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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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磁石と銅線、届きました

数日が経った。


「じゃあな、クルーク!」


「また来るからの!」


「はい! また来てください!」


お祖父様とお祖母様が帰っていく。


「…………」


私は二人の姿を見送る。

本当は、もっとちゃんと挨拶したかった。

もう少しゆっくり話したかったし、昨日まで一緒にいたから、なんだか寂しい。

なのに――。


「なんで突然帰るのよ……」


朝になったら、帰る準備が終わっていた。

そして。


『また来るからな!』


と言い残して、二人とも帰っていった。


「……嵐みたいな人たちだったわ」


来たと思ったら、訓練して。

鹿を背負ってきて。バーベキューをして。

椎茸料理を食べて。そして帰っていった。


濃すぎる。


「まあ……また来るって言ってたし」


次はもう少し心の準備をしておこう。

そう思った……ところで。


「なんで私のところに書類が来てるの?」


机の上を見る。

そこには以前、私が作った雛形を元にした書類が何枚も置かれていた。


生産量。材料の使用量。完成品の数。出荷した数。在庫。


「…………」


私は書類を一枚持ち上げる。


「四歳児に何、事務仕事まで回してるの?」


私は四歳だ。四歳児にやらせる仕事じゃない。

……まあ。


「でも、これなら生産状況が分かるか」


以前は、商品がどれだけ作られているのかなんて、私には分からなかった。

職人に任せて、リヒトさんに任せて、集落に任せている。それだけだった。


でも、数字が書かれていれば――。


「どこが足りないのか分かるし、増産するところも決めやすい」


これは便利だ。


「……うむ」


私は書類を眺める。


「事務仕事、悪くないかも」


四歳児としては、どうかと思うけど。


◇


「お?」


別の書類に目を通す。


「折り畳みの机……完成」


もう一枚。


「折り畳みの椅子も完成」


「やるな、職人!」


私が考えたのは、折り畳める木製の机と椅子。

構造だけ考えて、細かいところは職人に任せた。


すると――ちゃんと完成していた。


「すごいなぁ……」


実物を見てみたい。

しかも。


「少しだけど、生産も始めたのね」


試作品だけではない。

少量ながら、実際に作り始めている。

つまり――。


「これも商品に進化ね」


最初はただのアイデア。

次に試作品。そして、生産。商品として売る。


「うんうん。いい感じ」


領地で作れる商品が、少しずつ増えている。

お金も少しずつ入ってくる。


「しかし……」


私は椅子の図面を見る。


「バキッと一撃で金儲けしたいところだけど……」


一気に大金が入る商品。何かないかな。


「何か……」


私は考える。


「ないかなぁ……」


その時だった。


「クルークお嬢!」


「ん?」


声の方を見る。


「リヒトさん?」


リヒトさんから話しかけてくるなんて珍しい。

いつもなら私が厨房へ行って、


「リヒトさん、これ作って!」


と丸投げする側だ。


「何か用?」


「仕事ですから……」


「ですよね」


リヒトさんが苦笑する。


「それと、クルークお嬢が頼んでいたものが届きましたよ」


「私が頼んでいたもの?」


「はい」


そう言って、リヒトさんが持ってきた箱を開ける。


「磁石、銅線と酸です」


「…………」


私は固まった。


「…………あ」


完全に忘れていた。

そういえば、以前頼んでいた。


磁石に、銅線と酸。


「そうだった!」


私は立ち上がる。


「忘れてた!」


「忘れてたんですか……」


「うん!」


私は箱の中を覗き込む。

これがあれば――発電機の実験ができる!

私は銅線を手に取り、磁石を近づける。

これとこれを使って、電気を作る。ついに来た。電気だ。


電気が作れるようになれば――生活が変わる。

道具も変わる。まあ、最初は少量発電になると思うけど。そして。


「これが上手くいけば……」


私はニヤリと笑う。


「次の実験に進める」


まずは発電。そこから電気を使った、いろいろな実験。そして、その先には――。


「ふふふ……」


金儲けの匂いがする。


「よし!」


私は磁石と銅線を持ち上げた。


「早速、実験開始よ!」


「……また何か始まるんですね」


リヒトさんが、少し遠い目をした。

私は気にしない。新しい実験が始まったのだ。

しかも今回は――今までとは、ちょっと違う。

電気を作る実験だ。

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