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冷徹令嬢は王国最強戦力たちを乱しがち。最強魔導騎士は今日も赤面しています  作者: 荒木カルメン
第一章 溶けあう気持ち

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第18話 内なる気づき

給仕の男たちは素早く役割を全うしようとした。


一人がリゼリアとルシアに近寄り、二人がラインハルトとルークに立ちはばかる。


「ルーク、俺の背中も任せたぞ」


「一緒に戦うぞ、ラインハルト」


二人は言葉を交わしあった。


ラインハルトは先制して三人の鳩尾に光の玉を打ち込んだ。

光は眩く敵の視界をゆがませた。


ルークがすかさずリゼリアたちに近づいた男へ回し蹴りを放ち、バランスを崩させる。

背後へ回り込み、一撃を叩き込むと男は倒れこんだ。


ラインハルトは正面にいる二人へ光の剣を打ち込んでいた。

ルークがラインハルトに目を向けて雷魔法で援護する。


一瞬動けなくなった隙を狙い、ラインハルトは光魔法で男たちを拘束した。


護衛のものたちが飛んできて、男たちを担ぎ連行していく。


「リゼ!」


ルークが再度リゼリアのところへ戻ってきた。


ラインハルトも近寄りリゼリアの無事を確かめ、ルシアのそばへ寄った。


「ルシア嬢、大丈夫か?」


「はい、殿下」


ユリウスの浄化と鎮静魔法で意識がはっきりしてきており、ラインハルトに応えられていた。


「ひとまず安心したよ」

ラインハルトは安堵の息を吐いた。


そこへカイルが駆けつける。

「殿下、会場のテーブル下に隠されていたキャンドルです。

これに興奮作用のある花のエキスと薬物が混ざっているようでした。」


ルシアはそのキャンドルを見て動揺した。


以前母親のナディアが、教会の副司祭からサンプルにいただいたと話していたものにそっくりだった。

その時は、薬物は入っていなかったのだろう。

香りは甘く良いものだったことを覚えている。


「殿下、そのキャンドルは見覚えがあります」

「ルシア嬢、何か知っているのであれば教えてほしい」


「殿下、まずはルシア様、リゼリア様には控室で休んでいただきましょう。

教師が生徒を別の部屋に移動させています。

来賓は状況説明のため、別室で待機していただいています。」


カイルが状況を説明した。


「わかった。まずは生徒だ。スザンナ嬢とオビエドに声をかけよう」


騎士の寸劇を行った会場で体調が回復した生徒が椅子に座っていた。

今起きた出来事は何だったんだろうとそれぞれで話をしている。


不安、疑問、恐怖いろんな負の感情が伝わってくる。


ラインハルト、オビエド、スザンナは壇上へ上がった。


ラインハルトは、すっと息を吐くと声をあげた。


「皆、ダンス会場に不備があったようだ。迷惑をかけてすまない。

体調が優れない者は遠慮せず教えてくれ。

何か不審な状況を知るものも頼む。


今はこうして優秀な教師陣、護衛、そして勇敢な生徒によって事なきを得た。

緊急事態の時に皆で協力し合い、立ち向かい解決できたことを嬉しく思う。


ここにはいない

ルーク・デ・バルケラは不審な侵入者の対応、

ユリウス・デ・ラレドは全体の鎮静・浄化魔法にて皆の回復に努めた。

最後にリゼリア・デ・ラレドは自身の体調が悪化する中、適切な状況把握と対応を行ってくれた。

皆で感謝をしよう」


一呼吸をおいたラインハルトは付け加える。

「私たち全員が力を合わせ、学園を、そして王国を守り、より良い未来を築き上げていこう」


生徒が一斉に拍手をして感動していた。


「最後に、これから皆が一番楽しみにしていたダンスの時間としよう。

短いが2曲までだ。

この会場で楽しんでくれ」


ラインハルトが話し終わると会場が拍手で埋め尽くされた。


遅れて、ラインハルトの横にやってきたカイルが付け加えて生徒たちに伝える。


「学園祭の企画、運営を学園のために働いてくださりありがとうございました。

