第二十一話 密室閉じ込め師弟
勢いでやった後悔はない
さて、現在僕は危機に瀕している。いや、正確には僕たちと言うべきだろう。
「どうしましょう師匠」
そう沢村もここにいるからだ。そして危機的状況だ。
「どうしようか」
今の状況を簡単に説明しよう。沢村とサウナに閉じ込められたほぼ裸で。いやタオル一枚という姿で。以上説明終了。なんでこんなことになったのか思い返してみよう。それは一時間前にさかのぼる。
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一時間前、風呂からあがってきた佐藤と迎えた。なぜか佐藤の機嫌が異様に悪くずっと僕を睨んできていた。なぜか聞いても何も言ってくれないから少しばかり恐怖を味わっていた。それで、男性陣も風呂に入ることになった。
「じゃあ、行くぞ三上」
「おう」
なぜか異様にテンションの高い三上といつもどおりの栗原と供に風呂へ。一瞬で脱いで入っていった三上。
「どうした?」
「ここに女子が入ったんだ!!」
変態だ。まごうことなき変態が姿を現した。そして風呂にダイブする三上。
「ちなみに湯は変えさせてもらったよ」
「え?」
ザッバ~ン!!
三上が飛び込み水柱が上がる。
「何でだよ!!」
そしてすぐに上がり栗原に詰め寄る。
「女子、主に佐藤さんとかからの要望で」
「ちっきしょおおおおおおおおー!!」
叫ぶ三上。バカだ。本当にバカだ。コイツのカテゴリがわからなくなるな。バカか変態か。いや、どっちもか。
「さっさと上がるかな」
体をあらって湯に浸かる。
「ふう」
しばらくしてから上がる。
「早いなおい!!」
「誰も男の風呂なんか期待してないだろうが」
「BL好きの女子!!」
「死ね」
アイツは何をやりたいんだ。風呂から上がり脱衣所へ。
「なら、僕としようか」
「え、栗原!?」
「ほ~ら」
「アー!!」
何か後ろから風呂の中から聞こえてくるが無視だ無視。そんなことはないと思う。絶対にそうだな、あったら三上とは絶交だな。
「ん?」
脱衣所に入ると物音が聞こえた。地下への階段からだ。ここはサウナへと通じている。
「誰かいるのか?」
腰にタオルを巻いて言ってみる。サウナへ入ると。
「あ、師匠!!」
タオルもつけていない全裸の沢村がいた。首が一回転するんじゃないかというくらいの勢いで顔を背ける。少ししか見てないよ。うん。ほんのり赤い顔と汗に濡れた肩とかぐらいだよ。断じてそれ以外は見てません。
「と、とりあえずタオル巻いてくれ」
「え? なぜです?」
「な、なぜって、い、色々見えるからだ」
「ああ、見せてるんです!!」
言い切った沢村。
「わかった僕はでる」
サウナの扉に手をかけるが。
ガチャッ
「あれ、開かない」
「え!?」
扉は何をしても開かなかった。
「ってことはもしかして」
「閉じ込められましたね」
「…………沢村とりあえずタオル巻け」
「はい」
さすがに素直に応じてくれた。
そうして冒頭へ。
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回想終了。
「本格的にやばいな」
ここに入ってから十五分、沢村は二十分。大体サウナに10分から20分が普通だからそろそろ沢村は限界。
「沢村大丈夫か?」
「はい!」
大丈夫そうに返事をするが明らかに大丈夫そうではない強がっている。さて、どうしたものか。三上達が気づいてくれるといいんだが。
その頃三上たち。
「あ、ちょ、栗原、そこは」
「へ~、ここは弱いんだ、えい!」
「あ~!!」
三上が栗原のマッサージを受けていた。期待していた人残念でした。これがさっき悠が脱衣場で聞いた声の真相です。
「はあ、はあ、はあ」
沢村の息は荒い。
「沢村大丈夫か?」
「は、はい」
明らかにきつそうだ。
「無理するな」
「大丈夫です!!」
大丈夫そうに見えないから言っている。顔は真っ赤だし目の焦点が定まってないぞ。扉を叩いてみるが効果なし。窓を割ろうとしても割れなかった。強化ガラスか何からしい。
「クソ」
ダメだ落ち着け。あれから既に30分以上経過している。僕も限界だ。頼む誰か気づいてくれ。
「うっ!」
フラッ
「沢村!!」
倒れかけた沢村を支える。
「す…み…ま…せ…ん」
「喋るな!!」
「はあ、はあ」
「とりあえず横になれ」
沢村を横にして頭を僕の膝に乗せてやる。沢村はぐったりしていた。頭を撫でてやる。沢村は目を閉じたままだ。息はしているから生きている。
「早くなんとかしないと」
だが、どうする。三上たちは来てくれないし。佐藤たちもおかしいと思っても来れないだろう。
「し、師匠」
「なんだ?」
「最後に……なる、かも…しれないですから…言います……あり……が…とう……ございます」
「馬鹿野郎!! 最後とか言うな!」
沢村からの返事はない。
「沢村!!」
まだ息はある。だが、危険な状態だ。
「待ってろ直ぐに出してやる」
沢村の頭をそっとおろして立ち上がる。
「てりゃ!!」
扉のガラスを殴りつける。
「まだまだ!!」
ドン、ドン、ドン
何回も、何十回も、何百回も殴りつける。強化ガラスに血の跡がつく。殴りすぎで右拳から血が流れる。
「それがどうした!!」
ドン!!
それでも殴り続ける。殴り過ぎて腕の感覚がない。でも、今はそれがちょうどいい。
沢村を見る。ぐったりしているのは変わらない。息はしている。
くらっ
「くっ」
目眩が襲う。
「急がないとせりゃ!!」
ドン、ドン!!
精一杯の力を込めて殴り続けた。そして――。
バリィン!!
扉の強化ガラスは割れた。そこからひんやりとした空気が入ってくる。強化ガラスを更にわりそこを沢村を抱えて通り抜けた。
「やった……」
ガラスの破片をよけて何もない開けた場所に行く。
パタン
そこで僕は沢村を抱きかかえたまま気を失った。




