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「おかえりなさい、遅かったわ……ね……?オルガスタン様⁉︎」
シェシーとメイリを後ろに従えた姉様が出迎えてくれた。出迎えて!くれた!
わざわざ玄関まで足を運んでくださった。
それだけで、今日1日が素晴らしい日だ。
と、そんな場合じゃなかった。
「姉様!知っているの?」
あ、そう言えば名前聞いてない。
「え?えぇ。知っているわよ。アレク様のご友人、オルガスタン・スメイリ様。次期子爵様よ」
そっと真後ろの男……改め、オルガスタン様を見上げる。くすんだ灰色の髪に、紅い瞳。色だけで言うと、なんだか狼みたい。実際の狼はみたことがないけど、絵本に描かれる狼はこんなんだった。
それから、背がすごく高い。
オルガスタン様はあたしに気づくと、オルガスタンだ、と名乗った。
「……あ!あたしも名乗らないと!レティシア・シェスタです」
本当に今更感を出しながらも、メイド服では格好のつかない挨拶をする。
オルガスタンは、軽く目を見開いた。
「シェスタ?……シェスタ伯爵家の令嬢か?」
「そうですわ、オルガスタン様。レティ……レティシアは、私の妹です」
「メイド服だが」
「……服装で判断なさるのはいかがなものかと」
「そうだな。レティシア嬢。色々とすまない」
「いえ、こちらこそ」
「色々と……?」
姉様が、不機嫌極まりない声を出して顔を顰めた。
「レティ、後で教えてちょうだいね」
にっこりと笑って告げる。あれ?今聞かないの?と思ったら、姉様はまぁ大変!と言ってオルガスタン様の怪我に気がついた。
姉様はやはり優しい。気になることがあっても、自分のことより他人のことを優先する。今、色々の内容を聞かなかったのは、オルガスタン様の怪我の治療をするためだったもの。
「オルガスタン様、こちらへ。メイリ、救急箱を持って来て頂戴。それから、シェシー。お茶を。レティはこちらへおいで」
優しく手招きされて、あたしはオルガスタン様の背を押しながら姉様の元へ行った。
姉様は客間へとオルガスタン様を案内すると、すぐに救急箱を持って現れたメイリから受け取って、手当てを始める。
あたしがやるわ、と言ったのに、姉様はいいえ!私がやるわ!と言って意外にも手際良く手当てを終わらせた。
「終わったわ。……それにしても、どうしてこんな怪我を?」
お茶が運ばれ、ひと段落つくと姉様はオルガスタン様ではなく、あたしの方を向いて聞いてくる。
姉様は素晴らしい。旦那様になる兄様に浮気を疑われたりしないよう、極力男性との接触を避けているのだろう。
あたしは姉様のその心遣いを素晴らしく思いながら、先ほどあったことを説明した。
途中、オルガスタン様が補足説明をしてくれた。




