第六話 「躊躇い」
情けなく蹲る白髪の少年は本当にあの凶悪なウサギなのだろうか。
何度も疑問に思ったことだ。
ついさっき自分のせいで仲間が一人死に、また自分の不注意で仲間を死なせてしまっては自分の正義に泥を塗ってしまうとフィアは手を震わせていた。
が、フィアの懸念は杞憂だった。
むしろ自分が庇う動作を取ったことでアビスという少年を傷付けてしまったらしい。
「アビスくん。ボクはもう何が正しいとか分からないよ」
差別される辛さは自分が一番分かっているはずなのにそれを他人にしてしまった。
きっともうアビスは許してくれないかもしれない。
それでも正義は守る。
「みんなは戻っててくれ。ボクはやることができたよ」
新兵四人は不安そうな表情を浮かべながら騎士団内に入って行った。
「アビスくん、君は逃げるんだ。あとはすべてボクが片付ける」
アビスの肩にポンと手を置いて消えてしまった。
アビスは何が起こったか理解できずに、地面に座り込んだまま辺りをキョロキョロする。
「……逃げるつったってどうしたらいいんだよ」
アビスのガラでもない行動を見て思うことがあるのだろう。
困惑か呆れか、あるいは軽蔑か。
感情を出すのが苦手だったはずのアビスが叫び散らかし、理不尽な事実に嘆いていた様子は見るに堪えない物だったはずだ。
アビスは蹲りながら後悔した。
きっともう彼女が俺の前に現れることはない。
「グロいな……」
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一方、騎士団内に怒の形相で地を踏みしめるフィアはあまりに孤高の存在だった。
フィアを尊敬する者。
フィアを憧憬とする者。
そしてフィアの上に立つ者でさえ声は掛けがたい。
彼女はそれを気にすることなくヅカヅカと歩み続けている。
フィアの目的地は男のもと。
彼女が帰宅途中聞いた声は男の物であり、状況を察するに男が誘導してアビスを追い詰めたのだろうと結論付けた。
他にも可能性はいくらでもある。
ノクトが嫌がらせをしたとか。
団長が自由行動を取り消したとか。
もしくはアビスがウサギとして演技をしているとか。
だが第三騎士団と第八騎士団の裏の繋がりを知っているフィアだからこそ考えつく最もポピュラーなものは男による誘導だ。
「おい!あの子はウサギじゃないと言ったはずだ!」
着てはいけないはずの騎士団の制服を着た細身の男が足を組んで座っていた。
「何がしたいんだ君は!」
「白髪のガキの死体があれば俺は満足だ。お前がとっとと殺せばよかったんだがまぁ他のやつがアイツを殺せば同じことだ」
「他の人が殺すとは限らないだろ」
男は「はぁ」と呆れ気味にため息を吐く。
「お前が知らないはずもないだろ。この世界には『ウサギに死んでほしい』て思ってるやつよりも『ウサギを殺したい』て思ってるやつの方が多いんだぞ。ウサギを殺したいのはお前だけじゃぁねぇんだ」
もし探し続けていた親の仇がどこかで死んでしまっていたら自分の努力は無駄になってしまう。
フィアはそんな自分を思い浮かべて俯いた。
「ガラじゃぁねぇな」
俯いたフィアに対してそう言い放った男は立ち上がり、両手を背中の後ろで合わせて体を伸ばす。
「俺が殺してくる。騎士団のやつらはビビりなやつばっか。ウサギを相手に出来ねぇだろうからな」
「待ってくれ。アビスくんは死んでも死なないよ」
「ついに頭だけじゃなく目もイカれたか」
彼が本当にウサギなら死んでも死なないという事実を信じるに違いない。
にも関わらずアイゼン団長もこの男もなぜかその事実は信じない。
「それはウサギがだろ?アイツはウサギじゃねぇってお前が言ったんだ。なら俺でも殺れる」
「そうかい。君はウサギじゃなくても白髪の少年だったら誰でもよかったのかい」
そう言ってフィアは藍色の零剣を抜き、高く掲げた。
「はぁ?お前は俺を殺せんのか?」
「どういう意味だい?」
「俺が死ねば──!」
フィアは何か言いかけた男に容赦なく剣を振るう。
男は間一髪で回避。
魔法術式の発動が遅ければ左右に綺麗に裂けていただろう。
「クソが、お前だけは相手にしたくねぇんだよ!」
男はまるでヘビのようなウネウネとした動きで体を縮めて、そのままドアと床の隙間から離脱する。
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態度の大きいこの男からは想像もできないフィアへの恐怖心を顕にしていた。
ウサギを探すため小走りで移動する。
フィアに恐怖している自分を誤魔化したいが、やはり急がなくてはいけない。
ウサギが逃げてしまうかもしれない。
──否、フィアからできるだけ遠くに逃げたい。
決して生に執着があるわけではないが、男にはどうしても生き残らなければならない理由があった。
生きて帰ればまた依頼を受けられる。
騎士団を飛び出し、白髪頭を探した。
騎士団の制服を纏っている男は、騎士団特有の巨大な扉を堂々と開けられる。
「ウサギやろう!」
白い頭を発見した!
