新しい集落に棚田を作ろう!
まあ、ひとまず。
新しい集落を、どんな場所にするか考えないとね。
せっかく新しい集落を作る予定なのだ。
ならば――。
「私が思いつく限りのことを、やるだけ!」
私は机に向かい、紙を広げた。
まずは、土地の利用方法。
第一集落を見る限り、この領地の家は斜面に建てられている。
斜面に杭を打ち、その上に家を建てる。
そして、平らな土地は可能な限り、田畑や道に使う。そんな感じだった。
「うーむ……」
新しい集落も、基本的には同じになるだろう。
平地が少ないのだから、家を建てる場所を工夫するしかない。
でも、それだけでは駄目だ。
人が増えるのだから、食料も必要になる。
「食料自給率を上げつつ……」
私は考える。
今のパンパ領は、木材や竹を使った商品を増やしている。椎茸の栽培も始めた。
蜂蜜だって、これから増やしていく予定だ。
でも、人が増えれば、それだけ食べる量も増える。外から食料を買うにしても、この山道では運ぶだけで大変だ。
だったら――。
「この集落で作れる食料は、できるだけ作った方がいいわよね」
新しい集落を作るなら、最初から食料生産も考えておきたい。
そこで、私は地図を眺めた。
斜面。斜面。そして、少しの平地。
「……棚田」
ふと思いついた。
そうだ。
棚田を作ってみるのはどうだろう?
山の斜面を段々に整備して、田んぼにする。
一段一段は小さくても、段を重ねれば、それなりの面積を確保できるかもしれない。
「うん。これはありかも!」
もちろん、簡単ではない。
斜面を削って平らにする。
土が崩れないように、畦や石垣などで支える。
水を引くための水路も必要だ。
そして、水が下の田んぼへ順番に流れるようにしなければならない。
「……かなり大規模な工事になるわね」
私は思わず唸った。
土地を整備するだけでも、人手が必要になる。
水路を作るにも、技術が必要だ。
それに、どこでも棚田を作れるわけではない。
土の状態や斜面の角度、水源から水を引けるかどうか。
実際に調べなければ分からないことも多い。
「でも……」
もし、棚田を作ることができれば。
今まで木や竹しか利用していなかった斜面を、食料生産にも活用できる。
平地を家で埋め尽くさなくてもよくなるかもしれない。
「うん。検討する価値はある!」
私は紙に書き込んでいく。
・斜面を利用した棚田の整備。
・水源からの水路の確保。
・家を建てる場所と田畑の区分け。
・集落内の道の整備。
・食料生産に必要な土地の確保。
「よし……」
考えが、少しずつまとまってきた。
ただし、私一人で決められることではない。
新しい集落を作るとなれば、領主であるお父様の許可が必要だ。
それに、実際に工事をする職人や、田畑を管理する人たちの意見も聞かなければならない。
「お父様に企画書を上げてみるか……」
私はペンを持ち直した。
まずは、思いついた案をまとめる。
棚田を作る目的。必要になりそうな工事。
水路の整備。そして、期待できる効果。
分からないことは、分からないと書いておく。
実際に現地を調査して、専門の人たちに確認してもらわないといけないからね。
「よし!」
私は最後の一行を書き終えた。
新しい集落を作る。
ただ家を建てて、人を住まわせるだけではない。そこに住む人たちが、食べていけること。
仕事があること。
そして、長く暮らしていけること。
そこまで考えなければ、本当の意味で集落を作ったことにはならない。
「……うん」
私は完成した企画書を見つめた。
「これなら、お父様に相談できるわね!」
まずは企画書を提出。
その後、現地調査と具体的な計画を進めていく。新しい集落は、まだ構想段階だ。
でも――。
「ふふふ……」
もし棚田ができたら、山の斜面が食料を生み出す土地に変わる。
人が増えても、食料を確保しやすくなる。
「新しい集落、楽しみになってきた!」
私は企画書をまとめ、お父様のところへ向かうことにした。パンパ領の新しい開発計画。
今度は――山の斜面を、食料生産の場所に変える計画だ!




