第1章 なぜ勇者より無職の俺が色々と格上なのか? 第16話 別れと新しい幕開け
「ただいま戻りました」
「ただいま」
「おかえりなさいダーリン!」
「お、おい! レオンたちの前でダーリンと呼ぶのはやめろ!」
「いいの! レオくんは知ってるから♪」
「れ、レオくん!!!???」
こいつらいつの間にこんなに仲良くなっているのだ!? この1時間に何があったのだ....。
「おい、ナブリー。どうしたそんな暗い顔をして、まさか具合でも悪いのか!?」
「い、いえそういうわけではないですよ?」
「そ、そうか。なら良かったわい」
ナブリーさんがこうなったのは俺が原因なのだ...。
——————————数刻前——————————
「な、何でですか!! エフィさんの記憶を消すということはもう貴方と再び会ったとしても何も.....」
「いいんですそれで。俺の近くにいたらエフィを危険にさらしてしまいます」
「で、でも!!」
「お願いします」
テンリはナブリーに向かって頭を深々と下げていた。ナブリーにテンリがいかに本気なのかが伝わった。
「わかりました....」
「ありがとうございます」
——————————現在——————————
「では、テンリの腕が治った記念に食事でもしよう! ナブリー頼む」
「はい、あなた」
「私も手伝います」
「お願いしようかしら」
エフィとナブリーさんが食事を作るために部屋を出て行った。その間に俺はレオンと今後のことについてちゃんとしたこと話さなくてはならない。
「なぁ、レオン。レオンがさっき話していた伝説の存在の種族についてなんだが」
「それがどうしたのだ?」
「手がかりとかあるのか? その種族の場所がわかるよな場所というか物というか」
「魔王の我の情報網を使ってもほぼわからんかった」
「ほぼ?」
「あぁ、その種族と関係性があるかはわからないのだが」
そういってレオンは椅子から立ち上がり棚の上に置いてある石板の欠片を見せた。
「なんだこれは?」
「これはあるダンジョンの最深部に落ちていた石板じゃ」
「石板か....。手がかかりに————————っておい! ここにエルフっぽい耳の長い人物が描かれているぞ!!」
「そう、これが我が唯一もっている伝説の種族の手がかりになるかもしれない物じゃ」
「関係はあるかもしれないな」
「時の間が終わったらまずそのダンジョンから当たろう」
「うむ」
これからの話を真剣にしていると、扉が開かれものすごい量の料理が運ばれてきた。
「うまそうじゃの」
「そうだな」
「エフィさんが『おいしくなーれ』と言いながら作ってましたから絶対においしいはずです」
「ナブリーさん恥ずかしいこと言わないでください....」
「愛されているんだなテンリよ」
「ま、まあな」
俺らは俺とレオンの闘いの話、エフィとの出会い話など色々な話をしてから食事をした。そして、今はベットで眠りにつこうとしているエフィと一緒にいる。白狼は床で寝ている。
「ねぇ、ダーリン起きてる?」
「うん、起きてるよ」
「そっか...。好きだよ」
「な、なんだよ急に!?」
「どうしようもないくらいに好き。ちゅっ。大好き。だから一生一緒に居てね?」
「あぁ....。俺も愛してるよ」
「うん! うれしい!!」
俺は心が痛くなってしまった。エフィと一緒にいることができるのは今日限りなのである。俺だって一生離れたくない!! でも、エフィに危険が及ぶほうが嫌なのだ....。
「すーーーー。すーーーー」
夜の営みをした後なので、エフィはぐっすりと寝ている。
「ごめんな....エフィ、ハニー」
俺はつい泣いてしまった。そこまで俺はエフィが好きになってしまっていたのだとこのとき気づいた。
そして、俺は俺に抱き着きながら寝ているエフィを引きはがし部屋を後にした。
「ナブリーさん、記憶の方よろしくお願いします」
「えぇ、わかったわ」
廊下にいたナブリーさんにそう言い、俺は屋敷の外に向かった。
「お、来たか」
「あぁ、待たせて悪いな」
「泣かなくていいのか? 泣いてもいいんだぞ?」
「泣いてきたわ! 人前では泣かねぇよ」
「男じゃの。では行くとするかの。これからの数百年間よろしく頼むぞ」
「あぁ、こちらこそよろしくな親友」
そして俺らの長い旅の幕が上がった。