しかし白髪のその少年は小さく蹲り、一歩も動こうとしない。
「何やってんだアビス。お前は逃げたんじゃぁねぇのかよ」
アビスのことをウサギだと叫んだことはバレてなさそうなのでこのまま続ける。
「アビス。もうここはお前には危険だ。とにかく走って逃げるんだ!」
アビスは目尻を下げ、今にも涙を零しそうな表情で男を見つめる。
アビスは困惑していた。
ついさっき裏切った細身の男がまた同じことを言っているのだ。
信じられるはずがない。
「何言ってるんですか。俺に逃げ場なんてあるはずないでしょ。この世界が俺の敵なんだから」
「一刻も早く遠くまで逃げねぇとてめぇは死ぬんだぞ?!」
「俺は……もう動けねぇよ」
「気持ちわりぃやつだな」
その刹那。
フィアが空気の中から出てきたように忽然と姿を表す。
足音も無く、気配を無く、突然だった。
男はその事実を受け入れられず、その光景に目を疑い、癇癪を起こす。
「──っ!くそったれ!」
腕を太く膨らませ、バネのように正拳突き。
フィアは瞬間的な速さのバネ拳を斜め方向にしゃがみながら躱し──切断。
時を越えるフィアの斬撃が男の太く伸び切った腕橈にヒットし、男の腕は錐揉みしながら宙を舞う。
「あぁぁぁあくそがぁぁあ!」
片腕を失った男が痛みに叫びながら、フィアに背を向けて逃走する。
アビスは、小さくなり腕を再生させた男を確認するとフィアと目を合わせた。
「あの人はなんで腕生えてるんですか?」
負乗術を疑わなかったとアビスの発言でフィアは深く安堵した。
「あの男の魔法は体を自由自在な変形できる。体を切断されても再生できるんだよ」
「追わないんですか?」
「いや?──ぶぅっ殺す!」
フィアの魔法術式、刻操術は時間を操るというより座標と広さ、術式対象を指定する空間魔法に近い。
時間停止を自分を含めた範囲に指定すると視界は暗くなり、呼吸もできない。
故に自分を省いた座標を指定するのが基本的である。
フィアは男を中心に座標を設定し、男だけを停止させた。
アビスはその光景に呆然とする。
時間停止中に傷はできないため、フィアの斬撃は時間停止解除後にヒットするように設定されている。
「……」
フィアによる無数の斬撃がヒット。
男は血液をまき散らしながら空中を回転する。
「……」
しかし、致命傷となるはずの傷も瞬時に再生し、まるでフィアの攻撃は無意味かのような不適な笑みを浮かべると、すかさず走り出す。
「くそぉぉ!」
フィアは怒り任せの攻撃が男には無意味なのだと悟った。
魔法術式にも相性があるとはいえ、結局アビスのことを信じ、守ると決めたその正義が汚されている気分だった。
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なぜこの世界の人はみんな当たり前のように人を切れるのかという気持ちと、フィアが俺のために動いてくれているのに何もできないもどかしさを感じていた。
自分ができることを探しても見つからない。
自分には生きてる意味なんてないのに探そうとする姿勢はあまりに滑稽であろう。
──情けない。
俺以外の人間がこの世界のプレイヤーだったならもっと上手く立ち回れていたかもしれない。。
半年以上引き籠もっていた俺がこんな残酷な世界に来たところで何ができるというのか。
この通り、一人で立ち上がることもできない。
人生でこんなに泣いて叫んだのは初めてだ──。
「フィアさん、俺は何をしたらいいですか?」
「君は何もしなくていいよ。ボクがすべて片付けるから」
「何もしなくていい」と言っている側は善意で言ってるのだろうが、言われるこちら側はそれが辛い。
「俺は何もしないのが辛いんです。何かさせてください」
なんだろう。
フィア相手だと多少の我儘は聞いてもらえる気がする。
「そうかい。ボクではあの男を倒せないらしい。だから……そうだな……君の知恵を貸してもらえると助かる」
「知恵?ですか?」
「うん」
知恵ってなんだよ。
何にも思い付かねぇよ。
「悪いんだけどボクは見失わないようにするから」
そう言い残してフィアは消えていく。
小さくなるフィアの背中に手を伸ばすが、届かないその距離に寂寥感を感じた。
「俺キッショ」
と、小さく呟いた。
俺にできることとは何か。
力もない、頭もない、人望もない、自信もない。
そんな俺ができること。
知恵を貸して欲しいとハッキリ言われたにも関わらず俺の体はブレーキがかかっている。
誰かに頼られたことが死ぬほど嬉しいにも関わらず、動けない。
立てよ俺!立てよ俺!立てよ!立てよ!立てよ!立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ立てよ!!!!なんでだよ!
