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愚か者どもの質問箱

すみません!めちゃくちゃ下ネタ回です!

Vに対してこういう下ネタぶっこむノリあるなあって思った結果生まれた話です!

 ある日の午後、キュラドのXアカウントに投下された一文のポストが、タイムラインのリスナーたちを一瞬で騒然とさせた。


キュラド@Curado_vampire

暇を持て余しているので、ここのツリーでのみ、NGなしで質問を受け付ける。なお、俺以外の人物を巻き込む話はNGとさせていただく。


 普段は不遜な態度を崩さず、リスナーとの一定の距離感を保っている吸血鬼が、まさかのNGなしの質問募集。リスナーたちは「千載一遇のチャンス」とばかりに嬉々として群がり、即座に怒涛の勢いで質問をぶつけ始めた。


・ 『経験人数を教えてください!!』


キュラド@Curado_vampire

他者の極めてプライベートな領域に対し、何食わぬ顔で首を突っ込んでくるその神経の太さには感服するほかないな。人倫の基本すら学ばずに生きてきたのか? 脳に欠陥を抱えた愚か者にわざわざ懇切丁寧に教える義理などないのだが、一度吐いた言葉を撤回するのは我がプライドが許さん。具体的な数は伏せるが1人ではない。これで満足か、恥知らずめ。


・『今日の下着の色は?どんなパンツ履いてますか?』


キュラド@Curado_vampire

貴様、自分が画面の向こうの吸血鬼に向かってどれほど知性の欠如した質問を投げかけているか自覚があるか? 欲望の赴くままに不躾な言葉を撒き散らす様は、さながら人里に降りてきた野犬のようだ。俺の威厳ある衣装の細部にまでそのような卑しい好奇の目を向けるとは呆れ果てる。黒のドロワーズだ。二度と聞くな。


・ 『好きな体位教えてください』


キュラド@Curado_vampire

正気を疑うぞ。公の場において、面識もない者に対してこのような破廉恥な問いを投げかける精神構造は、どのような劣悪な環境で培われたのだ? 羞恥心という概念が脳から欠落しているとしか思えん。貴様のような愚者に我が夜の嗜みを詳細に語る道理はないが、NGなしと謳った以上、約束を破る愚行は犯さん。対面座位だ。


・『【朗報】キュラド様、下ネタに微塵も動じない』

・『長文罵倒のキレが凄すぎて回答にたどり着くまでのカロリーが高すぎるww』

・『黒のドロワーズ!?!?!?吸血鬼様、ドロワーズ履いてらっしゃるの!?!?!?』

・『「対面座位」ってあまりにもストレートに答えすぎてて全オタクが爆死した』

・『パンツたすかる』

・『回答に一切の嘘や誤魔化しがなくてガチで「NGなし」を全うしてて草wwww』

・『「恥知らずめ」「野犬のようだ」「正気を疑うぞ」←ご褒美罵倒の三連打』

・『「1人ではない」←ウソウソウソヤダヤダヤダ』

・『真面目すぎるがゆえに下ネタにもフルスロットルで誠実に向き合ってしまうキュラド様愛おしすぎる』

・『このツリー、VTuber界の歴史に残る伝説のQ&Aとして永久保存するわ』


 しかし、キュラドの「NGなし」の姿勢が本物だと察したリスナーたちから、今度は真面目な学問の悩みや健全な質問が次々とツリーへ投げ込まれ始めた。


・『研究や勉強で行き詰まった時、どうやってモチベーションを保っていますか? 挫折しそうです』


キュラド@Curado_vampire

愚か者め。モチベーションという曖昧な感情に頼っている時点で甘えだ。やる気というものは気まぐれな風のようなもの。探求に必要なのは感情ではなく「習慣」と「不可避な好奇心」である。行き詰まったということは、己の無知の境界線に到達した証拠だ。喜ぶがいい。そこからが本当の学びの始まりなのだ。一度ペンを置き、問いを最小単位まで解体して整理し直せ。挫折を理由に思考を放棄することこそ、最も愚かしい行為だと知れ。


・ 『大切な人と長く良好な関係を保つために、一番大切にしていることは何ですか?』


キュラド@Curado_vampire

当たり前のことを問うな。言葉を惜しまないこと、これに尽きる。どれほど長い時間を共に過ごそうと、どれほど心が通じ合っていようと、相手は自分とは異なる他者だ。「言わなくても伝わる」などという横着は、関係性を腐敗させる一番の毒だと理解しろ。感謝も、愛おしさも、時には不満すらも、適切な言葉を選び、真っ直ぐ相手の目を見て伝え続けるのだ。どれほど時を重ねようと、相手を「分かった気」にならない敬意を持て。


