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冷徹令嬢は王国最強戦力たちを乱しがち。最強魔導騎士は今日も赤面しています  作者: 荒木カルメン
第2章 動き出したもの

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第24話 進み出す心

お待たせいたしました。お時間をいただきありがとうございます。

今後の投稿スケジュールは活動報告も確認していただけたら幸いです。

第二章、新キャラのガイウス殿下です。

 王城の朝は静けさとほんの少し張りつめた空気が漂っていた。

これからを楽しみにしている期待感、

知ることへの不安や恐怖も飲み込んだような寒さが身にしみていた。


昨晩、皆は王城でそれぞれに割り振られた部屋に荷物を持ち込んだ。

今日から具体的に動けるよう、計画は整えられている。


今日から帝国のガイウス殿下が参加する。

皆が朝食を食べながら今日の予定の確認をしていた。


王は皆へ向けて話し始めた。

「今日から皆には各自で動いてもらう。

ガイウスは今朝ゼノスにせがみ、もう訓練を開始しているそうだ。」


王は笑っていた。

「ガイウスは自由だ。振り回されんようにな」


「帝国がガイウス殿下を協力者として派遣した意図とは何でしょう?」

カイルが尋ねる。


「表向きは、本人がゼノスに稽古をつけてもらえるなら参加したいと望んだ、ということだ。また聖王国の血統と関連がある帝国独自の古い祈りの文化に精通しているのもガイウスだからであろう。

