新しい集落を作ろう!
うむ。でも、専属メイドのヴァイプがいるおかげで、これからは気兼ねなく第一集落まで行けるようになった。
これは御の字かな!
今までは、集落へ行くにも誰かの都合を考えなければならなかった。
でも、これからはヴァイプと一緒に行動できる。
よしよし。
これで領地開発も、もっと進められるはず!
……とはいえ。
「二百人かぁ……」
私は机の上の書類を見つめた。
現在の第一、第二、第三集落。
それぞれの人口を考えると――。
「三十人から五十人くらいなら、各集落に分けても問題ないのかな?」
もちろん、実際に住める場所があるかどうかは確認しないといけない。
食料だって必要だ。
ただ、三つの集落に少しずつ受け入れてもらえれば、何とかなるかもしれない。
「問題は、残りの百五十名前後をどうするか、か……」
うーむ。
新しく家を建てるにしても、場所が必要だ。
畑も必要になる。
水だって確保しなければならない。
考えることが多すぎる!
「お嬢様!」
「はい! ヴァイプさん!」
考え込んでいると、ヴァイプが声をかけてきた。
「こちらに来る途中、木の上から見たのですが……」
「木の上?」
……いや、今は気にしないでおこう。
「はい! 各集落の間に、五十人前後が住めそうな土地があります!」
「そうなの!?」
私は思わず顔を上げた。
「はい!」
「それ、本当?」
「はい! クルークお嬢様のお祖父様がお話しされていました!」
「お祖父様が?」
「はい! いつかは、そこにも集落ができればなぁ、とお話ししておりました!」
「ほう……」
これは大きな情報だ。
お祖父様が把握している土地なら、少なくとも候補地として考えられる。
あの人は、誰よりもこの領地を知っている。
何しろ、自分で領地を切り開いてきた人なのだから。
「……となると」
私は地図を広げた。
第一集落。第二集落。第三集落。
そして、その間にある土地。
「ここから一番近いのは、第一集落と第二集落の間かな?」
私は地図を指でなぞった。
第一集落と第二集落の間に新しい集落を作れば、両方の集落と連携しやすくなるかもしれない。
物資を運ぶにも便利そうだ。
もちろん、実際の道や水場、土地の広さを確認してから決める必要はある。
でも――。
「ここなら、五十人くらいは受け入れられるかもしれない!」
「はい! そう思います!」
ヴァイプが元気よく頷く。
「ふふふ……」
私は思わず笑みを浮かべた。
新しい集落。つまり、住む場所を作る。
家を建てる。畑を作る。仕事を用意する。
そして、人が暮らせるようにする。
「……領地開発らしくなってきたわね」
今までは、木や竹を使って商品を作ったり、炭や椎茸を増やしたりしてきた。
でも、これからは人が増える。
人が増えれば、働く人も増える。
商品を作る量だって増やせるかもしれない。
もちろん、食料や住居が足りなければ困るけど。
「まずは、現地を確認しないとね!」
私は地図を見つめた。
新しい集落を作るなら、どこに水があるのか。
家を建てられる平地はあるのか。
畑を作れる場所はあるのか。
それに、第一集落と第二集落を結ぶ道はどうなっているのか。
確認することは山ほどある。
「ヴァイプ!」
「はい、お嬢様!」
「今度、第一集落と第二集落の間にある土地を見に行きましょう!」
「分かりました!」
よし。これで次にやることが決まった。
二百人の受け入れ先を考える。
そのために、新しい集落を作れるか調べる。
「うんうん!」
私は満足して頷いた。
「これなら、残りの人たちも受け入れられるかもしれないわね!」
ただし。新しい集落を作るとなれば、私だけでは決められない。
お父様にも相談しないといけないし、お祖父様にも土地のことを確認したい。
「……また、お祖父様に聞くことが増えたわね」
あの人なら、土地のことを聞いたら喜んで教えてくれそうだ……いや。
もしかしたら、また突然やって来るかもしれない。
「……うん。手紙にしておこう」
突然、目の前に現れるのは心臓に悪い。
私は新しい集落の候補地を地図に書き込んだ。
パンパ領、四つ目の集落計画。
まだ何も決まっていない。
でも――。
「ふふふ……楽しみになってきた!」
新しい土地に、人が住む。
そこで暮らしが始まり、仕事が生まれる。
そして、パンパ領が少しずつ豊かになっていく。
そんな未来を想像しながら、私は地図を眺め続けた。