ラインハルト殿下、オビエド様、スザンナ様。 

生徒のみなさん、学園祭準備委員の方々にも拍手をお願いいたします」


舞台にいる全員で一礼し、舞台を後にした。


◇◇◇

ソファーに横たわっているリゼリアのそばにルークはいた。

ルークはしゃがみ込み、リゼリアの手をしっかりと握っている。

ルークは心配そうに顔を覗き込んでいる。


けれど、リゼリアはすでにユリウスのおかげで回復しており体調に問題はない。

あるとすればこの状況だ。

薬の影響であったが、

リゼリアはルークに『行かないでほしい』とそばにいることを求めてしまった。


ルークは私にとって安心する人だから?


今自分の鼓動が早くなってなんだか落ち着かないのは何?


大丈夫だといっても離れてくれないルーク。

リゼリアは視線を合わせないようにしながらぼんやりと考えていた。


「リゼリア!大丈夫か?」


扉が勢いよく空き、ラインハルトが入ってきた。


リゼリアは起き上がり、ラインハルトの方に微笑んだ。


「殿下、体調は回復しています。ご対応ありがとうございました」


「ルーク!その手を放して離れろ。今は私の番だ!」


離れようとしないルークに少し腹を立てながら、

片手でルークの肩をパンパン叩いている


ようやく離れたら、ラインハルトはすかさずリゼリアの横に腰をかけ、

頭をポンポンと優しくなでた。

その後リゼリアの頭を少し自分の方に引き寄せ、肩に寄りかかるように誘導した。


「リゼリア、よく頑張ったな」


「殿下も頑張りましたね。お疲れでしょう」


「今、リゼリアに癒されているから問題ない」


「ラインハルト、リゼに近い!」


「殿下! 姉上をそっとしておいてくださいよ」


ルシアは対面でリゼリアに起こっている状況を把握するのに時間がかかった。


いつも完璧なラインハルトが怒ったり、甘えたり、忙しそうなのだ。


ルークに関しては、大きな体を小さくしながらリゼリアのそばを離れない。


リゼリアの弟に至っては、姉のために王国最強戦力も王太子も関係なく注意をしている。


リゼリアは自分から好意を寄せて言い寄っているわけではない。

王子の婚約者にも王妃にも興味はない。

だけど、ラインハルトもルークもリゼリアのそばにいたいようだ。

リゼリアの前では、ラインハルトが感情的になったり、子どもっぽい行動をとる。

そんな王太子は知らない。


ルシアはラインハルトのとなりにいる自分をいつも夢見ていた。

だが、王妃を目指すばかりでラインハルトに目を向けていなかった。

母親がそうなるべきだといったから従ったというのもあるが、自分もそうすべきだと自分でも決めた道であった。


自分にも、殿下にも、リゼリア様にも向き合っていけば良かった。


後悔と申し訳なさとうらやましい感情が湧き出てくる。


「今回使用されていたお香は見覚えがあります。

もしかしたら、母、教会が関与しているかもしれません。

リゼリア様に何もなくて、また殿下や生徒たちに何もなくて本当に良かったです。

殿下、私は道を改めなければなりません。

王妃を目指していましたが、私にはそんな資格はありませんわ。」


「ルシア嬢、君は学園祭を成功に導いてくれた。

本当によくやってくれたよ。

今日は君も被害者だ。君も疲れているだろう。

また後日知っていることを話してくれ。私が寮の自室まで送ろう」

心配そうに声をかけるラインハルト。


「お願いします、殿下」


立ち上がり、ラインハルトがルシアをエスコートしようと構える。


「ゆっくり休まれてください、ルシア様」

リゼリアがルシアをみて微笑む。


この方は、本当は優しく愛されるべき人なのね。


権力最高位の人と武力最高位の人が遠慮なくリゼリアを取り合っている。

御相手は大変ですわ。


「リゼリア様の周りは賑やかですわね」

ルシアはふいに言葉がでてしまった。



最後まで読んでいただきありがとうございました!


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