第十八話 海ってやっぱりいいよね
さて、そんなわけで栗原別荘。島の高台に立てられている。二階建てなのもあり普通の別荘よりはかなり大きな印象を受ける。まあ、僕は普通の別荘というのを知らないのだが。平均的な一軒家と比べても数倍の大きさだろう。そっちの方がわかりやすい。
外観は清涼感のある白と薄い色で統一されており一階にはウッドデッキが張り出し、二階にはバルコニーがある。ウッドデッキはニス以外塗られておらず木そのままの色が出ている。そこには円形のテーブルとそれに付属する椅子が数脚置かれている。オープンカフェのような感じになっている。栗原のセンスだな。
「じゃあ、入ろうか」
別荘を見蕩れていたみんなに栗原が言う。
内装もすごかった。
玄関から入るとまずは高い吹き抜けの天井が迎える。その天井につけられた天窓から光が降り注ぎ部屋の中は温かい明るさに包まれていた。
オープンヒナダン階段で温かみのある階段を上れば二階、さらに上がればロフトへと行くことが出来る。二階にはいくつか来客用の部屋があるようだ。また、ふとした所にアンティークや調度品が置かれている。これも栗原自身が集めた物らしい。
一階はリビングダイニングでありそこからはウッドデッキにも出ることができ壁のほとんどが窓でありどこからでも海を臨むことが出来る。木製システムカウンターがあり料理も楽しそうだ。
「すごいな本当」
「うん、そう言ってもらえると嬉しいよ」
「ねえ、ねえ悠すごいよ!!」
「あまりはしゃいで何か壊すなよ」
莉子がはしゃぎまわっているので言う。
「いや~、いいとこですね。ほかにも友達誘うべきでしたね」
「そうだね」
「今から電話しましょう」
「おいおい、今からじゃ無理だろ」
「一人なら可能です」
誰だよ。それ。木山は電話をしに外へ出て行った。
「二階だけでなく地下もあるからね。ちなみに地下はサウナだったりするよ」
「へ~」
まあ、サウナか試してみるのもいいかもしれないな。
「じゃあ、みんなそれぞれ部屋の前に札置いといたから部屋はそれに従ってね」
「ああ」
指定された二階の客室に行く。ベットとクローゼットと最低限のものしかなかったがここからでも海が見えた。ひとまず荷物を置いて一階へ。当然佐藤の荷物も部屋においてだ。
「「おっし!! じゃあ、荷物を整理して水着に着替えてから浜に集合だー!!」」
三上と莉子が高らかに宣言した。全員が部屋に荷物整理しに戻る。
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それから30分後。
僕と三上と栗原はそれぞれ水着に着替えてパラソルやらの準備をしていた。
「お~、ご苦労ご苦労」
莉子がやって来た。
「んふふ、どう悠。似合う?」
莉子が着ていたのは黒くおちついた花柄パンツタイプホルタービキニにビーチサンダル。惜しげもなくさらされた生足に思わず唾を飲み込む。健康美に溢れている。
「似合ってるんじゃないか」
勤めて平静に言った。
「えへへ、褒められた~!」
どうやら莉子にはばれてないようだ。
「似合ってるよ黒江さん」
「ありがと栗原」
「すげえ似合ってるぜ!!」
「まあ、一応ありがとう三上」
次に来たのは水色のタンクトップ・スカートの水着の木山だ。莉子ほど体に起伏はないがというよりこの面子で一番ないが中々可愛い感じだ。良家のお嬢様って感じがどことなくする。
「やっほ~ですよ~」
「似合ってるな」
「ありがとです。でもなにもないですよ」
「別に何も期待してないよ」
「そうですか」
「うん、木山さんらしいと思うよ」
栗原がいい。
「そうだな」
三上がいう。
最後に佐藤がやって来た。黒と白とピンクのボーダーホルターパレオ水着だ。腰にパレオを巻いているのでその生足を見ることは出来ないが歩くたびに少しだけ見える足がまた。やっぱり見蕩れずにはいられない。
「何よ。どこかおかしい?」
「い、いや。似合ってると思うよ」
「そう」
やっぱり反応が薄い。いや、少し顔が赤い気がする。太陽のせいかな。
「そういえば木山誰に電話したんだ?」
「来てからのお楽しみです。先にはじめていても結構です」
木山の言葉を聞いて三上が宣言する。
「よし、ならバーベキューを始めるぞー!!!」
確かに昼には丁度いい時間だがいきなりかよ。一応準備はしてるけど。
「さあ、バーベキューの開始だ!!」
三上が火をつけバーベキュー開始。無人島でおこなったことの一番目はバーベキューとなった。
なぜか焼くのは僕。莉子と三上に強制指名された。
「ほら、焼けたぞ」
「わ~い!!」
「よっしゃー!!」
莉子と三上が最速で食べる。肉だけ。
「こら! お前ら肉ばっかくうな!!」
「「だが断れる!!」」
三上と莉子が同時に言った。
「まあ、まあ今日くらいはいいじゃないか」
「栗原そういうなら少しは手伝え」
「まあ、僕主人だし」
「それこそやれよ」
「任せた」
「おい!」
栗原も僕を助けてはくれなかった。僕を助けてくれそうなのは残り二人。
「なあ、木山手伝ってくれないか」
「おっと、やはりきたですね。来ると思ってたですよ~」
「なら――」
「だが、断るです!!」
「佐藤――」
「いや」
「――ですよね~」
誰も助けてはくれなかった。誰か僕を助けてくれ。
「ならば、私が助けてやろう」
「!?」
「ああ、ようやく来たですね」
木山の呟きとこの声は。
「まさか!!」
海から我が校の生徒会長中宮風里が黒ビキニ姿で現れた。このメンバーの中で一番目の毒だ。特に胸が。やばすぎる。
「おお!! 我が校の女子の中で彼女にしたい女子ランキングナンバー1の中宮会長!!!」
三上が興奮しながら言った。無駄に声が大きい。
「ほのふぃとふぁれ(この人誰)?」
「口にもの入れたまましゃべるな莉子」
急いで飲み込んだ莉子。
「ねえ、悠あの人誰?」
「うちの生徒会長だよ」
「ふ~ん、そうなんだ」
さほど興味がないようでそれだけ聞いた莉子は再び食べ始めた。佐藤も興味はなさそうだ。
「へ~、木山さんが呼んだのって生徒会長だったんだ」
「そうですよ栗原君」
そうこう話していると中宮会長が近づいてきた。
「ここはお前の島か栗原直哉」
「そうだよ」
「まったくわかりづらい所に別荘を作ったものだ。探すのに苦労したぞ」
探すも何もここまで泳いで来ている時点でもう普通の人間とは何かが連れている。
「それはゴメンね」
栗原お前中宮会長を舐めてないか?