どこまでリゼリアの能力やノアに関連しているかわからないが、参考になるやもしれぬ。」 

「そうでしたか」

カイルは小さく頷いていた。

「皇帝はこちらの動向も確認したいのだろう。

何が起こっているのか。

まあ、だからこそガイウスは信用できる者だ。

正しく知り、帝国だけの利益としてとらえない。

王国やリゼリアのことも大事に思う者だからな。」


朝食を終えた一行はガイウスに挨拶をしようと外の訓練場に向かった。

「ガイウス殿下!王国まで来てくださり感謝する。」

ラインハルトが爽やかに声をかけた。


「ラインハルト!何年振りか、また会えて嬉しい」

大きな体はラインハルトに近づき、両肩を包みこんだ。


帝国式の親しみある挨拶である。


「君は噂の魔導騎士、ルークか」


「初めましてガイウス殿下、師匠ゼノスよりあなた様の勇姿は聞いております」


「ただあの厳しい訓練に食らいついているだけのことだ。宜しく頼む」


「ガイウス殿下、リゼリアの弟のユリウスです。

今回は医療チームに参加します。どうぞよろしくお願いします。」


「ユリウスか!昔、風邪をひいて帝国に来られなかったラレドご子息だな。

体も鍛えるといい」


「別メニューで宜しくお願いいたします」

ユリウスは目を少し泳がせてしまった。


「ガイウス殿下、カイルと申します。商家の三男、どこにでもいそうな一般人です。どうぞ宜しくお願いいたします。」


「王城にいる一般人とは、興味深いな。はは」


赤茶色の、太陽のように輝く髪の毛がそっと風になびいた。

爽やかで純粋な笑顔に力強さも感じた。

人望があると聞いていたのも頷ける。

王族ながらも親しみやすい雰囲気を持っている。


「リゼリア!久しいな。お前は訓練していないな。

昔、体を鍛えることは大事なことだと話したぞ。はは」


「ガイウス様お久しぶりです。

覚えております。一緒に走りましたね。」


近づいたガイウスがリゼリアに帝国式の挨拶をした。

がしっと抱擁し、顔を見て笑顔をむけた。


リゼリアもその様式に合わせ、にこりと返す。


「ガイウス殿下。。。」


ルークとラインハルトが同時にガイウスに視線を向けて呼び掛けた。


「なんだ?」


悪気ない態度、爽やかな笑顔に『なんだ』と言われたら何も言い返せない。


挨拶なのだ。

向こうではただの挨拶。

そう思ってもなんだか腑に落ちない二人。


「ああ。二人とも良い顔をしている。心配するな。ただ、余裕を持て」


この皇子は聡かった。


一瞬で状況を察し、的確なアドバイスを放った。


カイルは全てを把握した。


「自由ですね、さっそく振り回されているようですよ、陛下」

ノートに書こうとして、手を止めた。


◇◇◇


ガイウスは午前中にゼノスとの訓練をあて、

午後はリゼリアに簡単な聖王国と帝国の古い文化の違いを説明するとのこと。

ただ、この話は帝国にも一般的には知られていない話だという。


国という形がまだ定まっていなかった大昔のことだ。

人間が魔法を体系化する前、

自分の内なる魔力をどう使えばいいのかなどわからない。


そんな時代に災害が起こったり、

海が荒れたり、

火山が噴火したり、

作物が育たなかったり、


そんな時に人々は祈った。


良い方向への変化を願った。

自然に感謝し崇拝し恵みを願った。

その純粋な祈りを代表して届けていたのが始祖だ。


感謝の気持ち、自らの行いも改め、そして良くなるように願う。


神へ声を届けやすい位置にいたものを始祖と呼び始めた。


皆の声を届ける役目だ。


その始祖の思いを帝国は大事にしている。

帝国を築いたのは始祖に仕えた騎士だという。


聖王国は始祖の子孫が築いた。


長い年月の中で、教えの一部が変化していった。

正統な血統こそが清く力あるものだ、と。


祈りの力ではなく、自身の持っている魔力を使い人を治癒することも可能となった。祈れば後悔した行いも許されるともいい、都合のよい場所となった面もある。

悪いことではない。

そこに救われる者も多くいる。

概念の違いだ。


ガイウスは、ゆっくりと少しずつ話していた。

それを真剣にリゼリアは聞いている


リゼリアが決心をしてガイウスに話し出した。

この人に話したい。

何かが分かるかもしれないと思った。


「ノアという小さな女の子が突然私の前に現れます。

小さな花を持って。

前回は海が元気になったように感じました。

魚や海の生き物も元気になったようでした。

ただ、自分ではコントロールできませんし、

何を使い、何に作用しているのかもわかりません」


「始祖の名前は明らかになっていない。ただ、始祖は花を大地に捧げていたとのこと。少し共通点は見つかったな」


ガイウスは一呼吸おいてから、続ける。


「今回は関連した資料を持ってきている。

リゼリアは一人で聞きたいか。お前の仲間と聞きたいか」


リゼリアは、もう私だけの問題ではないと感じている。

共有して問題になることもあるが、知っていてほしいと思うようになった。


「皆にも聞いてほしいです」

「そうか、では時間を設けるとしよう」


それから昔話や今のリゼリアの状況を少しずつ話をした。

飛竜のこと、学園祭での出来事、今まで秘匿され自分の力を使おうとしていなかったことなど、ぽつりぽつりとリゼリアは自然に話ができた。

恐らくガイウスの頼りになるお兄さんのような雰囲気だろう。

リゼリアは緊張せず、話をすることができた。


「頑張ったなリゼリア。みんながいて良かったな。」


時には確認をしながらも話をしっかり聞いてくれた。


「よし、リゼリア少し気分転換だ。

少し走って夕食にしよう。

頭を使ったら次は運動、そして飯だ。」


「ふふ、ガイウス様らしいです」


「リゼリアよ、人とは元は原始的で単純だ。

素直にそういう声を聞くことも大事だぞ。

今日は外で網焼き料理を食べたいと陛下にお願いしている。

もうそろそろ良い匂いが漂ってくる。その前に一走りだ」


「ローザ!リゼリアに訓練着を持ってきてくれ」


「ガイウス殿下、すでにこちらに用意しております。」


「リゼリア様、どうぞこちらをお召しください」


「あの二人に見つかると、うるさそうだ。

別の場所で軽く走るぞ。最後に合流しよう」


少し悪だくみをしたような少年の顔をしたガイウス殿下はとても頼もしかった。


きっとそうだ。

ルークもラインハルトも恐らく自分が走ることを止めようとするかもしれない。


でも自分は今走りたい。


「そうしましょう。ガイウス殿下。ご一緒します」


ガイウス殿下は24歳です。リゼリア17歳、ラインハルト17歳、ルーク18歳 です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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