第28話 優しい祈り
始祖に関する本の内容を記載しています。
解説や皆の話は次回にまわしましたので短くなっています。
昼食を終えたあと、皆は応接間に集まった。
ガイウスは、日に焼けたような色をした大きく薄い本を手に持っている。
今からどんな話があるのか。
皆は少しの不安と緊張を抱えていた。
「おい、なんだ。この堅苦しい雰囲気は」
ガイウスは、張りつめた空気に少し驚いたようだった。
「ガイウス殿下、よろしく頼む」
皆を代表するように、を代表するようにラインハルトが声をかける。
「堅苦しいものではないし、聞いた瞬間に何かが変わるほどのものでもない。
もっと楽にしろ」
ガイウスは本を軽く掲げた。
「絵本を読んでくださるの? まあ嬉しい!
という雰囲気を期待していた」
「はは、ガイウスは面白い。だが、そうでなくてはな」
ゼノスも、ガイウスと一緒に少し遅れてやってきた。
「今から読む本は、帝国に最も古くから存在する、
始祖に関する絵本だ。
おそらく、始祖か俺の祖先
初代皇帝が書いたものだと思われる」
ガイウスは本の表紙を見せた。
「俺はノアを見た時、この本を思い出した。
表紙に描かれている女の子に似ていたからだ。
しかも、月光花も持っている」
そこに描かれていたのは、小さな白いワンピースを着た女の子だった。
白い花を持ち、柔らかな雰囲気で笑っている。
ノアに似ている。
リゼリアも、そう思った。
ゆったりしたソファーに、ガイウスが座る。
「リゼリア、緊張しているみたいだな。
ここに来たらどうだ。皆は俺の隣か、見えるところへ」
ガイウスは、自分の前のソファーの空いた場所をぽんぽんと叩いた。
小さいころ、絵本を読んでもらう子どもが好きな場所だ。
ただ、ガイウス相手に、さすがにリゼリアもそこへ座ることはできない。
「ガイウス殿下。それは父親が子どもに絵本を読む時の位置です。リゼリア様にはしないでください」
ローザが思わず、ガイウスへ告げた。
「ん? 緊張しているから、この方が良いかと思ってな。悪かった」
「いえ、こちらこそ。お気遣いありがとうございます」
「よし。それでは、広げて皆に見えるようにして読もうか」
リゼリアは前に椅子を持ってきて座った。
その横を陣取るのは、ルークとラインハルト。
後ろにはユリウスが座っている。
自然と、リゼリアを守る陣形が形成されていた。
カイルは少し笑いそうになった。
「完璧な位置取りですね、皆さん」
ガイウスはゆっくりと本を開いた。
そして、温かな声で読み始める。
ー始祖のいのりー
生きるものたちの暖かな思いが、命を支えますように。
優しい思いが、誰かを救いますように。
ありがとうの気持ちが、明日の生きる力につながりますように。
そんな思いを届けて、心豊かな日々が送れますように。
何かにすがる願いではありません。
何かが欲しいとねだるものではありません。
今日もありがとうが、
きっとあなたたちの困りごとに寄り添ってくれるでしょう。
その思いが、空へ届きますように。
水へ届きますように。
大地へ届きますように。
花は、いのりを運びます。
あたたかな心を、遠くまで運びます。
そうして、
息がしやすい優しい世界になるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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