閑話 狼とウサギ
本日はこちらの閑話と、夜に本編投稿予定です!
アイハンド家にとって、因縁ともいえる「怪物の山」へ、当家領主のゴルドと側使えのリンゼを連れて行くための、最強決定戦が公布される。
クローナとキャロットは、焦りを覚えていた。
「アタイら・・・勝ち進めるかな」
「きっと行けるよ!気持ちで負けてたら!勝てるものも勝てないよっ!」
クローナはすでにダウナーだが、キャロットは気丈に振る舞う。
「ヒロもローガン団長に、稽古つけてもらうんだって、ずっと修行モードになってるし・・・」
「うーん。私たちは素手だからねぇ。剣とかはからっきしで、修行の邪魔になっちゃうから・・・」
ヒロは既に行動に出ているようだ。
クローナは、取り残されたような寂しさを覚えて、膝を抱えて地面に座っている。
「もうー、なんで人数制限するのさ・・・ゴッド様守りたい奴ら全員で行けばいいのに・・・」
「山での行軍となると、多すぎる護衛は悪手だから」
キャロットは冷静に、クローナの泣き言に返す。
人のいいゴッド様の事だし、中途半端な力量の者がいれば、体が勝手に動いて、助けようとすると思うよ、自分の身も顧みずね、とキャロットは付け加える。
それでは意味がない。
クローナは、頭の中ではそう理解していた。
「領主であるゴッド様を、完璧に守れる。圧倒的強者のみが、今回は求められているんだよな・・・」
「そういう意味では、騎士団長のローガンが選考外なのは助かるよねぇ」
キャロットが、ははは、と乾いた笑いをする。
まず彼に勝てるビジョンが湧かないのだ、これは領内全員が思っている。
「あの人だけは別格だもん。ヒロもまだ勝てないし、ヴォルクだってやられたって聞いたよ」
「立場のある役割ってのは損だねぇ。こういう時、本当は付いていきたいのに、それが許されないんだもんねぇ」
キャロットの、何気ない感想が、ふと、クローナに沁みる。
「・・・アタイは、ヒロに付いて行きたいっていう気持ちの方が強い・・・。もちろん、ゴッド様は守りたいよ。アタイら獣人を受け入れてくれたし、いい人だし・・・でも、1番は・・・アタイの1番はヒロなんだ」
クローナが、噛み締めるように言う。
キャロットも、そこは否定しない。
「・・・やっぱダメかなぁ~。ヒロはゴッド様信者だし、ヴォルクもボスボス言ってて犬みたいだし、シルヴィとか、もう変態騎士だし」
「うん。何となく言いたい事は分かるけど、後半ただの悪口だよ?やめようね?」
キャロットがそこは嗜める。
クローナは、ごめんなさい、と言いつつ、まだウジウジしていた。
「参加表明してるけど、勝ち残り式だろ?ヒロに当たったら意味ないしなぁ~」
「なんで意味ないの?」
クローナのぼやきに、キャロットが質問をする。
「え、だって・・・アタイはヒロと行きたいんだもん」
キャロットは、キョトンとしてから、少し笑って言った。
「そりゃダメだ。そんな気持ちじゃ、ヒロに嫌われるね」
「ええー!なんで!?なんで!?」
「クローナだって知ってるじゃない」
慌て始めるクローナに、キャロットは仕方ないなぁ、と言わんばかりに答える。
「ヒロは、ゴッド様を守るって、宣言してるのよ。それが1番、ヒロにとって大切な事」
ーーーだから、私はそれを全力で手伝う
キャロットがそう宣言する。
風が一瞬、過ぎ去った。
キャロットの、耳と髪が揺れる。
「私は、ヒロに『キャロットは必要だ』って言われたい。そして、堂々とヒロの側に立ちたい・・・なら、やる事は一つ」
ヒロ相手でも、全力で戦うよ。
倒すつもりで行く。
キャロットはそう宣言して、立ち去ろうとする。
「ど、どこいくの!」
「獣人仲間に稽古の依頼してくる。私は獣人は、野生の勘を磨けば磨くほど、速く、強くなるからね」
「私も行く!」
クローナは走り出す。
キャロットを追いかけて。
その先に見える、ヒロの背中を追って。
脇役たちも、しっかり描写していきたい。
となると、やはり閑話などが増えてしまう汗
閑話もばっちこいという方は、お気に入り登録か感想でぜひお声がけください!
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。




