第二十八話 地下にトラウマを感じる今日この頃
朝食を済ましたあと今日どうするかを話し合うことにした。当然台風の真っ只中で外は風と雨で出ることは出来ない。そのためやることは限られている。
「それでどうするんだ栗原?」
別荘の持ち主である栗原に聞く。
「ん? じゃあ、地下に行こうか」
地下か、このニ三日であまり言い思い出ないんだけどな。閉じ込められたり閉じ込められたりで酷い目にしか遭ってないから。というかこのまま言ってまた閉じ込められるとかないよな。
「大丈夫大丈夫。きちんとしてあるから」
栗原のその言葉はもう使用できないようになっているんだけどな。もう、二回も閉じ込められてるし。
「大丈夫だって。さあ、行こう」
サウナとは違う入り口から地下へと入る。この島って割りとファンタジーな構造をしていると思う。
地下は天井が高く閉塞感はなく。ビリヤード台やスロット、マージャン卓、ボーリングレーンなどなど様々な娯楽設備があった。
「どう?」
「すごいな」
ありとあらゆる娯楽設備が揃ってるってのはすごいと思う。というかゲーセンだなこりゃって感じのスペースまである。
「でしょ頑張ったんだよ」
がんばったのは栗原本人ではなくて業者さんだろうけどな。
「全部自由にして良いのか?」
「OKだよ」
じゃあ、遊びましょうか。遊んで地下ってことを忘れよう。うん、そうしよう。地下だと不安になるとかじゃないからな。絶対に違うからな。ちょっと怖いかな~なんとかじゃないからな。
「なにしてんのよ、あんた」
「は!? い、いや、何でもない」
危ない危ない、変なこと考えるところだった。
「よし、早く行こう悠!!」
「ちょっとまて、引っ張るな莉子!!」
莉子に引っ張られ連れて行かれる。
「あはははは、仲良いね」
「笑うな栗原! それと離せ莉子」
「ねえ、ねえ」
聞いちゃいねえ。
「アレとって」
「あ?」
いきなりクレーンゲーム。それも奥にあって大きな何かよくわからないファンシーな人形。普通に取れないレベル。
「無理」
「え~、取ってほしいんだけど~」
「無理。明らかに無理。というかほしいなら栗原に言え」
ここの所有者は栗原だからな。あいつに言ったらもらえるだろう。物凄くクレーンゲームをバカにしているが。
「それじゃ意味ないでしょ! どうせ、ただなんだからお願い♪」
「はあ~」
この流れだとたぶん莉子は僕があの人形を取るまで離さないだろうな。仕方ない、何とかやってみるか
。どうしても無理なときは、栗原に頼もう。てか、なんでこんなにクレーンゲーム難易度高いんだよ。
「わかったやってみるよ」
「やった。じゃ、がんばってね」
莉子はそそくさとどこか別のゲームのところに行った。あいつ、僕に押し付けやがった。
「はあ~」
「お人好しね」
「ん?」
振り向くと佐藤がジト目で僕に言った。
「何でもないわよ。遊びたいなら、さっさとしたら」
「お前に言われなくてもやるよ」
まあ、必死にやっても取れるかどうかわからんがな。栗原所有のゲームなため金はいらない。つまり、取れるまでやれるということ。
「がんばるとしますか」
ああ、本当に佐藤にお人好しと言われても否定できないな。本当に。
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「…………」
十分、たった十分挑戦しただけで絶望の淵、地獄の底が垣間見えた気がした。無理だろ、これ。
「無理なんじゃないの?」
佐藤が声をかけてくる。言わないでくれ僕もその結論に達したくなくて言わなかったのに。しかし、本当にどうする。無理だ。百回以上やって数ミリしか動かないとかありえない。本当にこれ取れるようになってるのか。気になって栗原に確かめてみたら取れるっていうし。必勝法みたいなのも聞いたが。
しかし、現実は甘くなくそんなもの焼け石に水であった。何が必勝法だよ。他のクレーンゲームでは必勝法だったけど、これだけは無理だ。これ取れる奴いたら神だろ。
「取れたわよ」
「は?」
振り返ると佐藤があのファンシーな人形を持っていた。えっと、僕が考えている間に何があった。このファンシーな人形があるってことはなんですか、取ったってことですか?
「え、取ったの?」
あまりの驚きでわかりきっていることを聞いてしまった。見ればわかることだが一回でだよな。考え込んでいたとはいえさほど時間は経っていない。
「結構簡単だったわよ。一人でゲーセンよく行くし」
それはちょっと寂しくないか。でもまあ、佐藤のおかげで何とか取れたな。
「サンキュー助かった」
「別に、あんたのためじゃないわよ」
「それでも、助かったのは違いないからな。あとで何か礼するよ」
「そっ」
さてじゃあ、莉子に渡しに行くかな。
しかし、僕地下って大抵酷い目にあってるな。トラウマとかにならないといいけどな。




