第四十六話 栗原、三上、由香住む?
由香ちゃんは、ぽかんとしたような表情のまま固まってしまった。でも、はいって言ったから了承と取っていいのかな? まあ、いいや。とりあえず了承したのならそれで話を進めないとね。
手を叩いて加奈子さんを呼ぶ。すぐに加奈子さんは来てくれた。
「何でしょうか?」
「うん、これから由香ちゃんもここに泊まることになったから部屋を用意しておいて」
「かしこまりました。しかし、良いのですか? 先ほどから聞いておりましたが、直哉様。どうして、彼女も居候させるということになったのですか? それでは本末転倒な気がいたします。モノローグを読んでいましたがそこら辺が説明されていないので少し話を整理してください」
うん? あれ? どういうことだっけ? えっと? 確か由香ちゃんが来たのは三上のお母さんが心配してるから三上を連れて帰るだったよね。うん、それがどうして由香ちゃんもここに泊まることになったかって言うと、あれだよ。由香ちゃんたちは知らないと思ってるみたいだけど、僕、三上のお母さんのこと知ってるんだよ。それで、三上が帰ってこないくらいで心配するようなお母さんじゃないんだよ。あの人は。どちらかと言うと喜びそうなんだよ。
だから、由香ちゃんが言っていることは嘘で、本当は由香ちゃんが三上と一緒に居たいだけなんじゃないかなって思ったんだよ。由香ちゃんはブラコンみたいだからね。今回も会いたくて来たんでしょというわけ。なら、泊めてあげようかなって。
「だから、ここに泊めることにしたんだよ」
「…………はあ~」
あれ? 何で加奈子さんそんな深い溜め息ついてるんだろう。そして、小声でかわいそうとか呟いてるけど。なに言ってるの?
「とりあえず了承いたしました。あなたのその性格が治る事をお祈りしています」
「はい?」
加奈子さん変なこと言って出て行っちゃったよ。なんかまずかったかな僕?
「まあ、いいか。とりあえず部屋は用意するから由香ちゃんは何の心配もいらないよ」
「(…………ねえ、お兄あれって素で言ってるの? あのモノローグって)」
「(ああ、本気だぞあいつは。俺でも、お前がかわいそうに思える)」
「(お兄の同情は正直ウザいからいらないけど。私って魅力ないのかな? 本気出して来たんだけど)」
「(それはないと俺が保障してやる)」
あれ、なんか三上と由香ちゃんが二人で密談を始めたぞ? 何を話してるのかまったくわからないな。そこまで耳よくないからね。読唇術を使おうにも手で隠されてるし。まあ、いいか。久しぶりの再会なんだろうし、何か話すことでもあったんでしょ。
「さてと、それじゃ2人とも何する?」
「ちょ、ちょっと待ってください! まだ、私泊まるなんて」
「あれ? でも、はいって言ったよね?」
「いや、だからあれは突然のことで唖然としてて」
うん? ということは由香ちゃんは泊まらないの? う~ん、でももう準備しちゃってるしな。主に加奈子さんがだけど。どうしようかな。今更帰るって言ってもな。とりあえずもう1回意思確認しよう。
「由香ちゃんは泊まりたくないの?」
「あ、いや、そういうわけじゃ」
「ならいいよね」
「は、はい」
よし、じゃあこれで良いね。さてと、じゃあ本格的に何しようかな。みんなで遊べる何かがいいよね。この前のアレは駄目だし。なんにしようかな。
「(ねえ、押し切られたけど良いのかな本当に?)」
「(いいんじゃねえか? あいつが良いって言ってるから)」
また何か内緒話をしてるよ。一体なにを話してるのやら。少し気になるな。本当。まあ、兄妹の仲に割ってはいるほど僕はデリカシーのない男じゃないしね。そうだ、アレにしておこうかな。うん。
「2人ともアレをやるよ」
「「アレ」」
「うん、転落ゲーム」
転落ゲームとはスゴロクだよ。簡単に言えば。駒とルーレット使って転落人生を歩んでいくゲームさ。一番最初に金を使いきった人の勝ち。よくある人○ゲームの逆バージョンだね。斬新なコンセプトのせいであまり売れてないんだけどね。楽しいと思うんだけどね。作る時代を間違えたんだよきっと。たぶん100年後くらいには流行ると僕は思ってるよ。
「あ~あれか。俺得意だぜ」
「お兄確かに転落人生得意そうだもんね」
「確かに三上にはお似合いだよね」
「おい喧嘩売ってんのかコラ」
「「違うよ精一杯ほめてるんだよ」」
あ、由香ちゃんとハモっちゃったよ。それを聞いた三上が泣いちゃったようるさいな~。とりあえずカメラで撮影して、今夜のアレに使わせたもらうとして、さっさと泣き止ませてゲームを開始しよう。
「ほら、三上始めるよ」
「お兄みっともないから早く泣きやんでほしいんだけど。というかさっさと泣き止め」
「うおおお、少しは慰めろー!!」
「早く始めましょう」
「そだね」
「無視するなー!!」
というわけで、三上を無視しつつ転落ゲーム開始。
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結果発表、僕1位、由香ちゃん2位、三上最下位。なぜかルーレットをひたすら回してお金を使っていくゲームだというのに、三上はルーレットを回すと必ずお金が増えていくマスに止まったためだ。いつもはお金に縁がなにのにこういうときだけは三上ってあるんだよね。お金に縁が。
で、これに負けた奴には勝った奴のいうことを何でも聞くということルールにしてたから。三上は聞いてなかったみたいだけど。由香ちゃんと2人で、三上にあれこれ無理難題言って楽しんだよ。いや、あの空中バク転三回転捻りよく出来たよね三上。まあ、なんかグキリって嫌な音が腰からしてたんだけどね。
まあ、楽しかったよ。これから、こんな楽しい日々が続くと思うと本当、嬉しいよ。
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そして、夜。
「行くよ三上」
「ちょ、ヤメ、アー!」
「ちょっと、お兄暴れないで。うまく貼れないじゃない」
三上の腰をマッサージすることになってしまった。




