第二十九話 ゲームを楽しめ!!
佐藤が取ってくれたファンシーな人形を莉子に渡す。それを持ってきたとき莉子はかなり驚いた顔をしていた。取れるとまるで思っていなかったように見える。
「え、取れたの?」
おい、お前取れないこと前提で行ったのか。取れないと思ってたのかよ。まあ、僕は取れなかったけど。つまり、なんですか、お前は僕にあそこで絶望してろと言ったのか。殺意が沸いた。
それを莉子が感じ取ったのか乾いた笑みを漏らす。
「あは、あはは、で、でも、悠なら取れると信じてたし」
「…………」
明らかに嘘だろ。お前こっち向けよ。明後日の方向見てんじゃねえよ。
「ご、ごめなさい」
黙ったまま睨んでいると莉子が謝った。きちんと謝れるところが莉子のいいところだと思う。けどさ、謝るなら最初から、やらせなければよかったと、僕は思うんだよ。そこの人たちも思わないかい? 思うよな。思うと言え。
「ゆ、悠?」
恐る恐る莉子が僕の様子を伺う。さて、どうするか。このまま、怒ってもいいんだが、それじゃ、ワンパターンだ。さて、どうしようか。
「…………さて、黒江さん、ここにいいものがある」
取り出したのは莉子の苦手なものだ。こいつが苦手なものとか超少ない。だが、一個だけ、昔から苦手なものを僕は知っていた。そう、それは…………。
「きゃあああああああああ!!」
莉子の悲鳴が響き渡った。
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「ぐすっ、もうしません、ごめんなさい」
「もう、二度としないな」
「はい」
「じゃあ、もう良いぞ」
さて、空白の時間に何があったのか、それは神望み知る。一つ言えることは、莉子が従順になった程度だ。まあ、たぶんニ、三時間でもとに戻ると思うけど。
「…………ふ~ん」
あれ、何か佐藤が軽蔑した目で見ている気がするんだが……気のせいだよな。たぶん、気のせいだよな。
「何か言いたいことがあるなら言ってくれないか」
「別に、何もないわよ」
だから、その割にはなんか態度がおかしい気がするんだよ。
「そうか?」
「そうよ」
「まあ、それならいいが」
さてと、なにするかな。色々ありすぎて迷うな。
「それなら、これでもしてみないか?」
中宮会長がやってきてとあるゲームを薦めてきた。それはよくある、銃でゾンビを倒していくゲームだ。普通のゲームセンターではかなりの腕前がなければ、クリアはほぼ出来ない類の奴だ。しかも、クリアまでやるとかなりの金を消費することになる。だが、今回は、栗原所有なので、金はかからない、システムはまったく同じなのでかなりお得。
「いいですね。やりましょう」
この手のゲームのクリアって見たことないから楽しみだ。さてと、日頃のストレス発散もかねて、やりますか。
「さて、じゃあ、はじめよう。まずは、武器を選ぶみたいだな」
武器か、何にしよう。てか、中宮会長は刀か。なんで、刀みたいなコントローラが? これもしかして、新製品か? 確かにそうだな、見たことないし。武器ごとにコントローラーがあるのか。金がかかっている。
「じゃあ、僕はこれで」
バレットM95。ボルトアクション式のアンチ・マテリアル・ライフルだ。なんで、これ選んだかって? 作者が勝手にやった。作者がボルトアクション好きで、その中でもバレットM95が途轍もなくカッコいいからだってさ。だから、使いたかったんだと。こんなところでそんな趣味を出さないでくれ、僕はアサルトライフルとか、ショットガンの方がよかったのに。でもまあ、狙撃とか好きだけど。こういうゲームは違うのでは。
「始まるぞ」
とか、思いつつゲーム開始。中宮会長と二人で、迫り来るゾンビを倒していった。
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そして、ゲーム画面にはクリアの文字が。
「ふう、終わったな」
「そうですね」
クリア時間20分。主に中宮会長の腕です。僕はそこら辺で狙撃してただけだ。一体も僕に近づいてこなかったよ。中宮会長が倒してたんだよ。
「お~い、みんな~」
なんだ、栗原が呼んでる。とりあえず行くか。行ってみると、そこにはなにやら全員分のベッドのような装置が置いてあった。
「どうしたんだ栗原」
「いや、ねえ、これから実験をやるんだよ」
「実験?」
「そうそう、VRゲームのね」
VRだって!? それって、まだ、開発中の技術だろ。どうしてこんなところに?
そうだ、わからない奴に行っておくとVRとはバーチャルリアリティのこと。つまり、VRゲームとはバーチャルでのゲームだ。む、ちょっと説明し難いな。まあ、自由に遊べる夢みたいなものだ。VRゲームに関しては作者の別の小説、グローリアオンラインを読んでくれだってさ。宣伝するなよ。
「うん、うちと、南雲財閥でね、開発中なんだよ。で、これはその試作実験機ってわけ、ちゃんと製作者も来てるよ。ほら」
栗原が指し示す。そこには、ゆるゆるに服を着た、女性がいた。かなり美人だ。ウェーブのかかった長い黒髪、眠そうな緑がかった瞳。でも、どこか、残念そうな気がするけど。
「ん~? あ~、どうも~狭間由宇です~」
「あ、どうも、僕は……」
「ああ、いいよ~みんなの名前知ってるから~」
なぜ? なぜ知っている。栗原が教えたのか? そうだな、栗原だろう。
「うん、僕が教えておいたんだよ」
「じゃあ、早速はじめよ~。じゃあ、寝て~」
「待ってくれないか? まだ、我々は十分に説明を受けていない」
中宮会長が言う。
「中で説明する~、こっちじゃ面倒くさい~」
おい、それで良いのか。なんで、こんな人が製作者なんだよ。ああ、そうか、残念そうな感じはこれか。
「はいはい、寝る、寝る~」
問答無用で眠らされ、そして、装置が始動する。それと同時に僕は意識が遠のき、そしてブラックアウトした。




