第六話 幼馴染
5月20日、木曜日。天気は晴れ。昨日、幼馴染が学校から逃げ出してうちに逃げ込んでいた。名前は黒江莉子。腰まである黒髪をよくポニーテールにしている。容姿端麗でモデル並のプロポーションを持つ。好きな色は黒。運動神経もよい。だが、炊事、洗濯、掃除、一般的な家事スキル、三上曰く女の子スキルが皆無だ。性格もおしとやかとは言えない。といっても男勝りなわけでなく大雑把、無神経、あっけんからんとした性格。「……あと寂しいと死ぬ」
「ておい、かってにモノローグに入るなよ」
「いいじゃん。私は寂しいと死ぬうさぎなの」
「お前はうさぎはうさぎでも血染めの黒ウサギだろ」
「ビーラビット?」
「言うな」
「わかった省エネモード解くよ」
「やめろ!!」
『目障りだー!!』
「どっからウサギのかぶりものを!? つ~かどっから鎌もってきた!!」
ドタドタドタ。
言い忘れていた。それに見ての通り馬鹿。昔はそれほどでもなかったのだが、高校生になりさらにパワーアップした気がする。
とまあ、詳細な幼馴染の紹介もここまでにしよう。
朝、5時いつものように起きて弁当を作る。今日は二人分、僕と莉子の分だ。アイツはさっきも行ったとおり家事スキルがないのだだから作ってやらないと飢え死にする。両親に見つかるわけにも行かないのでうかつに外にも出れない。のため寂しいと死ぬウサギというのは寂しくなる=一人になる。莉子は一人だと生きれないからだ。
「これで良いかな」
弁当箱も二つ。探したら出てきたからよかったが出てこなかったらもうどうしようもなかったな。
「あいつはまだ寝てるのか」
こちとら起きて弁当つくってるというのに起こしてこよう。
二階の莉子が使っている部屋に行く。
コンコン
「入るぞ」
部屋に入る。母さんの寝巻きで寝ている莉子。というよりここは元は母さんの部屋だったようだ。家具もそのまんま残っている。
「……スピ~……く~」
可愛い寝方だなこれはまた。
「起きろ」
ゆする。
「んん~……す~」
起きる気配がない。
「起きろ!!」
もっと強くゆする。
「ん~」
ガバッ!
「うわ!!」
抱きつかれそのままベッドに倒される。
「おい!」
最後まで言うことも出来なかった。莉子の唇と僕の唇が重なっていた。莉子のやわらかい唇と甘いにおいを感じる。なんとか離れようともがくが馬鹿力で動けない。
「~~!!」
見ると莉子は起きていて僕を見ていた。コイツ確信犯か!!
「離せ!!」
何とか逃れた。
「むう~、せっかく幼馴染がおはようのキスしてあげたのに」
「そんなのはいらない!!」
「もう、照れちゃって」
「照れてない」
別に久しぶりにやったらなんかすごい良いにおいがしたとかそんなのはない。久しぶりって小学生の頃だからな。あと別に僕は莉子とはなにもない。
「はあ~、弁当作ってやったから昼に食え」
「わ~い愛妻弁当だ」
「違うだろうが」
「ん~ま、いいじゃん」
「よくないだろ」
もういいや、コイツに言っても意味がないことはわかってる。
「で、もう朝食食べるか?」
「うん、悠と一緒に食べる」
「そうか。なら、着替えて髪を整えて来い。せっかくの髪がもったいないぞ」
「うん」
はあ~。
・
・
・
「ごっはんごっはん」
「早く席に着け」
「は~い」
「いただきます」
「いっただっきま~す」
食べ始める。朝食はいつもどおり弁当に入らなかった余り。
「う~んおいし~」
「そうか、それはよかったな」
「うん、悠はいいお嫁さんになれるね」
「誰が嫁だよ」
「悠が私の」
「なわけないだろうが」
「いいじゃん、それとこんな可愛い幼馴染と一緒に一晩過ごしたのに何もしないっておかしくない」
「おかしくない。あと自分で可愛いとかいうな」
何もないのに手を出してたまるかよ。確かに可愛いのは認めてやる。
「む~、小さい頃は一緒に寝たじゃん」
「小学生の頃まではな」
「一緒にお風呂はいったじゃん」
「幼稚園まではな」
「む~」
お前は何がしたいんだよ。
「何って悠の恋人、そして奥さん」
「寝言は寝て言え」
お前がなりそうなのは奥さんとかじゃなくてヒモだよ。マジでなりそうで怖いな。コイツの未来の夫がんばれ。
「寝言じゃないもん」
「そうかい」
「む~」
さてと、あまりからかうと痛い目にあうからな。
「いいもん」
「なにが?」
