蜂の管理も、お姉様に丸投げです!
さて。抜根機とクレーンについては、手動式の図面を描いて職人さんに渡した。
あとは、試作品ができるのを待つだけだ。
まあ、作るのにはしばらく時間がかかるだろう。
その間は、自由だ!
「……そういえば、油菜は芽が出たかな?」
お祖母様が種を買って来た油菜。
葉は食べられるし、花は蜂の餌になる。
さらに、種からは油も取れるらしい。
上手く育てば、なかなか使い道の多い植物だ。
「たまには、様子を見に行かないとね」
私はヴァイプと一緒に、油菜を植えた場所へ向かった。すると……。
「……ん?」
畑の近くに、何やら見慣れない人物がいる。
全身を防護服で覆い、顔までしっかり守っている。あの格好は……。
「……誰だ?」
私が首を傾げていると、相手がこちらに気づいた。
「クルーク!」
「……あっ! お姉様か!」
防護服の人物は、ワイズお姉様だった。
「どうしたの、お姉様?」
「どうしたもこうしたもないわよ!」
ワイズお姉様は、なぜか胸を張った。
「あんたが蜂の書類を回してくれたでしょう? だから、これからは私が管理するわ!」
「ええ。まあ、どうぞ?」
……あれ?
蜂の管理って、私がやることになっていたっけ?
いや、そもそも私は蜂を育てたいと思っただけで、管理まで自分でやるつもりはなかった。
花を増やして、蜂の餌を確保して、蜂蜜をたくさん採れるようにする。
そのための計画を考えただけだ。
「それに、油菜もだいぶ伸びたわよ!」
ワイズお姉様が畑の方を指さした。
確かに、以前見たときよりもずいぶん大きくなっている。葉が広がり、茎も伸びてきていた。
「もう少ししたら、花が咲きそうね!」
「本当ですね!」
黄色い花が一面に咲く光景を想像する。
そこに蜂が集まり、花の蜜を集めてくれる。
そうなれば、蜂蜜の収穫にも期待できるだろう。
「これで蜂の餌も増えるし、蜂蜜もたくさん採れると思うわ!」
……なるほど。
お姉様、完全に蜂蜜を狙っているな?
「ええ。お任せします!」
「任せなさい!」
ワイズお姉様は、力強く頷いた。
うん。いいことだ。
蜂の管理はお姉様に任せて、私は新集落の開拓に集中できる。
お互いに得があるのだから、何の問題もない。
「クルーク!蜂って、勝手に増えることもあるんだよね?」
「分蜂のこと?」
「そう!」
分蜂。
蜂の群れが大きくなると、一部の蜂が女王蜂と一緒に巣を離れ、新しい群れを作る現象だ。
これを上手く利用できれば、蜂の数を増やせるはず。
「それも、見落とさないようにするわ!」
ワイズお姉様は、やる気満々だった。
「蜂の数を増やせば、もっと蜂蜜が採れるでしょう?」
「よろしくお願いします!」
私は深々と頭を下げた。
これで蜂の管理も、すっかりお姉様に任せられそうだ……ふむ。
蜂も、結果的に丸投げできたか。
まあ、お姉様のことだ。
蜂蜜をたくさん採りたいという気持ちは、間違いなくあるだろう。
でも、それでいい。
お姉様が蜂を管理し、私は領地開発を進める。
役割分担としては、実に素晴らしい!
「ふふふ……これで、私の仕事が一つ減ったわね!」
「クルーク、何か言った?」
「いいえ! 何も!」
危ない、危ない。
口に出したら、また別の仕事を頼まれるかもしれない。
私は油菜の畑を眺めた。
もうすぐ花が咲く。蜂が集まり、蜜を集め、やがて蜂蜜が採れる。
その蜂蜜が売れれば、領地の収入も増える。
そして私は、また新しい開発を考えられる。
……うん。
やっぱり、丸投げは大切だ!
「お姉様、蜂蜜が採れたら味見させてくださいね!」
「もちろんよ! たくさん採れたら、いっぱい食べましょう!」
「やった!」
こうして、蜂の管理はワイズお姉様に引き継がれた……ただし。
蜂蜜が採れたとき、誰がどれだけ食べるのか。
それについては、まだ何も決まっていない。
たぶん、お姉様と私で揉めることになるのだろう。
いや、絶対に揉める。だって、蜂蜜だもの!