・『疲れた時、一番リラックスできる時間はどんな時ですか?』


キュラド@Curado_vampire

貴様らに我が私生活の休息風景を教授して何になるのだ。……まあいい。夜深まり、研究の手を止めた後、静まり返った書斎で温かい茶を淹れ、隣で伴侶が呑気に本をめくる静かな音を聞いている時だ。特別な娯楽など必要ない。ただそこに不変の安らぎがあれば、魂の摩耗は瞬く間に癒される。


・『脳バグるわ』

・『勉強へのアドバイスがガチすぎて背筋伸びた』

・『「行き詰まったのは無知の境界線に到達した証拠、喜ぶがいい」←名言すぎるだろ』

・『人間関係のアドバイス、キュラド様がSPちゃんやご両親をどれだけ大切にしてるかが伝わってきて泣く』

・『「言葉を惜しまないこと」「分かった気にならない敬意を持て」←全人類刻み込め』

・『一番リラックスできる時間が「隣で伴侶が本をめくる音を聞いてる時」なの尊さで爆発する……』

・『下ネタには長文説教で真面目に答え、健全な問いには本気で人生相談に乗ってくれる吸血鬼、好きにならないわけがない』

・『下ネタ回答との温度差で風邪ひくけど、満足度が過去最高すぎるww』


 下ネタから人生の真理に迫るような深淵な問いまで、相変わらず無秩序に投げ込まれ続ける質問の数々。キュラドの指先は一切の迷いなくキーボードを叩き、引き続き重厚な長文罵倒と真摯な回答をタイムラインに刻み込んでいった。


・『自家発電などはなさるんですか??』


キュラド@Curado_vampire

貴様の頭脳は、欲望の自家発電以外の機能を喪失しているのか? 他者の生理現象や性的衝動の有無に対し、これほど無神経かつ下品に踏み込める神経にはもはや呆れを通り越して哀れみすら覚える。人前に出る前に、己の知性と倫理観を一度分解して組み立て直してこい。回答だが、必要に迫られれば嗜む程度には行う。吸血鬼であろうが身体構造上生じる生理現象だ、異常視する方が愚かしい。二度とこのような不躾な問いを投げるな、野犬め。


・『今までで一番幸せだと感じた出来事はなんですか?』


キュラド@Curado_vampire

一番、などと軽々に順位をつけられるようなものではないが……強いて挙げるならば、かつて孤独と己の存在理由に苛まれていた俺が、エスのご両親に「うちの子」として温かく迎え入れられ、そしてエスと二人で静かな夜を重ねられる「今」という日常そのものだ。過去の苦痛も探求の孤独も、すべてはこの場所に辿り着くための過程であったと思えること……それこそが、この俺が得た最大の幸福だ。


・『「必要に迫られれば嗜む程度には行う」で横転』

・『たすかる……たすかる……』

・『薄い本が……厚くなりますね……』

・『下ネタへの説教が毎回「野犬め」とか「知性を組み立て直してこい」なのほんと好きww』

・『「一番幸せだと感じた出来事」への回答で号泣した』

・『温度差で風邪ひくどころか魂が浄化されて昇天したわ』

・『こんなに振り幅でかい質問に全部フルスロットルで真剣に答えてくれるの、マジで最高すぎるんだが』

・『「過去の苦痛も探求の孤独も、すべてはこの場所に辿り着くための過程であったと思えること」←文学だよこれ』

・『キュラド様、本当に素敵な家族と巡り合えてよかったね……オタクは泣いてます……』


「……フン、気持ちの悪い奴らだ」


 画面を埋め尽くす感涙と大爆笑の嵐を冷ややかに見つめつつも、満足げに鼻を鳴らすキュラド。

 下世話な質問にも逃げずに説教込みで答え、そして魂の根底にある一番温かな感情を隠すことなく打ち明ける。その不器用な誠実さと振れ幅の大きさこそが、不遜で尊大な吸血鬼が誰からも愛される理由だった。