「いいもん、夜這いして既成事実作って結婚まで行くもん」
「やめろ」
目が本気だぞ。コイツ。注意しないと。この年でそんなことになってたまるか。
「僕はもう、学校行く」
「え~、まだ時間あるじゃん」
「ここにいると危ない。着替えてくるから入ってくるなよ」
「うん」
めっちゃいい笑顔で言った。あやしいな。
ズボンをはいている途中。
「やっほ~」
「堂々としすぎだー!!」
慌ててズボンをはく。
「お前な!!」
「なんだ、パンツ穿く派か」
「いや、当たり前だろ」
「え?、私は――」
「見せるな!!」
危ない危ない、この小説削除させる気かよ。
「もう、わかった二人っきりの時にね」
「どんなときでも見せるな」
はあ~、何でこいつと居るとこんなに疲れるんだよ。
「もう、いい学校行く」
「いってらっしゃ~い」
莉子に見送られて学校へ。
****
「行った行った」
ふふふ、ここからは私の時間。自由な時間。あんな寮じゃできないことをするぞ~。
「さて、とまずは」
脱衣所へ。
「ふっふっふ~」
洗い物を見る。………………発見。
「さ~ってと~」
お楽しみお楽しみ。
「っとカメラさんはどっか行っといて。邪魔だから」
さ~てと。
「ふ~ん♪ふ~んふ~ん♪」
服に手をかけ…………。
「って何撮ってんの!」
ガシャガシャ!!
ブツンッ!!
****
「アイツ何もしてないといいけど」
「アイツ?」
「ああ、佐藤か」
「アイツって誰?」
「誰でもない」
「そう、ならそんなこと言わないで」
「ああ、悪かった」
だが、家に幼馴染がいるなんて誰にも言えない。
「おや、おやおやおや」
またも木山と鉢合わせえた。
「何でここに居るんだよ」
「スクープのにおいがしたんですよ」
鋭い。
「お~い、悠」
「おはよう悠」
「三上と栗原、狩野君の家に女が居るです」
「なにー!!!」
木山、余計なことをてかなんで知ってるんだよ。
「誰だ!!! 誰なんだ悠!!!」
「顔が近い、やめろ三上」
「白状しやがれ~!!」
「わかったするから離れろ」
「よし」
仕方ないこの際今言ってしまったほうがあとでバレた時より被害は少ないだろう。
「莉子が…幼馴染が帰ってきたんだよ」
「なに!!! 黒江が帰ってきたのか!?」
「ああ」
正確には逃げ帰ってきただが。
「黒江さんはすごいな~」
栗原が理解したように言った。まあ、考えればおかしいことに気がつくか。気がつかないほうがおかしい。
「だが、なんでお前の家にいるんだ?」
三上が別の方向でおかしいことに気がついた。
「莉子は全寮制の学校に通っているんだがそこが嫌で逃げ出してきたんだ」
「…………」
三上の中で何かがはじけた。
「うらやましすぎだー!!!」
ああ、うるさい。こうなるから言いたくなかったんだ。
「ほら三上やめなよ。悠が困ってるよ。それに悠に恩を売っておいて方がいいんじゃない?」
「…………それもそうだな」
相変わらず栗原は三上の扱いがうまいな。だが、助かった。あとで何かおごってやろう。
「あの噂の黒江さんですか」
木山が言った。一体どんな噂が流れてるんだろうか気になる。
「いろいろ聞きたいですね、本当かどうか」
「ほとんど本当と思うぞ」
「じゃあ熊を素手で倒したとか」
…………。
「ああ、小学生の時動物園で熊の檻に入っていって莉子が殴ったら当たり所が良かったらしくて倒した」
あの時は一緒に連れ込まれて死ぬかと思った。
「次は不良からからまれてる女子を助けたとか」
「むしゃくしゃしてて殴る相手を探しているときにちょうどよく不良が居たからだ」
あの時は下手をしたら僕が殴られてた気がするよ。
「告白してきた男子を全員ふったとか」
「本当だよ。ちなみにそこの三上もふられた」
そして振るたびに僕のことを彼氏呼ばわりして中学のときはいつも男子に喧嘩を売られていた。そのおかげで無駄な戦闘能力がついた。まったく本当に無駄だ。
「ほ~、それはそれは噂は本当だったのですね~」
言いながら木山が耳元でささやく。
「それでもうひとつ聞きたいんですが」
「なんだ?」
「黒江さんは狩野君のことが好きというのは本当です?」
「…………それを僕に聞くのか?」
そんなわけないだろ。莉子がからかってるだけだ。
「愚問でしたね」
「そうだ」
「黒江さんも苦労しそうですね」
「?」
木山は何を言ってるんだ?
