発電機を作ってみよう
「原始的な発電機の造り方は、知っとる」
私は届いた磁石と銅線を眺めながら呟いた。
これは前世で知っている。というより――。
「夏休みの工作で、子供たちに教えたことがあるのよね」
ホームセンターで働いていた頃。
夏休みになると、子供向けの工作材料を探しに来る親子がいた。その中で、簡単な発電実験を教えたことがある。
「まさか、この世界でも作る羽目になるとは思わなかったけど……」
知識が役に立つ。これほど嬉しいことはない。
「まずは……」
私は銅線を手に取る。
「これを棒に巻き付けて、コイルを作る」
銅線を棒状のものに何度も巻いていく。
ぐるぐる。ぐるぐる。
何度も巻いて――。
「よし」
コイルができた。
次に、銅線の両端を紙やすりで削る。
表面の被膜を削って、銅を露出させる。
「これで電気が流れるようになる」
本当なら、この先に小さな電球などを繋げる。
そして――コイルの中で磁石を動かす。
磁石が動くことで、コイルに電気が発生する。
「問題は……」
私は周囲を見る。
「電球がない」
当然だ。この世界に電球なんてない。
「じゃあ、どうやって確認する?」
うーん。
火花。電気が流れたことが分かればいい。
でも、普通の鉄を置いただけで大きな火花が飛ぶわけではない。
「……まあ、まずはやってみよう」
銅線の端を金属に繋ぐ。
そして――。
「磁石を動かす!」
コイルの中で磁石を激しく動かす。
「おお……!」
何度も動かす。
ガチャガチャ。もっと!ガチャガチャガチャ!
これ腕が疲れる!四歳児には重労働だった。
「……」
これは駄目だ。
発電機を作るなら、人力で磁石を振り続けるなんて効率が悪すぎる。
「回転させた方がいいな」
磁石を動かし続けるのではなく、回転させる。
回転なら、水車などを利用しよう。
「……水車」
私は思わず呟いた。
それと発電機を組み合わせれば――。
「領地の水を使って、電気を作れるかも」
これは面白いか、今はまず発電することが先だ。
私はもう一度、磁石を動かす。
「よし!まだよ!」
◇
そして。
「次は、こっち」
私は別の容器を用意した。
「怪しい酸。うん。怪しい」
私が用意したのは、以前から実験用に確保していた酸性の液体。
そして――。
「金貨」
私は一枚の金貨をポケットから取り出した。
ガメ……借りてきた。
私は金貨を液体の中へ入れる。
これで金が溶ければ……私は容器を覗き込む。
金貨は沈んでいる。
「さて……」
これで金を含んだ液体が作れれば、発電した電気を使って、金を別の金属に付着させる。
つまり――。
「金メッキができるかもしれない」
金そのものを大量に使うのではない。
表面だけを金で覆う。
それなら――安い金属でも、高級品に見える!
私は思わず笑ってしまう。
「ふふふ……」
これは商売になる。
もちろん、まだ成功するとは限らない。
発電もまだ実験段階。
金メッキも、ちゃんとできるか分からない。
でも。
「もし成功したら……」
私は金貨を見つめる。
「また一つ、売れるものが増えるわね」
領地開発は、まだまだ終わらない。
いや。むしろ――。
「これからが本番よ!」