 *


 先日のXでの「NGなしQ&Aツリー」の大反響を経て、数日ぶりに開かれたキュラドの雑談配信枠。

 待機所が開いた瞬間から、コメント欄はあの怒涛の回答ラッシュをネタに盛り上がるリスナーたちで溢れ返っていた。

「愚か者ども、静かにしろ」の一言とともに配信が始まるやいなや、画面のタイムラインは待ってましたとばかりに愛あるいじりの嵐で埋め尽くされていく。


・『黒のドロワーズ履いたキュラド様きたああああああああああwwwwwwww』

・『対面座位がお好みの吸血鬼様だ!!!!!!!!』

・『必要に迫られて自家発電を嗜む始祖の心臓継承者ヤッホー!』

・『「無知の境界線に到達した証拠、喜ぶがいい」の人格と「黒のドロワーズ」の人格が同居してる配信者です』

・『今日のパンツは何色ですか?????』

・『「言葉を惜しまないこと」を地で行くQ&A最高でしたwwww』


「……フン、相変わらず進歩のない奴らだ。前言撤回をしない我が美学を試すような質問ばかり投げおって。質問を受け付けたのはあのツリーのみだと言ったはずだぞ」


 腕を組み、不機嫌そうに鼻を鳴らしながらも、Live2Dのモデルの口元をわずかに緩めるキュラド。

「黒のドロワーズ」や「対面座位」といったパワーワードで煽り立てるリスナーたちのコメントに対し、彼はいつもの「イキリプロレス」として受け止め、呆れたような溜息とともに軽やかにあしらっていく。彼らが自分への愛着と面白がりから煽っていることを、キュラド自身もよく理解しているからだ。

 だが、数万人が集まる配信枠ゆえに、中にはプロレスの域を超え、悪意や不躾さを剥き出しにしたコメントが紛れ込むこともある。


・『SPちゃんとの夜の営みもっと詳しく教えて!動画にして!』

・ 『実はSPちゃん以外に愛人がいて毎日ヤリまくってんだろ?』


 コメント欄の流れる速度が一瞬、嫌な緊張感とともに鈍った。

 キュラドはそれらの低俗なコメントに対し、説教も、長文の罵倒すらも与えなかった。口元からすっと笑みが消え、Live2Dモデルの伏せられた瞳が冷ややかな光を帯びる。

 マウスを操作するカチカチという淡々とした音だけがマイクに拾われ、次の瞬間、該当のユーザーと不快なコメントが画面から消滅した。


・『無言BAN助かる』

・『キュラド様、一瞬で顔つき変わって草』

・『愛あるいじりは拾うけど、一線越えたやつは即座に無言で間引きしていくスタイル最高』

・『「俺以外の人物を巻き込む話はNG」って最初に言ったからな』

・『調子に乗った野犬が一瞬で地下牢に送られてて草』

・『プロレスはプロレス、荒らしは即処分。この良識と線引きがしっかりしてるから安心して見られるんだよなぁ』


「……ふむ。ゴミの処理が完了したところで、雑談を再開するとしよう」


 何事もなかったかのように穏やかなトーンへ声を戻すキュラド。


・『さて、気を取り直して「黒のドロワーズ」の話に戻りましょうか』

・『だからドロワーズを擦るんじゃないwwwwwwww』


「フン、貴様ら。ドロワーズがそんなに面白いか?」


 配信は再び和やかなプロレス空間へと戻っていく。

 だが、荒らしというものは得てしてこちらの冷酷な対応すらも「効いている」と勘違いし、より一層奇妙で香ばしい方向へと暴走を深める生き物であった。


・『キュラドお前マジで痛いわwww吸血鬼とか設定守るのに必死すぎwww中の人どうせ40代のキモいおっさんだろwwwSPもお前の金目当ての売れない声優崩れだろwww早く顔出し謝罪配信しろよwww』


