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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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腕が痛くても、領地開発は止まらない

お昼ご飯を食べて、午後。

午後は、いつも通り……と言いたいところだけど。


「はぁ……」


私は両腕を見る。

まだ痛い。朝からお祖母様にみっちり鍛えられたせいで、両腕がパンパンだ。


でも。やることはある。


「さて」


昨日のバーベキューを思い出す。

みんなで地面に座って食べた。楽しかった。


楽しかったけど――。


「やっぱり、椅子が欲しいな」


立ったまま食べるのも疲れる。

地面に座るのも、毎回だと大変。

だったら。


「折りたたみの椅子とテーブルを作ればいい!」


使わない時は折りたたんで収納できる。

持ち運びもできる。バーベキューにも使えるし、普段の生活でも使える。


「よし。考えるか」


私は紙を取り出し、今回は鉄を使わない。

パンパ領には木が大量にある。

だったら、木だけで作ってみよう。


「うーむ……」


まずは脚。


「脚は折れるようにして……」


どうやって固定するか。

蝶番のような金具は使えない。

木材同士を組み合わせて、動くようにする必要がある。


「こんな感じかな?」


私は頭の中で構造を考える。

脚を交差させて――開けば椅子になる。


「うん」


とりあえず形はできそうだ。テーブルも同じ。脚を折りたためるようにすればいい。


「まあ……」


私は描いた設計図を見る。


「設計図だけだから、上手くいくか分からんけど」


私が作るわけじゃない。

職人さんに渡せば、きっと何とかしてくれる。


「これをまた職人さんに渡してもらおう」


いつも通り。考える。描く。渡す。

そして――作るのは職人さん。


「うん!」


完璧な分担という、丸投げだ。


……その前に。


「……」


ペンを持つ手が震える。


「……?」


腕がプルプルする。


「……」


もう一度、ペンを動かす。プルプル。


「……」


私は無言で腕を見る。


「これ……」


朝の訓練のせいだ。


「設計図を書くにも腕がプルプルするわ……」


私は机に突っ伏した。


「お祖母様……厳しすぎる……」


それでもなんとか設計図を書き終える。

あとは――。


「丸投げ!」


私は完成した設計図をお父様の机の上にっと。

これでよし!私の仕事は終わり……たぶん。


「さて……」


私は椅子にもたれかかる。


「少し休もう」


今日は腕が限界だ。

でも頭の中では、すでに次の商品のことを考え始めていた。


「他には何があるかな?」


私は机に頬杖をついて考える。

まだまだ作れそうなものはある。

便利な道具だって、生活用品だって、前世の記憶を探せばいくらでも出てくる。


でも――。


「まあ、そんなにポンポンと思いついても、変に怪しまれるかな?」


私はふと、庭の方を見る。

今は、お祖父様とお祖母様がいる。

二人とも、私のことをよく見ている。

さっきのイタドリの時だって危なかった。

四歳児がいきなり植物の使い方を知っていたら、そりゃ不思議に思われる。


「うーん……」


ほどほどにしておいた方がいいか。

そう考えていると、ふとお祖母様の言葉を思い出した。


『暗殺部隊にいた――』


「……」


いや。間違いなく言った。聞き間違いじゃない。


「暗殺部隊……」


私は呟く。

あの時は、その直後に「じゃなくて、昔から植物が好きで」と誤魔化された。

聞こうとしたら、そのまま訓練に持っていかれた。


「……」


私はしばらく考える。


お祖母様。鹿を捕まえる。薙刀を使う。

薬草にも詳しい。そして、暗殺部隊にいたと言った。


「……」


うむ。


「聞かんほうがよい!」


私はそう結論づけた。

知らなくてもいいことは、世の中にはある。


特に――お祖母様の過去については。


「うん。絶対に聞かんほうがいい」


私は深く頷いた。

そして、何事もなかったかのように折りたたみ椅子の設計図へ視線を戻した。


……でもちょっとだけ気になるんだよなぁ。

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