表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/70

第44話: 火の神の神殿、氷の装飾を施しましょう

「……来るがいい、我が一族が数千年守り抜いた、破壊の権現! 古代火神アグニよ!!」


 カエン帝国の中心、紅蓮の大神殿。

 カグツチが自らの血を捧げ、禁忌の門を開くと、そこから噴き出したのは、空をどす黒く染めるほどの超高温の焔だった。


 咆哮と共に姿を現したのは、全身が溶岩で構成された、巨神の姿。

 その熱量は凄まじく、神殿の周囲の岩石が一瞬で蒸発し、大気が焼き切れるような高周波の音が響き渡る。


「あーあ、パパ。あの神様、ちょっと怒りすぎだよ。空気が焦げてて、ママの喉に悪そうだ」


 神の威圧を真っ向から受けながら、エリアスは欠伸を噛み殺していた。

 彼の隣では、ジークフリートがリリアーナをマントの下に抱き込み、不機嫌そうに空を仰いでいる。


「……眩しいな。リリアーナ、目を閉じていろ。あんな不細工な光を見る必要はない」


「旦那様、それどころではありませんわ。あの神様、この大陸そのものを焼き尽くすつもりです!」


「……やらせるわけがなかろう。私の散歩コースを更地にされるのは迷惑だ」


 ジークフリートが軽く指を鳴らす。

 刹那、神殿の屋根から壁、そして燃え盛る溶岩の川までもが、一瞬にして厚い白銀の氷に覆い尽くされた。

 火神アグニが放つ熱量と、ジークフリートが放つ冷気が激突し、凄まじい水蒸気が爆発するが――その霧さえも、ジークフリートは瞬時に氷の粒へと変え、美しいダイヤモンドダストへと昇華させた。


『……ヌ、オォォ……ッ!? 我ガ炎ガ、凍ル……トイウノカ……!?』


「……神を名乗るなら、もう少し骨のある冷気を吸い取らせろ。お前の焔は……そうだ、息子が『空腹』だと言っているぞ」


 ジークフリートの視線の先、エリアスが目を輝かせてアグニを見上げていた。


「パパ、あのご飯、すっごく高級な味がしそう! 食べていい? 全部食べていい!?」


「ああ。食べ過ぎて腹を壊すなよ」


 エリアスは満面の笑みで、巨大な火神に向かって小さな手を広げた。


「いただきまーす!」


 エリアスの口元、そして掌に、不可視の「魔力喰らい」の渦が発生した。

 カグツチが絶望的な声を上げる中、火神アグニの体――数千度の溶岩と焔が、まるで掃除機に吸い込まれる煙のように、エリアスの体へと吸い込まれていく。


『ギ、ギヤアアアアアッ!? 我ガ、我ガ神格ガ……人間ノ子供ニ、喰ワレテ……ッ!』


「……嘘よ、そんな……。我が国の守護神が、あんな……一口サイズのおやつのように……っ」


 カグツチは膝をつき、呆然とその光景を眺めていた。

 数分後。

 そこには、ただの「大きな岩」と化したアグニの残骸と、満足そうに自分のお腹をさするエリアスの姿だけが残っていた。


「……げふっ。パパ、美味しかった! でも、ちょっと後味がピリピリするかな」


「そうか。なら次は、もっと冷やしてから食べるんだな。……さて、カグツチ」


 ジークフリートが、凍りついた祭壇の上に足をかける。

 彼の足音が、静まり返った神殿に冷たく響く。


「……リリアーナを『生贄』にする計画、まだ続けるつもりか? 次は、お前自身の魂を私の氷の苗床にしても構わないんだぞ」


「あ……、あ……」


 カグツチには、もう答える言葉も、戦う力も残されていなかった。

 

 アイスベルク帝国の皇帝一家。

 彼らにとって、神話の神とは、ただの「家族旅行の食事」に過ぎないのだ。

「神様をおやつにする」皇太子エリアス様、いかがでしたでしょうか。

カグツチ様の絶望、そしてジークフリート様の相変わらずの余裕……。

これぞ、世界最強の家族の「ざまぁ」の形ですわね。


* 「アグニ様、退場が早すぎて可哀想だけど笑っちゃう!」

* 「エリアス君、まさにパパとママのいいとこ取り。強すぎる……!」

* 「閣下がママの喉を心配して神殿ごと凍らせるの、過保護の極み!」


と感じてくださった方は、ぜひ【ブックマーク】の継続、そして【評価】をお願いします。

皆様の応援が、エリアス様の次なる「獲物」を見つける力となります。


次回、第45話「カエン帝国の降伏――そして始まる『温泉旅行』?」

霧島 結衣でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