 あからさまな煽り。あまりにもテンプレ的で、支離滅裂な「中の人」透かし。しかも掠ってもいない。

 普通であれば、一秒足らずで無言BANの対象となるような、救いようのない香ばしさに満ち溢れたコメントであった。

 しかし、キュラドの指がぴたりと止まった。画面の中のLive2Dモデルの表情が、ふっと静止する。


「……フ」


 マイクが拾ったのは、小さい吐息のような笑い声だった。

 次の瞬間、Live2Dモデルの伏せられていた瞳が細められ、その口元が耳元まで裂けんばかりの、あまりにも楽しそうな満面の笑みへと歪んだ。


・『……え?』

・『待ってキュラド様めちゃくちゃ笑顔なんだが????』

・『顔wwwwwwwwwwwwww』

・『ニッコニコやんけwwwwwwww愉悦顔出ちゃってるwwww』

・『香ばしすぎるコメント見つけて笑い堪えられてなくて草』

・『「40代のキモいおっさん」←あまりにも的外れすぎてツボに入ってるwwww』

・『始祖の心臓を宿す25歳の吸血鬼(美形)に向かってキモいおっさんはやばいwwww』

・『SPちゃんを「金目当ての売れない声優崩れ」扱いされたのも含めて香ばしすぎて大爆笑してらっしゃるww』

・『哀れな野犬がキュラド様のツボをジャストヒットさせてしまった件wwww』


「……ククッ、クハハハハハハハハ!!」


 ついに抑えきれなくなったキュラドの豪快な高笑いが、書斎に響き渡った。


「ハァ……ハァ……失礼、腹がよじれるかと思ったぞ。貴様、一体どのような凄絶な人生を歩めば、それほどまでに頭の悪い妄想を公の場で自信満々に開示できるのだ?」


 腹を押さえ、なおも満面の笑みを崩さないまま、キュラドはマイクに向かって心底楽しそうに語りかける。


「『40代のキモいおっさん』だと? ククッ……なるほど、貴様の中ではこの俺がそのような姿に見えているのだな! 素晴らしい眼力だ! 腹痛が収まらん! そしてエスを『金目当ての売れない声優崩れ』だと? ハハハ! 貴様、俺がエスにどれほど惚れ込み、どれほど彼女の笑顔に救われてきたか、あのツリーの回答すら読んでおらんのだな!? 愚かすぎて愛おしいとすら思えてきたわ!」


・『あまりの香ばしさにエンタメとして昇華されてて草』

・『即BANよりキツイ晒し上げ来てて腹痛いwwwwwwww』

・『キュラド様が楽しそうで何よりですwwwwwwww』

・『「愚かすぎて愛おしいとすら思えてきた」←最大級の煽りwwww』

・『キモいおっさん扱いされて爆笑できる吸血鬼の余裕よ』

・『SPちゃんへの愛が深すぎて「金目当て」の妄想がギャグにしかなってないの尊いww』

・『荒らし(良質な爆笑ネタを提供してくれた命知らずの野犬)』

・『満面の笑みからの大爆笑、配信のハイライト決定ですwwww』


「……ふぅ、苦しい。久々に腹から笑わせてもらったぞ。貴様のような極上の道化は、我が書斎の賑やかしとして免じてやろうかと思ったが……」


 ひとしきり笑い転げたキュラドは、ふっと満面の笑みを収めると、最後には冷ややかな極上の流し目を画面に向けた。


「やはり邪魔だから消えておけ。我が書斎に居座る資格などない」


 容赦なしのワンクリック。

 爆笑を提供してくれた香ばしい荒らしは闇の彼方へと葬り去られた。


「さて、愚かで愛おしい貴様ら。気を取り直して、本来の雑談を続けるとしよう。……先ほど『ドロワーズ』と言った奴、前へ出ろ」


 何事もなかったかのように重厚なトーンへ声を戻し、リスナーたちとの愛あるプロレスへと戻っていくキュラド。

 彼の配信は、今日も今日とて大盛況だったという。


 *


 配信が無事に終了し、枠が閉じられた直後のこと。余韻冷めやらぬタイムラインに、キュラドのXアカウントから画像のみのポストが投下された。


キュラド@Curado_vampire

[添付画像:シックで重厚な木製の額縁に入れられた、先ほどの香ばしいコメントのスクリーンショット印刷写真]


・『仕事が早すぎるwwwwwwww』

・『マジで額装してて草wwwwwwwwwwww』

・『配信終わって数分で印刷&額装まで完了してるの笑うんだがww』

・『香ばしいアンチコメントの額装コレクションに新たな歴史が刻まれた件』

・『BANした上で永久保存してインテリアにする吸血鬼の精神的余裕よww』

・『額縁が無駄に豪華で高級感あるのがじわじわくるwwww』

・『例のアンチ、自分の暴言が高級な額縁に入れられて書斎に永久展示された気分どんな気持ち???ww』

・『SPちゃん「また額縁増えてる……」って呆れてそうww』


 壁に新しく飾られた額縁を満足げに眺め、愛おしそうにフッと鼻を鳴らすキュラド。

 今回の額縁コメントはしばらくの間、歴代一位のお気に入りだったらしい……。


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