体が起き上がらない。
呼びかけてもビクともしない。
決して力が入らないわけではない。
なのに動かない。
立てよ!
俺以外のヤツが俺でも動けないはずだ。
知らない罪を被せられて、白い頭で風評被害を受けて、話しをする前に切られる。
誰だってこうなる。
立てよ。
失恋して、友達を失って、居場所がなくなっただけで引きこもるような俺に何ができる。
立ち上がればあの男を倒さなければならないんだぞ。
たてよ……
いや、無理だ。
俺には無理だ。
間違いなく無理だ。
できやしない。
俺は断固として行動拒否した。
二度とここから動かないし、話しかけられても無視してやる。
諦めたその瞬間、俯いた俺の体に影を被せる少年がいた。
日光が遮られると俺は上を向く。
「おい、ウサギもどき」
聞き覚えがない声だった。
その声音は、怒ってるわけでもなく、焦っているわけでもなく、無であった。
「頭白いだけで勘違いされて可哀想だな」
恐らく俺のことを不憫に思い言っていることではない。
「あのウサギが逃げたぞー!て言ってたヤツはあれだろ?逃げてったヤツ」
「そうですけど」
「だーはっはっは!やっぱアイツ黒だったのかよ!」
ケタケタと笑いながら俺の隣に腰を下ろすその少年に少し心の距離をおいた。
「いやー、アイツ騎士団来てから誰とも話してねぇからさー、やっぱ情報流してたのもアイツなんかな〜」
「情報ってなんすか?」
「あー騎士団の任務状況は個人情報だから誰にも言っちゃいけねぇんだけど、誰かが第三騎士団にバラしてんだよ」
馴れ馴れしい少年の態度に俺は困惑する。
まるで日頃から話していた友達のような距離感に複雑な感情が混ざりあっていた。
「あ、てかフィアさんは何しに行ったんだよ」
「あーなんかフィアさんは変な男を殺しに行きましたねー」
「まじかよ。アイツて切っても死ななくね?めっちゃバカじゃん」
一瞬忘れていた自分の課題を思い出した。
フィアに男を倒す算段を立てて欲しいと命じられたが、俺自身に何かできるわけでもない。
「あの男を倒す方法てなんかないですか?」
「知らんがなそんなの。あ、でも……」
少年がポケットの中をゴソゴソするのに見開いた。
「これ使えねぇか?」
「なんすかこれ」
「毒らしい。なんとかなんとかクラゲって」
「なんやそれ」
毒殺が可能なのか。
体の形を自在に操れるあの男は体の大小で内臓はどう動いているのかが気になるが、試してみないと分からない。
「トーマス、何やってんだよ」
「お、ノクトじゃねぇか」
「お前、ウサギを見つけたなら早く……!」
トーマスと呼ばれたその少年は「わーったわーった」とノクトの口を押さえつけて騎士団内に押し込んでいく。
早く行け、と言わんばかりに俺に視線を送り、俺はすかさず立ち上がる。
フィアはどこまで行ったのか。
街のど真ん中で戦闘になっているとは思いたくないが、フィアならあり得そうだ。
街の路上を素速く走り抜け、広々とした噴水エリアに到着した。
噴水の麓に座るフィアは足を組み、退屈そうに男を停止させている。
「フィアさん、何してるんすか」
「ボクはボクの力を最大限活かそうと思っただけだよ。君も見る目がないな」
「騎士団の制服着てるからって目立ち過ぎじゃないですか?」
「まぁまぁ」
フィアは噴水広場に広がる店々を除いて、通り行く人々の目を盗んでいた。
お陰で見つけやすかった。
「これ、使えないですか?」
「なんだい?これは」
「トーマス?からもらった毒です。彼に毒が効くのか分かりませんが」
この問題に関しては試してみなければ何も分からない。
男が人体についてどれだけ熟知しているのか、また体の操作事態にどれだけ自由があるのかも結果に繋がるだろう。
フィアは毒が入った注射器を逆手にして持ち、男が動き始めた瞬間を狙って注射した。
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あのフィアでも人前で人を殺すことはできないだろうと逃げた先は、迷宮都市エテルナ最大級の噴水広場。
男が次に瞬きをした時、白い頭と青い髪が目に映った。
「は?何した?」
左上腕はツーンッと痛み、フィアの右手には明らかに怪しい注射器。
瞬時に毒を打ち込まれたのだと理解した。
毒を摂取してしまった際の対処法は体全体をアリサイズまで縮め、血液や重要器官の密度を高めること。
毒が回り切るより先に毒を分解する。
体の大きさや形を変えられるだけで、トカゲのように体の一部を切り捨てたり、臓器の機能を底上げすることはできない。
故に毒の場所を遠ざけ、できるだけ体の密度を上げるのが最善だ。
男はアリサイズまで縮み、地面のレンガにヒビを入れる。
魔法術式を使用する際は、過度に物理法則や摂理を無視することはできず、物の質量や強度は保存されるため、体を縮めただけでは圧死する。
男は膝を付いて地面との接地面積を増やし、魔力で強化。
一歩も動けず、魔力を消費し続け、ただただ毒の分解を待つことしかできない。
「なんで小さくなったんですか?」
「う〜ん、ボクには分からないな」
「そうですか」
余裕を顕にした二人の会話に腹を立てる。
(コイツら……!)
