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冷徹令嬢は王国最強戦力たちを乱しがち。最強魔導騎士は今日も赤面しています  作者: 荒木カルメン
第一章 溶けた気持ちと強き想い

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第15話 支えになるもの

夏季休暇が終わり王立学園に日常が戻ってきた。

休暇中何をしたか、ダンスパーティーの相手は決まったか、

騒がしくも楽しそうな雰囲気が漂っていた。


学園祭準備委員の活動が始まる。


本日の議題は学園祭で行う催し物の内容決定だ。毎年恒例のダンスパーティー以外に2つほど催し物を決定し生徒間で取り仕切る。目的は生徒間の交流だが、来賓や高位貴族へのアピールの場でもあった。


例年では歌劇や剣舞、ドレス披露ショーや研究発表などが人気だ。

3か月間の準備期間が設けられており、この決定は準備委員に委ねられる。

ラインハルトもカイルも今日の会議に少しばかり緊張していた。 


皆が集まった席でカイルは笑顔を向け、会議の始まりを伝える。

「お時間を割いていただきありがとうございます。

只今から会議を始めたいと思います。

本日は学園祭の催し物を決定する会議となっております。

何かご意見等ございますでしょうか」


ルシアが美しい姿勢で座っており、優雅に手を軽く挙げた。


「失礼いたします。


夏季休暇中の茶会や夜会にて、学園生徒の令嬢たちから要望を伺っておりました。


中でもドレス披露は開催を望む声が多く上がっております。


私の意見としまして、


今回は殿方もフォーマルなお姿を披露する案を付け加えたいと思います。


女性のドレスと合わせて披露することで、様々な場での礼装選びの参考になるでしょう。」


「ドレス披露は華やかで人気も高いものですよね。」


カイルは笑顔をルシアに向ける。


ルシアはちらっとリゼリアに目を向け、話しかけた。


「リゼリア様はいかがでしょうか」


突然の問いかけに驚いたが、リゼリアは表情をかえずに答えた。

「ルシア様のご意見とても素晴らしいです。生徒の要望を確認していること、男子生徒たちも参加できる取り組みは良いですね。」


「披露する側は人数を制限すること。

ドレスも華美すぎず、決めた予算内のものにすれば、貴族だけでなく多くの者が楽しめるのではないかと思いました」


リゼリアは少し間を置き、考えを述べた。


「ルシア嬢、委員だけでなく、生徒を取りまとめてくれて感謝する。また意見も素晴らしいものだ。


反対がなければ案として決めたいが、どうだろう」


ラインハルトが皆に呼び掛けた。


「よし。これは決定だ。

他はどうだ、オビエド。

何かあるか?」


「王道で剣術演舞、人気は騎士道を描いた寸劇。

騎士が生徒を主人として、もてなし尽くすカフェテリアの希望が少々熱心な女生徒たちから案が出ているとのことです。」


「騎士も人気だが大変だな」


「自分としては、カフェテリアはもめ事が起きるから避けたいです。

特にバルケラは剣術大会で人気を博しましたからね。誰かに集中的に客が付くのも困る。」


オビエドは苦笑いをしながら殿下に伝えた。


「素敵な方に自分の騎士になってもらいたいのは女子生徒にとって憧れですわ。


相手を選ぶのはもめ事になります。


なので全生徒参加型で、生徒同士でペアをこちらで公平に決定する。騎士と姫ごっこをするのはいかがですか。

寸劇とカフェの良いところを合わせました。」


「ルシア嬢はさすがだな。私は賛成だ。

全生徒参加なら楽しみもあるし、良い交流のきっかけになる。

また事前準備はどのような内容にすべきかの検討だけで、準備の負担は少ない。」


「ルシア様、良い案の提示をありがとうございました」


「ルシア様、騎士科の負担を考慮いただき助かった」


カイルやオビエドがルシアにお礼を言った。


「とんでもありません。皆さまや殿下のお役に立てたのなら嬉しいですわ」


「それでは、今年の学園祭はドレス披露、参加型騎士寸劇、ダンスパーティーで決定しました。

皆さまのご協力に感謝いたします。

各項目の責任者を決めたいと思います。」


「そうだな。ドレス披露はルシア嬢と令嬢達からの意見なので、ルシア嬢にお願いしたいのだが、いいだろうか」


「はい、喜んで承ります」ルシアは堂々と返事をした。


「ダンスパーティは毎年恒例のため、やることは決まっている。一年のスザンナ嬢にお願いできるだろうか」


「はい、ご配慮ありがとうございます。承ります」


「最後に騎士寸劇は、リゼリアにお願いしても良いかな。オビエドと協力してくれ」


「はい、承ります」

リゼリアは少し戸惑いながらも返答した。


「続きまして、招待客への案内状の確認、来賓対応の詳細、スケジュールの決定等ございます。スケジュール決定や必要物品請求等は私、商家の三男が頑張らせていただきます。」


