蜂にも人にも、油菜を育てよう
「うーむ……」
クルークは腕を組んで考える。蜂のために花を育てる。そこまでは決まった。
問題は――。
「どんな花が良いかな?」
今から植えるなら、できるだけ早く育って、たくさん花が咲くものがいい。
しかも。
「私にも育てられて、手間が掛からないのがいいな」
難しい植物は無理だ。私は四歳。自分で世話をするなら、簡単なものがいい。
「ここは……」
お祖父様の書斎へ行って、植物図鑑を見るか。
そう思ったところで――。
「いや」
クルークは首を振る。
「そうじゃないな」
せっかく、お祖母様がいるし、植物に詳しいと言っていた。だったら。
「聞いてみよう!」
クルークはお祖母様を探す。
そして――。
「お祖母様!」
「どうしたの、クルークちゃんや?」
「蜂の餌になって、私にも簡単に育てられて、すぐに花が咲く植物を教えてください!」
「蜂さんの?」
「はい!」
お祖母様は少し考える。
「そうねぇ……」
庭を見回しながら考えている。
「ここで手に入りやすくて……」
「はい!」
「育てやすいのは……」
少し考えたあと。
「油菜がよいかな?」
「油菜?」
クルークは首を傾げる。あの油菜か?
お祖母様が頷く。
「黄色い花がたくさん咲くやつじゃ」
「おお!」
それなら知っている。菜の花みたいなものだ。
「その種は、手に入りますか?」
「第一集落にあるなぁ」
お祖母様はあっさり答える。
「私が貰ってくるとしてあげるよ」
「ありがとうございます!」
これは助かる。わざわざ探し回らなくていい。
「少し待ってなさい」
「はい!」
お祖母様が歩いていく姿をクルークはその背中を見送る。
「よし!」
油菜。
蜂が蜜を集め、しかも育てやすい。これなら養蜂箱の側に植えて、花を咲かせればいい。
「そうすれば、蜂の餌にも困らない!」
そして――クルークはもう一つのことに気づく。油菜は花だけじゃない。
「しかも、油菜だと……」
種が使える。葉も食べられる。もちろん花も楽しめる。
「一石二鳥じゃない?」
いや。もしかしたら、それ以上かもしれない。
蜂蜜を採るための花を育てながら、人間もその植物を利用できる。
養蜂のために始めたことが、新しい作物にもつながる。
「うん!」
クルークは養蜂箱を見る。
「蜂さんには花を」
そして油菜を思い浮かべる。
「私たちには油菜を!」
これなら無駄がない。
「お祖母様に聞いて正解だったなぁ」
植物図鑑を探すより、ずっと早かった。
やっぱり――詳しい人に聞くのが一番だ。
「油菜、たくさん育てよう!」
クルークは新しい計画に、また一つやることを追加した。