ジワジワと全身が麻痺する。
神経毒だ。
ほんの一分程で男の体はビリビリと痺れ、身動きすら取れなくなった。
だが勝負はここからだ。
体を小さくすることで身体密度を大きくすると、毒を処理する器官の密度もともなって上がるため代謝が大幅に上げられる。
意識さえ保っていれば復帰できるわけだが……
「まだ体が動かねぇ」
意識が途絶えるのを防ぐため、肺と空気のやり取りを魔力頼りにする。
気道を確保した上で魔力を肺胞に押し込み、大きさを一定感覚で変えると酸素の供給が途絶えずに済んだ。
数十分による死闘でようやく分解が完了した。
しかし問題は終わっていない。
元の大きさに戻れは間違いなくフィアとアビスによる猛攻が始まるだろう。
小さい体では移動もできない。
「うわ、なんですか?今度は!」
「今度は巨人になったのか!」
巨大化した男は赤レンガの屋根の上を次から次へと跨ぎながら走る。
小人化同様、巨大化も質量は保存されるため、建物を壊したり自重による自滅はしない。
そのため、普通の人間が乗って壊れない物は男が乗っても壊れない。
「動きを止めれないんですか?!」
「さすがにあの大きさを囲う範囲を指定すれば魔力が足りないかな。でも逃がす気は全くないよ」
フィアは大きく飛躍し、屋根から屋根へと飛び回る。
巨大化した男は案外移動がゆっくりで、落ち着く頃には停める必要もなかったなと杞憂した。
レンガを踏みしめるその巨足。
フィアの藍色の剣が放つ斬撃は男のアキレス腱を切断した。
再生し、すぐに立ち上がると思われたが、立ち上がろうとしない彼をフィアは不思議に思った。
男は足を押さえながら縮まり始める。
無限の斬撃に襲われる男は縮まり続ける体に無数の傷を付けられても動こうとしない。
怪訝そうに見つめるフィアだが、男はそんな表情を確認することなく戦慄し、痛みに悶え続けた。
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痛みを超え無となる。
俺から滲み出た大量の血液は街道に敷き詰められたレンガをより鮮やかに彩った。
「どうしたんだい?」
フィアが小首を傾げなが問うと、俺は逡巡しながら答える。
「……魔力切れだ」
空は夜の帷が降りかけている。
魔力も体力も残っていない俺は街道のほんわかとした灯りに照らされていた。
空には赤紫色の雲が見えるが、フィアの明るい髪が邪魔で黄昏れることすら許されない。
「なぁ、君は何がしたかったんだい?」
「その質問にゃぁ答えれねぇな」
「そうかい」
誰しも言えないことがある、と納得したようなフィアの顔には反吐が出る。
本当に腹が立つ。
依頼の同時進行なんて最初から無理だった。
ウサギを消したからって第八騎士団が終わるという確信もない。
フィアと協力しようとしたことも間違いだ。
ウサギを騎士団から逃がす途中で騎士団の奴らに殺させるつもりだったがそれも失敗。
ウサギが死ねば俺が殺したことにして報告するつもりだったがそれももう叶わねい。
散々避けられてきた俺の人生。
アイツらを見返すこともできない。
プライドも金も尊厳もねぇクソみたいな人生。
俺にはもう何もない。
──いや、
「フィア。マスカルノグの群は東に向かった」
「どうしたんだ急に」
「俺からの討伐依頼だ」
また他人だよりだ。
他人を利用する方法ばっかり考えて、自分でやらなければならないことを押し付けていた。
騎士団の奴らが白髪野郎を殺してくれれば良かったのに。
本当は──俺も白い頭が怖かっただけだ。
謎の男、エドガー・ヴィンクロースは静かに息を引き取った。
男 「お前は俺を殺せんのか?」
フィア 「どういう意味だい?」
男 「俺を殺せば──!」
聞いておいて斬りかかるフィアさん




