え?次の商品も私が考えるの?
数日後。
私たち三人は、お父様に呼ばれた。
ブレイとワイズと一緒に、お父様の執務室へ入る。
すると。
目の前に、見覚えのある物が置かれていた。
おお……!心の中で思わず声が出る。
例の固形炭。そして――炭ペン。
すげー!
私たちが作った物とは、かなり違っている。
固形炭は円筒形。しかも真ん中に穴が空いた、ドーナツみたいな形になっている。
持ち運びもしやすそうだ。
そして炭ペン。
こちらは綺麗な六角形になっている。
私たちが作った物より細く、握りやすそうだ。
さすが職人さん。
私たちはとりあえず形にしただけだけど、ちゃんと商品らしくなっている。
「完成したぞ」
お父様が満足そうに言う。
「二つとも、色々と改良してもらった」
おお。
「固形炭は、長時間燃える物と、比較的火力を重視した燃えやすい物の二種類だ」
二種類!
用途によって使い分けられるようにしたのか。
「そして、この炭ペンも細くして持ちやすくした。書き心地も……まあまあだそうだ」
ほぅ。やるな、職人さんたち。
私は炭ペンを手に取ってみる。
実際に持ってみても、かなり握りやすい。
試しに木板へ線を引いてみる。
すーっ。ちゃんと書ける。
うん。これは普通に使えるわ。
「すごい!」
ワイズが嬉しそうに声を上げる。
ブレイも炭ペンを眺めながら、
「俺たちが作った時より、ずっと良くなってるな」
と感心している。
ふふふ。
そうでしょう。これが専門家の力なのよ。
「そして、既にこの二つの製品は、麓の集落へ送った」
「え?」
「商人と商談する予定になっている」
おお!もう商談まで進んでるの!?
「そこで上手く話がまとまったら、大量に生産するつもりだ」
大量生産!
その言葉を聞いた瞬間。
私の頭の中に、大量のお金が浮かんだ。
……いや。まだだ。
まだ商品が売れたわけじゃない。
商談が成功して、注文が入って、実際に売れて。そこまでいって、ようやく利益になる。
でも。
上手くいけば――この山に大量にある木が。
今まで捨てていたような炭の欠片が。
お金になる。
しかも、私たちが毎日作らなくてもいい。
職人さんたちが作ってくれる。
これは……かなり良いのでは?
「ふふふ……」
思わず笑みがこぼれる。
「……クルーク?」
お父様が怪訝そうな顔をする。
「な、なんでもありません!」
危ない。また顔に出ていた。すると。
お父様が少し考えるように腕を組む。
そして――
「そこでだ」
嫌な予感がする。
「何か他の物も考えてくれないか?」
「……え?」
思考が止まる。
「二つとも非常に良い物だった。ならば、他にも何かあるのではないかと思ってな」
「…………」
え?ちょっと待って。
「クルークなら、何か思いつくのではないか?」
「…………」
お父様。それは。つまり。
「また私が考えるんですか?」
「そういうことだ」
即答だった。
えぇ……。
私は思わずブレイとワイズを見る。
二人もこちらを見ている。
そして。
「クルークなら、また何か作れそうだな!」
ブレイ。
「うん。楽しみね!」
ワイズ。
「…………」
味方がいない。
私は天井を見上げる。
どうやら――私の領地開発は、まだまだ終わりそうにない。
というか。これからが本番らしい。