「それでしたら、来賓対応や案内状は私がスザンナ様とリゼリア様と一緒に行わせていただきますわ。よろしいでしょうか」


「ありがとうございます、ルシア様。

それでは本日の会議で決定すべき項目は以上となります。


この会議室は学園祭準備委員の部屋として適宜ご使用ください。

また次回会議は進行状況を確認するため追ってご連絡いたします。

本日はご参加くださりありがとうございました。」


会議が終わり、ルシアがリゼリアとスザンナに声をかけた。

「案内状の確認はどの来賓が来園されるか把握する良い機会ですので、スザンナ様にお願いいたします」

「承知しました、ルシア様」


「来賓対応の詳細も例年と同じように行えば問題ないでしょう。私の方で資料を作成しましょう。リゼリア様は何をなさいますか」


突然話を振られたが、リゼリアは冷静に答えた。

「案内状で出席を確認できた方々の会場内での席の用意、


飲食物の嗜好や口に出来ないものの確認と情報共有は必要でしょうか。


各催し物での会場設営をどのようにするかで、スケジュールにも影響がでます。


ドレス披露は観覧、参加型寸劇は見本となる方が見えるようにするものの、生徒の場所は余裕が必要でしょうか。


確認事項の列挙等、皆様の補助ができましたら幸いです」


「ありがとうございます。リゼリア様。

あなたが私たちを支えてくださったら心強いですわ。

それではどうぞ宜しくお願いいたしますね、皆さん」


堂々と美しく一礼をし、ルシアは去りながら小さな声で小言を口走る。


「私は学園にも王国にも立派に貢献できる。


国は、殿下は、私が必要です。お支えしなければなりません。


お母様や教会のあの御方はおっしゃっていました。


『混じりある血は必要ありません。殿下、ひいては王国の害になりますと。

はっきり悪だと』


ルシアは自分に言い聞かせるように言葉を吐き、手に力を入れ扇子を握りしめていた。


カイルは廊下にある窓から外を眺めていた。

だが、その小さなつぶやきを一部始終聞いていた。


ルシアが去った後、オビエドはリゼリアに声をかけた。


「リゼリア様、どうぞ宜しくお願いいたします」


「こちらこそです、カルネ様。


ただ、女生徒が喜ぶ騎士の寸劇とはどのようなものでしょうか。


ルシア様に確認したほうがよろしいでしょうか。


私が役に立てればよいのですが」


オビエドは心配そうなリゼリアを見て笑顔で答えた。


「それくらいなら私も想像がつきますよ。物語のように、女生徒は騎士の忠誠に憧れがあるようです。こうやって、姫に跪き」


オビエドはリゼリアに歩み寄り、片膝をついて見上げた。


「お手を出していただいても?」


「はい」


オビエドはリゼリアが差し出した手を片手でそっと支え

手の甲に軽く唇を寄せ、ぎりぎり触れないところで止めた。

顔を上げて見つめて伝える。


「わが剣も、命も、全て貴方のもの。この身が尽きるその時まで、どうか貴方のそばにいることを誓います」


「!!!」


オビエドの真剣な眼差しにリゼリアは戸惑いが隠せなかった。

少し頬を赤らめている。


そこへ会議が心配だったルークとユリウスが駆け付けた。

そして会議に参加していたラインハルトも同時にその場面を目撃して驚いていた。


「カルネ様!?」

「オビエド?!!!」


「ん? 寸劇の一例だが?

リゼリア様がどんなものだろうとおっしゃっていたので、試しにやってみた。」


ルークは心の声が漏れていた。

「いいな。俺がその役やりたい。」


「いや、私だろう、ここは譲れ」

ラインハルトがルークに反応する。


「姉上は参加しない枠でどうでしょうか」

もめ事を回避し姉を守ろうとする弟。



「リゼリア様の周りには支えてくれる騎士がたくさんいるな」


オビエドはその光景に苦笑しながら眺めていた。


男たちは、しばし混乱していたが。


◇◇◇


カイルはノートを握りしめ、足早に出かけていった。



最後まで読んでいただきありがとうございました!


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