第三十七話 帰還
お待たせしました!
PC復旧後、執筆意欲増加により、予定変更で更新です!
目を覚ますとゲームの中に入った時に寝ていた場所であった。他のみんなは既に目覚めているのか、ここには居ない。となると、扉の向こうだな。ここが、再現されたゲームの中じゃない限りは。なんか、栗原とかならやりそうなんだよな。
「遅いお目覚めね」
「ん?」
体を起こすと、横のイスに佐藤が座っていた。何をやっているんだ? もしかして、待っててくれたとか? いやいや、佐藤に限ってそんなことはないだろう。偶然起きたタイミングが同じだっただけかもしれない。
「佐藤も今起きたのか?」
「別に、あんたには関係ないでしょ。それよりもあんたが一番遅いんだから急いで起き上がりなさい」
「わかったよ」
なんだか佐藤の機嫌が悪いように感じる。何か悪いことしたのか?
考えうる可能性。先ほど考えたとおり、起きるまで待っててくれた。起きるのが遅かったため不機嫌。う~んでも、佐藤なら待っているわけないと思う。
第二、呼びに来てくれたがなんどやっても起きなかったから。これが現実的だな。って、そうなると僕はかなりの時間寝てたってことですか? うわ~、結構恥ずかしい。
「何で、あんた急に頭抱えて唸ってるわけ?」
「いや、なんでもない」
とりあえず、みんなと合流しよう。これ以上遅れるわけにもいかないだろう。多分そんなに時間は経ってないだろうと思うし、今なら大丈夫なはず。
「ほら、行くわよ」
あまりに僕がのろのろしていたからか、手を差し出してきた佐藤。
「えっと?」
「早くする!」
「は、はい!!」
慌てて佐藤の手を掴む。そのまま立たされ、部屋を出るために歩かされる。それにしても、佐藤の手ってやわらかいな。いや、まあ莉子の手もやわらかいのは同じだけど。そうだな、人の手って人によってやっぱり違うものなんだなと、微妙に思ったり。
「何にやけてんの? 気持ち悪い」
どうやら、にやけていたようで手を離されてしまった。まあ、いいか。これが見つかったら三上に何を言われるかわかったもんじゃない。
「いや、何でもない」
「?」
僕の返答を不思議に思ったようだが、それ以上佐藤が何か言ってくることはなかった。
扉をあけるとあの地下スペース。ゲーセンは相変わらず五月蝿い。そこに三上たちはいた。
「おっ、遅かったな悠。何やってたんだよ」
僕に気がついた三上が聞いてくる。
「別に。何もしてねえよ」
「じゃあ、何で佐藤さんと一緒に出て来るんだよ」
やっぱりそこに突っ込んでくるのか。ここは佐藤に任せよう。僕が説明するより誤解はなさそうだし、佐藤なら嘘も言わないだろうし。
「佐藤、説明――」
佐藤が立っていた方を見たら、そこに佐藤はいなかった。どこに行ったのか探すと離れた場所の椅子に座っている。
呼んでも来てくれそうにない。
「――あ~、まあ、何でも良いだろ」
「何だよその間は!」
「はいはい」
うるさい三上を無視して狭間さんと話している栗原の所へ。
「やあ、悠。遅かったね」
僕が話しかける前に気がついた栗原が僕に言う。
「ああ、寝てたからな」
「疲れてたのかもね~」
ゆるい口調で狭間さんが言う。
疲れてたか……そんなに疲れてたとは思えないんだけど。確かに大変な目にはあったけど、きちんと寝たし。
「ん~、最近の疲労とかじゃなくて、昔から蓄積してた疲労かな~」
「それがどうして今、出たんです?」
「慣れないことしたからかな~?」
納得出来そうで、何でか納得出来そうにない。まあ、どっちでもいいか。
「それより悠、ゲームは楽しかったかい?」
「楽しかったかな。初めての体験だったし。僕的にはもう少し優しいのが良かったかもな」
