第22話 ダンスパーティの夜と新しい光
ダンスパーティ後
リゼリアとユリウス、ラレド公爵はわだかまりも消え、仲良く帰っていった。
ルークをちょっと牽制していたユリウスとラレド公爵はやはり同じ血が流れていることが分かった。国王とゼノスは二人で楽しく酒を飲み交わしているし、ダンス後の余韻も居心地の良い時間であった。ゼノスがラインハルトに声をかけた。
「そういえば、海の離宮で見た煙火の前に放った光の玉は王子のか?」
「そうです。ただ光っているだけですが、見栄えはいいかと思いました」
「発想がいいな。小さいものを10発後、大きなものを連続で三発出してみて。
大きなものは、最後を一番大きくして」
「師匠、なんでも訓練にしようとする癖が出てるぞ」
「ルークも横で張り合え。
王子が小さいもの出している時は大きな煙火みたいなやつ。
大きなものの時は小さいもの。協力して何回か繰り返して」
「やるぞ、ルーク」
「わかった、ラインハルト」
「空なら、お嬢ちゃんたちも楽しめるだろう」
パーン、大きな音が響き、炎の暖かな色の煙火とともに夜空に綺麗な光が散った。
今は空を誰しもが眺めているのだろう。
城外からも歓声が聞こえ始めている。
「ルーク、早い。私を待て」
「ごめん」
二人は難しいお題にもかかわらず、苦戦しながら楽しそうに取り組んでいる。
「今日の締めにはちょうど良いな。酒が進む」
「今頃、あいつがちょうど王国入りしているはずだ。もてなしの余興だ」
◇◇◇
「すげーな、空を見てみろ。ローザ」
「ガイウス様、あれは魔法ですね。魔力量やコントロールの精密さが高い。
上位魔術師でしょうか」
「帝国もいいが、王国も面白いな」
アトラス帝国の第三皇子 ガイウス・フォン・アトラス
は豪快に笑っていた。
炎の魔法が得意で剣術は帝国でも実力を評価されている。
民から人気があり、騎士団にも忠誠を誓われ、人望が非常に厚い。
本人は自分に素直に行動しているだけであると言う。
筆頭近衛のローザ・カビールは馬車を止めて出てきたガイウスの近くに駆け寄った。
「もうすぐ本日の宿に到着します。街の名前はドラコ。
火竜が始祖と約束をした土地との伝説があるそうです」
「そうか、王国にも始祖と竜の物語か」
「…とにかく腹が減った。肉が食べたい」
「こちらでは最近、魔牛が食べられるようになったそうです」
「魔牛とは!面白いな。厚めに切った肉で食えるといいんだが」
「最初は煮込みがよろしいそうです。毒見の後に用意させましょう」
「今日は沢山食べて寝る。数日後にラインハルトとリゼリアに会えるのだろう」
「その予定です、ガイウス様」
「楽しみだな」




