」


私は、ため息をつきながら先を読んだ。


『後から来る領民のためにも、せめて道くらい作っておかないとなぁ。次の日から道作りを始めるか』


「さて……ここから道作りか」


私は頷いた。


新しく人が暮らす場所を作るなら、道は必要だ。後から来る人たちが迷わずに辿り着けるようにしなければならない。


荷物を運ぶにも、道がなければ不便だろう……うん。ここまでは分かる。しかし。


「ん? 中心地から道作り?」


私は、日記を読み返した。


領地の中心地に到着して、そこに家を作った。

そして、その場所から麓まで道を作る。


「……やってること、逆では?」


普通なら、麓から山を登り、目的地まで道を伸ばしていくのではないだろうか。

もちろん、地形や事情によって違うのだろうけれど。

それでも、中心地から麓に向かって道を作るというのは、なんだか不思議な感じがする。


「……まあ、お祖父様だしなぁ」


きっと、何か考えがあったのだろう。


……あったのだと思いたい。私はさらにページをめくった。


『はぁ……疲れた。木を蹴り倒すのも骨が折れる』


「……そこは疲れるんだ!?」


思わず突っ込んでしまった。


いや、そこじゃない。木を蹴り倒すこと自体に、もっと突っ込むべきだろう。


しかし、ここまで何度も書かれていると、だんだん感覚がおかしくなってくる。


「……いかん。お祖父様の常識に染まってきている」


私は首を振り、続きを読んだ。


『やっと麓まで蹴り倒した。倒した木が目印じゃ。そのうち領民もここへ来るだろう。しかし……本当に木しかないな?他に資源はあるのか?できれば平らな土地があると助かるが……』


「……あれ?」


私は、日記を持ったまま考え込んだ。

木を倒しながら道を作った。

そして、倒した木を目印にした。

……つまり、道ができたというより、木を倒した跡を辿れば中心地まで来られる、ということだろうか?


「いや、道は道でも……」


それは、道と呼んでいいのだろうか。

木が倒れている場所を見つけて、その方向へ進む……うん。

少なくとも、私が想像している山道とは違う。


「……でも、これって」


私は、ふと気づいた。

お祖父様が開拓を始めた頃、この領地には今のような道も、集落もなかった。

木材は豊富にあった。

狩りをすれば、食料も確保できた。


けれど、平らな土地があるかどうかも分からない。つまり、今の私が悩んでいることを、お祖父様も昔、同じように悩んでいたのだ。


どうすれば人が暮らせるのか。

どこに住居を作ればいいのか。

何を資源として利用できるのか。


「……そっか」


私は日記を見つめた。

今のパンパ領は、最初からこうだったわけではない。

誰かが山を切り拓き、住む場所を作り、道を通してきた。

その積み重ねが、今の領地につながっている。

……ただし。


「木を蹴り倒す必要は、ないと思うけど!」


そこだけは、どうしても納得できなかった。


私は日記を閉じ、机の上に置いた。

お祖父様の開拓記録は、参考になることも多そうだ。少なくとも、何もない山の中で何から始めたのかは分かった。


まずは住居を作り、食料を確保し、人が移動できる道を作る。

そして、利用できる資源や土地を探していく。

今の新集落の開拓にも、応用できる部分はあるだろう。


「よし……ほかのページも調べてみよう!」


私は、再び日記を開いた……すると。


どうやら、お祖父様の開拓は、まだまだ波乱に満ちていたらしい。


私は椅子に座り直し、続きを読み始めた。

開拓の知識を得るために書庫へ来たはずなのに。いつの間にか、お祖父様の昔話に夢中になっていたのだった。

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― 新着の感想 ―
じいさん何者だ?w
家造りに、お嬢様と一緒に突っ込んで読んじゃった。でも出来たら素敵だわ。
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