第三十話 開戦
ブラックアウトした意識が覚醒する。そこは幾何学模様が浮かぶ謎の空間だった。床も壁もなく、ただ変な空間に僕は浮いていた。気を抜けば酔う、絶対これ、吐くよ。うへ~何かだんだん気持ち悪くなる空間だなここ。
「それより、みんなはどこに……」
探す必要なかったな。みんな居た。ただ、栗原と、木山だけがいなかった。どういうことだ?
『超絶美少女木山ちゃんは、こんな珍しい現場を見るチャンスはここしかないと現実にいるですよ』
どこからともなく木山の声が聞こえて来た。なんだ、珍しい現場って。まあ、いいか、とりあえず外にいるのはわかった。たぶん栗原と一緒だな。二人が外か…………何も企んでなければいいけど。
『ほ~い、それじゃ、説明するよ~』
やはりどこからともなく、ゆるい狭間さんの声が聞こえてきた。
『そこは、まだ、何もインストールしてない、空間ね~。これから、ゲームをインストールするから、ジャンル的に言えばFPS~まあ、どのみちFPSになるんだけど』
わからない人のために解説を、FPSとはファーストパーソン・シューティングゲームのこと。シューティングゲームの一種で、主人公の視点でゲーム中の世界を自由に移動でき、武器もしくは素手などを用いて戦うアクションゲームのことだ。
この面子でやるの? 莉子とか、中宮会長とか、沢村とかが圧勝しそうなんだけど。
「悠」
三上が肩に手を置いて話しかけてきた。
「俺と組もうぜ」
物凄い切実な願いが言葉に込められていた。確かに、一人じゃあの三人には勝てないだろうからな。
「わかった。ただし、邪魔するなよ」
「わかってるって」
そうしているうちに周りの風景が変わる。それに伴い、僕達の姿も軍服に変わった。僕は三上と一緒だったが、莉子や佐藤たちは、バラけたようだった。狭間さん、もしかして、僕達の会話聞いてたのか?
『じゃあ、好きにやってね~NPCもいるから寂しくないし~』
確かに周りにはたくさんの人がいた。NPCとは、到底思えないほど感情豊かだった。すごいな。あの人が作ったのだろうか? まあ、弊害としては、リアルすぎて超怖いということくらいか。しかし、すごいなこれ。もっと小型化とか出来たら、すごいだろうな。
『そんなわけで~戦争開始~、あ~女子チームと男子チームにしたからね~。人数あわなかったから、強いNPCいれてるから勘弁してね~』
通信終了。はい、というわけで、あと十五分で戦争開始だそうだ。軍曹に聞いた話によれば。しかし、本当にこっち、不利だな。うん、勝てる気がしないな。でもやるだけやろう。作戦は立てておこう。
「よし、三上少しこっち来い」
「お、なんだ?」
「これを体に巻け。そしたら、勝てる」
「わかったぜ!!」
三上が僕の渡したものをいそいそと体に巻いていく。何かも確認せずに馬鹿な奴だ。
「って、これC4じゃねえか!!! 俺に突撃しろと!?」
気づいたか。まあ、そりゃそうか。これで気がつかなかったらもうおしまいだからな。
「そうだ」
それぐらいしか三上の使いどころはない。みんなもそう思うよな。思う人は感想に書き込んでくれ。もっと酷い目にあわせるから。とまあ、冗談はさておき。こいつが突撃するのは決定だとしても、ほかはどうしようか。
「俺が突撃するの決定かよ!!」
無視だ。しかし、どうしようか。とりあえず、僕は狙撃に徹したい。戦場のど真ん中に放り出されたら死ねる。僕は戦争を知らない日本人だからな。まあ、ゲームだから、そうはないだろうけど。銃の使い方もなんかわかるし。なんでだろう?
「よし、準備完了だな」
完全に狙撃兵の格好。何かすごいな。そして、僕のとなりにはC4達磨の三上。これなら、誰か一人くらいは道連れに出来るだろう。
「俺の扱い酷くない!?」
なんだ、空耳が聞こえるな。まあ、虫だろう。無視しよう。
「さて、行くか」
「無視するなよ!」
「うるさいぞ、さっさと突撃しやがれ」
まったく、それしか存在意義がないくせに。
「これ、怒ってもいいよな?」
「ぐだぐだ言ってないで行け」
さて、戦争の始まりだ。
三上君は怒っていいと思います。
というか、まだ、無人島編が終わらない。どうしよう。はじめは三話程度だったはずなのに。
しかも、まだまだ、夏は続く。現実では、既に秋。季節感ゼロ。
でも、諦めません。完結するまでは。




