第十九話 風呂って言ったら覗きがでる。
そんなわけで別荘で夕食の準備をする。今、佐藤たちは風呂に入っている。なぜか温泉に。その辺のことを栗原に聞きたいのだが栗原は答えなかった。
「さて、諸君!! 我々の目的を達成するときが来た!!」
三上が言う。こいつ絶対によからぬことを考えてるな。あの無駄に真剣な顔がそれを物語っている。
「何をする気だ」
「愚問だな悠。今女の子たちは全員風呂だ」
三上のやりたいことやろうとしていることがわかった。栗原も同じくわかったようだ。
「あ~なるほど」
「そう、覗きだ!!!!」
「犯罪だぞ」
「何を言っているんだ悠!! 覗きという至高にして崇高にして神聖なる目的の前には法律など意味を成すわけないだろう!!」
「「そんなわけあるか!!」」
「バカ野郎!! もっと欲望に忠実になれよ!!」
三上が熱く言う。夏の暑さもあって物凄く暑苦しい。やめてくれ。てか、こんなときだけその無駄なやる気を起こさないでくれ。いつも僕に被害がまわってくるんだ。あの時だって……。
「三上は忠実過ぎるけどね」
栗原が的を射た事を言っているが三上にはまるで届いていない。三上は何かぶつぶつ言っている。おそらく覗きの作戦だろう。やめておいたほうがいいのに。
「さあ!! 行くぞ!!!」
「僕は遠慮するよ」
栗原は拒否した。
「僕は夕食の準備があるから行く気はない」
仮に夕食の準備がなくても行く気はない。なんたって今風呂には佐藤と中宮会長という武闘派(?)がいるのだ。確実に五回は死ねる。莉子は逆に見せてきそうだから逆に恐ろしいし。木山には精神的に殺されるか奴隷にさせられそうだ。だから行かない。
「貴様等には失望した!!」
別に三上に失望されても痛くも痒くもない。無駄に期待がない分楽だ。
「もう、いい俺だけで行くからな!!」
風呂へと続く通路へ歩いて行く。
「行っちまうからな!!」
とか言いつつ全く進んでいない三上。一人で行くのが寂しいのだろう。と言ってもついて行く気はないが。
「ほら、本当に行っちまうからな!!」
風呂へと続く通路に入る前に言った。明らかについて来て欲しそうだ。
「ああ行け行け」
「ごゆっくり」
僕と栗原はそれに気がつかないふりをして三上に見送る言葉をかける。
「後から来ても知らないからな!!」
三上は風呂へと向かった。最後までついて来てとは言わない三上であった。
「三上、お前のことは五分くらいなら忘れない」
「ねえ、悠」
「何だ?」
「どの位保つと思う?」
栗原が言っているのは三上が覗きをしてどの位生きていられるかだろう。
「一瞬じゃないか?」
「そうだね。佐藤さんや中宮生徒会長がいるし。悠ならまだしも三上じゃ黒江さんも色々殺るだろうし」
「字がおっかないことになってるぞ」
やるが殺るになっている。これじゃ意味が色々変わるぞ。栗原はわかって使ってそうだが。
「師匠の友人なんだし結構持つと思いますよ」
…………ん?
「おい、沢村どうしてここにいる」
「嫌ですね師匠。ボクは師匠の行くところに必ずいますよ」
ストーカかよ。
「いや、そうじゃなくてお前補修中だろ」
「気合いで終わらせました!」
沢村そこで褒めてって顔しても褒めないぞ。てか、補習って気合いで終わらせられるものなのか。しかもアノ有名な学年主任の補習だぞ。受けたものが全員人格が変わるといわれているんだぞ。それをコイツは平然と終わらせてきやがったよ。ある意味大物だな。
「おいおい、で、栗原が呼んだのか?」
「まあね、僕としても人数は多いほうが何かといいしね」
栗原が何か企んでいるように笑う。何を企んでるんだよ。聞いても言うとは思えないが、とにかく用心はしておこう。たぶん何か起こるはずだ。
「まあ、いいか、とりあえず沢村も風呂入って来い」
「え~師匠とがいいです!」
「ちょっおま!! 駄目だ!!」
「え~!!」
「え~じゃない」
「む、わかりました」
まったく。僕も健全な男子高校生ですので危ないですよ。本当にまったく。沢村にはもっと自重してもらいたいねまったく。
「とか言いつつにやけている悠なのであった」
「こら、栗原嘘を言うな嘘を!」
「ごめんごめん」
栗原も余計なことをしてくれる本当に。
「それで師匠。三上はどこ行ったんです?」
「覗きだ」
「おお!!」
何をそんなに感心してんだ沢村。どこにも寒心するところはないぞ。まさか何か勘違いでもしてるわけじゃないだろうな。
「さすが三上」
「ちょっと待て沢村お前なにか勘違いしてないか」
「ん? 何が?」
「なんで三上がさすがなんだ」
アイツただ覗きに行っただけなんだぞ。
「男子にとって女子の風呂は天国であると同時に地獄でもあると聞きました。だからそんなところに行く三上はすごいなと」
「…………それは誰に聞いたんだ」
「三上です」
思わず目頭を押さえる。呆れて何も言えないぞ三上。てか、後輩のしかも女子に何教えてんだ。こいつ素直というかバカ正直だから信じてしまってるぞ。
「よし、じゃあボクも行ってきます!!」
「っておいお前女だろ――って、もういないし」
まあ、そんな大変なことにはならないだろう。そう思って料理を続ける。
「元気な子だよね~」
栗原が言った。
「確かにな。だが、元気すぎだろ」
「まあ、彼女のいいところだよ。ああ、それとはい、これ」
栗原に渡されたのは大きな茶封筒。
「サンキュー。助かる」
「いいよ。頑張ってね師匠」
「師匠言うな」
茶封筒をテーブルの上に置く。これは沢村の流派とかと沢村自身について栗原に調べてもらったものだ。
「キャー!? この馬鹿! 変態!!」
その時悲鳴が上がり鈍い音が響いた。
ドゴッ!!
「ぶべらっ!?」
そして三上が吹っ飛んで来た。
「我が…生涯に…一片の…悔い…なし」
がくっ チーン
三上はそう言って気絶した。
「バカだ」
「バカだね」
どうせ復活するだろうから放っておくことにした。