「まあ、いい狩野悠私も手伝ってやる」
焼くのをということだろう。
「お願いします」
「ああ」
中宮会長と供にいろいろ焼いていく。中には中宮会長が獲ってきた(素手で)魚もあった。しかし、中宮会長のおかげで少しは楽になったのだが、僕はまだ一口も食べれていなかった。
「中宮会長は食べなくていいんですか?」
供に焼き続けている中宮会長に聞く。
「ああ、心配するな食べているぞ」
「へ?」
「なに、焼いている途中で食べている。狩野は食べないのか?」
なんでそりゃ。あなた食べる暇なかったじゃないですか。そんなことしてなかったじゃないですか。なのに食べている。あたかもそれが当然のように驚かないでくださいよ。
「い、いや、いいです」
つくづくうちの高校の生徒会長の規格外さがよくわかった。
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「はあ~。終わった」
「「海で遊ぼうー!!!」」
三上と莉子が海へと走っていった。莉子は海には入らなかったが。
「では私も行くかな」
中宮会長も海へ向かう。
「さ~て、私は森の中に本当に野生児がいないかどうか確かめてくるです」
「あ、木山さん僕も行くよ」
栗原と木山は森へと入っていった。
「はあ~」
僕はパラソルの影に座り込む。
「結局なにも食べれなかったな」
どうすっかな。
「はい」
どうするか考えていると佐藤が皿を渡してくる。上には肉やらがのっていた。
「アンタ食べてないんでしょ。残ってたのとっとてあげたから食べなさいよ」
これは非常に嬉しかった。
「サンキュー」
受け取り食べる。うん、うまいな。
「だけどなんでとっておいてくれたのんだ?」
アニメとかなら普通に佐藤が僕のことが好きとかだがそんなことはあるはずがない。
「べ、別に。アンタに倒れられたら晩御飯が作れないからよ。まともに料理できるのアンタしかいないんだから。勘違いしないでよね!!」
佐藤は走って海へ行った。
「僕は料理係かよ」
どうりで、てか栗原も出来るだろ、木山だって。僕に押し付けたな。
「いや~、海は楽しいね~」
莉子が隣に座る。おそらくはしゃぎすぎたから疲れたので休憩しに来たのだろう。
「その割には泳いでないみたいだな」
「…………」
莉子が急に黙る。
「どうした? 泳がないのか?」
「…………」
莉子は何も言わない。
実を言えば莉子はかなづちだ。昔から莉子は泳げない。いつも水泳の授業はサボっていた。
「せっかくの海だろ泳いでくればどうだ?」
「…………わる」
「ん?」
「悠のいじわる!!」
ちょっとからかいすぎたかな。
「知ってるでしょ。私が泳げないこと!」
「そうなのか知らなかった」
さっきは食べられなかったからな。少し仕返しだ。
「む~~」
子供のように頬を膨らませる莉子。その様子に少し可愛いかな~とか思うわけもなく。その頬を引っ張りたくなった。やらないけどな。
「そうむくれるなよ」
「む~~~あ!!」
何かに気づいた莉子。
「そうだ!! 悠――」
「さて、海行こう」
莉子が言い終わる前に立ち上がり海へ向かう。
「ちょっと待ってよ!!」
「待たない」
「泳ぎ方教えてよ~!」
ほらな、やっぱりそうきた。しかもこれが本音じゃないな。どうぜあわよくばとか考えているんだろう。過去の経験からそんなことはわかりきっている。ので、拒否。莉子がこれない海の中へと避難することにする。
「お~し~え~ろ~!!」
「中宮会長に教えてもらえばいいだろ」
あの人なら一日でそれも完璧に泳げるようにしてくれるだろう。まあ、こう言ったところで莉子が退くとは思えない。どうせ食い下がってくる。
「私は悠に教えてほしいの!!」
ほらな。
「………………」
「悠?」
「……………………がんばれ!」
それだけ言って僕は海へ入っていく。当然莉子は足が届くところまでしかこれません。よかったよこのあたりの海割と深くて。
「悠ー!!」
こんな無人島の別荘にまで来て莉子の世話などする気はない。莉子が叫んでいるが無視を決め込み泳ぐことにする。海が綺麗だ。
その後、恒例の西瓜割りやビーリバレー大会(のちに中宮会長と莉子の一騎打ち)を行った。そのどれも三上が悲惨な目に遭ったのは言うまでもなく想像力の豊かな読者さんにはわかりきったことだろう。
そして日が暮れかけたところで別荘へと戻った。




