パンパ家、やっぱり武闘派でした
「はぁ……はぁ……はぁ……」
私はその場に座り込んだ。
「はぁ……」
隣を見る。
ワイズお姉様も、同じように座り込んでいる。
「はぁ……はぁ……」
二時間近く。二時間近くも練習した。
四歳児には長すぎる。両腕はもうパンパンだ。
「……お姉様」
「なに……?」
「腕……」
「痛いわね……」
私たちは顔を見合わせる。
そして。
「葉っぱ……」
「うん」
二人して庭の隅を見る。先ほど教えてもらった、鎮痛作用のある葉っぱ。私もお姉様に教えてあげて、二人で両腕に貼りまくった。
「……」
「……」
腕が葉っぱだらけだ。
「なんか……」
「うん」
「すごい姿ね」
「言わないで……」
私は自分の腕を見る。
まるで怪我人だ。いや実際、疲れているから間違ってはいない。
「はぁ……」
しばらくして、私はふと思った。
「お姉様も、お祖母様が来る度に、この訓練を?」
「そうよ……」
ワイズお姉様が遠い目をする。
「だから来るって聞いた時は、焦ったわけよ」
「ああ……」
なるほど。
だからあんなため息をついていたのか。
お祖母様が来る。
↓
訓練が始まる。
↓
二時間近く薙刀を振る。
そりゃ焦るわ。
「そう言えば……」
私は周囲を見回す。
「お兄様は?」
「お祖父様に担がれて、どっかに行っちゃったわよ」
「……」
「まだ帰ってきてないわね」
「……そうですか」
私は遠くを見る。
お祖父様とブレイお兄様。
お祖母様とワイズお姉様、そして私。
それぞれが鍛えられている。
「……」
これはやはり武闘派家族。間違いなく確定。
お父様も強い。
お母様も昔は武術をやっていた。
お祖父様は崖から飛び降りる。
お祖母様は鹿を捕まえて背負ってくる。
そして孫たちを普通に二時間鍛える。
「……」
私は空を見上げた。
「これ……体力的に厳しいかも……」
領地開発以前の問題だ。
商品を考える前に、私の体力がなくなる。
「お祖母様がいる間、毎日練習するのかな?」
恐る恐る聞く。
ワイズお姉様は、少し考えてから答えた。
「多分そうね」
「……」
「まあ」
ワイズお姉様が私の肩を軽く叩く。
「言えることは一つ」
「なに?」
「諦めて」
「……はい」
私は素直に頷いた。
逃げ道は――ないらしい。