「まあ、これは今すぐにはどうにもならないのでほっておくとしてして本人に取材にいきたいんですが?」
「それは構わないが余計なのもついてきそうだな」
「それもそうです。じゃあ、夜中に侵入するですよ」
「侵入するなよ」
もう木山は聞いてなかった。
「大丈夫か?」
大丈夫ではない気がする。
****
「ふは~」
はあ~、楽しめた~♪。何をやったかって? そんなの秘密に決まってんじゃん♪
「さてとこれからどうしようかな?」
悠の部屋に侵入……は駄目か。バレたら追い出されるかもしれないし。間違っても悠を怒らせたくないし怒られたくない。……いや、怒られてののしられるのはいいかも。
「でもな~。それで嫌われたら元も子もないしん~」
割とやることがない。うかつに外に出て見つかって連れ戻されるのもやだしな~。お父さんに見つかるのも嫌だというか最悪だ。
「ん~ん、またやろっかな~」
でもな~。
「ん~あそうだ、テレビでも見よ」
結局そこに落ち着く。だってやることないんだもん。ゲームだって私好みのないし。家に行けばあるけど…………いや、やめたそんなリスクを犯して捕まって連れ戻されたらかなわない。
「はあ~、寂しいよ~」
結局私は寂しいと死ぬうさぎなのだ。
****
さてとそんなこんなでお昼。みんな佐藤のところに集まって食べている。クラス中の視線が集まっているのだが気にしてないこいつらがすごい。
「それにしても黒江か~。一年ぶりだな~。この前のときとか会わせてもらえなかったし」
三上が言う。
「それは三上が余計なことしたからでしょ」
栗原が言う。
「なにしたっけ?」
「裸踊り。で蹴られたじゃん股間」
「………………そうだった。うん、そうだったあの時は天国が見えたね」
バカだ。バカな会話だ。
「それにしてもなんで今帰ってくるかな」
それは莉子にしかわからないが。
「あ、そういえば佐藤」
「なに」
「お前朝からしゃべってないけど調子でも悪いのか?」
「別に」
「そうか?」
の割にはいつもより口数が少ない。
「…………ねえ、その幼馴染ってどんな人」
佐藤が聞いてきた。
「朝も言ったけどまあ、とにかくめちゃくちゃな奴だな。会ってみたらわかると思うぞ。三上たちは今日の放課後に会いに行くらしいが佐藤も来るか?」
「別に行ってあげてもいいわ」
「そうか」
行くってことでいいんだよな。まあ、あの莉子と佐藤の組み合わせは一度見てみたいからな。どこか似た雰囲気がするし。まあ、ぜんぜん似てないんだけどなぜかな。
****
「さあ、いただきま~す」
悠の作ってくれた昼ごはんを食べます。う~ん、冷えてもおいし~。
「うん、本当に悠はいいお嫁さんになるな~」
もう少し女の子の気持ちがわかれば恋人くらい簡単に作れるのに。まあ、作られちゃ困るんだけど。
「でも、なんか今日は好敵手に会えそうな気がするな~」
女の勘かな。昔からこういうのははずしたためしがないんだよな~。
「ふふん、まあ、どんな相手が来たって悠は渡さないんだから」
う~ん、それにしてもこの漬物おいし~。
ああ、悠早く帰ってこないかな~。
特別更新
やばい……書きやすい!! なんだこれ書きやすすぎる。幼馴染が書きやすい物凄い書きやすい。これがニュータイプか(違う)
対して佐藤……書きにくい!! 物凄い書きにくい。
もう、幼馴染をメインヒロインにしたくなってきた。
とまあ冗談はさておき。
書き終わったので更新。次の更新は色々な都合で二週間後になりそうです。