「そっか、みんなにも意見を聞いたんだけどね、三上はギャルゲー、黒江さんは女子向け恋愛ゲーム。会長さんは、対戦格闘系って言ってたよ」
みんなバラバラな意見だな。三上に関しては完全に欲望だよな。明らかに狙ってるのがわかる。
莉子にしても、女子向けって絶対、腐が付く女子向けですよね。だって、あいつ僕の部屋にあっち系の本隠してるから。驚いたよ見つけた時には、何でこんなもんがあるのか。自分の家に隠せないなら買うなよと言いたい。
中宮会長は対戦格闘か。戦った身としては、あまり中宮会長とは戦いたくない。木山の介入だったとしても、あんなことは二度とごめんだ。
で、こんなことを聞かせたってことは僕からも意見を聞きたいんだろう。
「で、悠は何かゲームの意見ある?」
ほら、来た。で、僕の意見ね。基本ゲームは暇な時しかしないけど、どうするかな。あれでいいか。あれだけ精巧に世界を作れるなら、多分こういうのとか人気出そうだし。多人数でやるのにちょうどいい。ネットゲームの主なジャンルだし。
「そうだな、MMORPGとかどうだ? あれだけ綺麗に世界を作れるなら人気でるんじゃないか?」
「成る程ね。MMORPGか。確かに人気出そうだね。ありがとう悠。どう、狭間さん?」
「システム的に問題なし。私の目的にも丁度いい。問題はハード。でも、解決策はある。しかし、圧倒的に時間が足りない~」
何やら二人で専門的な話になってしまった。まったくついて行けない。なら、木山に話でも聞きに行くか。色々やってくれたからな。
「よう、木山僕に言うことはないか?」
「お疲れ様ですよ」
「お前な。あんなことして謝るとかないのか」
「う~ん」
考えることかそれ。普通謝るだろ。おい。
「冗談です。冗談ですって。そんなに睨まないでください。妊娠してしまいます」
…………はあ。駄目だ、こいつ。早く何とかしないと。
「あれ~ツッコミなしはさすがにきついですよ。ツッコンでください。あ、何かこのセリフエロいですね、卑猥ですね、非才ですね、卑屈ですね」
「相変わらず意味わかんねえよ」
「愛変らず? それは、そのままの意味でとっていいんですか?」
「違うわ!!」
駄目だ、こいつ。めっちゃ絶好調じゃん。かなわないよ。絶対。無理、もう木山に何か言う気力うせた。誰か、こいつのツッコミになれる奴いないのか? 転校生として来てくれないかなあ。
「まあ、冗談はさておいて、ごめんなさいでしたです。さっすがの私もちょっと、微妙に罪悪感を感じているですよ」
「そうは見えないぞ」
「おろ? そうですか? あやや、それは失礼しました~♪」
はあ、駄目だ。こいつに何を言っても効果がない。
「っと、ではでは私はもう少し用事があるので」
木山がどこかへ走っていった。
「何なんだよ」
僕は近くにあった椅子に座る。
「ねえ、木山さん走っていったけど何?」
「さあな。僕にもわからん」
「そう」
佐藤が隣に座る。
「それにしても、私のゲーム殆ど不参加だったわね」
「自分で言うくらいなら参加しろよ」
「いや。ああいうゲームって疲れるのよ。それにああいうのは野蛮な奴がやるもんでしょう」
それは偏見だと思うよきっと。そういうゲームやっている女の子とか居るよ。莉子とか。まあ、莉子を普通の女の子と定義できるかはなぞだが。
「あんた今結構誰かに失礼なこと考えなかった?」
「いや、別に」
鋭い。
「まあ、いいわ。意外と楽しめたし」
「…………」
「なに、そんな驚いた顔してんのよ」
「いや、お前から楽しめたとか、そんなことば初めて聞いたような気がして」
は!? しまった、こんなこと言うんじゃなかった。
しかし、後悔先に立たず。佐藤の顔が不機嫌で染まる。
「とりあえず一発かしらね」
その後僕は佐藤に殴られた。結構理不尽だと思うんだよ。
そうして、この日は過ぎていった。




