4:装甲馬車
「とりあえずワシの固有、と、ゼンの固有も一緒に覚えとこか」
他に何が出来そうか色々弄っていたら苦笑した祖父ちゃんにそう声をかけられた。自分でも思ったより集中してたっぽいな。いかんいかん。
「ごめん。お願いします」
「あいよ、んじゃ《創造:ミスリル》」
「《異世界憧憬》」
[創造:異の発動を確認。固有・創造:異をコピーしました]
[異世界憧憬の発動を確認。固有・異世界憧憬をコピーしました]
うん。バッチリ覚えた。
「ありがと、二つとも覚えたよ」
「どういたしましてだ。孫ちゃん」
実を言うと祖父ちゃんの固有ちょっとコピー出来るか不安だったんだよな。祖父ちゃん異世界百%だし。ま、結果としてはコピー出来たわけだけどさ。
さて、後はコピーしたスキルを使ってみて感覚を確かめてみないとな。
「コピーしたスキル使ってみたいからもうちょっと付き合ってもらっていいかな?」
「ワシは構わんよ」
「俺も大丈夫だ」
スキル的にいきなり爆発とかはしないと思うけど持ち主が居た方が何となく安心出来るもんな。
「じゃあまずは創造から……」
◆◆◆◆◆
「こんなところかな」
どうせならと汎用スキルもコピーしてみて色々分かったことがある。
まず、同じ汎用スキルをコピーした場合レベルが高い方に統合されるということ、それにより既にコピーしているスキルよりレベルが低いスキルはコピーされないってことだ。
それと、俺が本来覚えているスキルと同じスキルもコピー出来た。
で、それのおかげで分かった消費魔力の差だけど、汎用スキルは元の三倍くらい使うっぽい。結構な消費量ですよ。
固有の方は、自分の魔力でどれくらいまでなら使用出来るか、その限界値を確かめてみた。
最初に祖父ちゃんの創造、消費魔力は質量によって上下するってヤツ。
これは、一度に創造出来るのは三十kgまでだった。ただし、三十kg創造すると魔力が空になって、さらにコピーキャットも解除されちゃって、しかも魔力が空になって強制解除されるとコピーキャットで消費してる半分の魔力も還元されないオマケつき。
だから、限界は三十kgだけど他のスキルの事も考えると限界まで創造するのは良くないという結論に。
次に父さんの異世界憧憬、これは消費する魔力が多ければ多いほどその強化率が掛け算式に増えていく。
残り五割の魔力を全部使用した結果、父さんに言われたのは「百人規模の盗賊なら余裕」だってさ。
地力の差も有るとはいえいくら何でも父さんとの差があり過ぎない?とも思ったんだけど、元々の消費魔力より多く消費するって事と、父さんには異世界の血が半分、俺はそこからさらに半分の四分の一、その関係でかなり抑えられた効果に落ち着いてるんじゃないかって言うのが祖父ちゃんと父さんの意見だった。
それと母さんからは「十分に凄いわよ?強さの基準が父さんだからカナメの感覚がズレているだけで」と言われた。
言われて気づいた正論である。
そして母さんと祖母ちゃんの固有。
水中呼吸と信じる心だけど、これは思ってた通りコピーしても魔力は消費しなかった。
実際に効果を確認できたのは水中呼吸だけだけど(運にプラスの補正が掛かってるかなんて正確に確認出来ないし)魔力を消費しないという事は常時発動型は一度コピーさえしてしまえば文字通り使いたい放題と言う訳だ。
勿論コピーキャット発動中に限り。って制約はあるけど。
コピーキャットのレベルについては、今すぐにレベルが上がらないと困るという訳でもないので、レベルが上がったらラッキーくらいに考える事にした。そっちの方が気が楽だもんね。
最後にウインドウに関しては、現状出来る事は無かった。レベルが上がれば何か出来そうな気はするんだけど。
そんなこんながありつつ以上の結果から
「「「やっぱりエグイ」」」
という結論に至られた。
ですよね。
「これレベル上がったらどうなると思う?」
「そりゃ、消費魔力が減るんやない?コピーすんのに威力は関係無いし」
コピーする威力が上昇するって意味わからないもんな。
「ま、さっきも言ったけど無理に上げる必要はないやろ。」
異世界憧憬も余程のことが無い限り一~二割で十分だし、消費魔力に関しても魔力回復薬を創造出来るし、常時発動型スキルはそもそも魔力いらないし。
「創造は冒険に出る上でかなり役に立つだろうしな」
家族には冒険に出る事は話してある。話してあるって言うか、そもそも冒険に出たいと思ったきっかけが祖父ちゃん達だからな。
祖父ちゃんも父さんも世界を旅して回ったっていうし、母さんだって元冒険者だ。そんな家族の冒険譚を聞かされて育った子供が冒険に憧れない訳がないだろ。
俺は大いに憧れたぞ。
「あら?貴方の異世界憧憬だってかなり役に立つと思うわよ?女の子と旅をするんだもの。戦闘力だって必要よ」
アルマの事だ。アルマも一緒に我が家の冒険譚聞いていたから、そんな中で「将来一緒に冒険しようね」なんて言ってたんだ、そりゃ二人で冒険する事は知ってて当然だよ。
それについてアルマの両親はどう思ってたのかって事なんだけど、特に問題は無くて、むしろ応援してくれた。アルマの両親も元冒険者だし、そこら辺元冒険者は寛容なんだろう。
「それでカナメ。いつ出発するの?」
「ん?明後日の朝に出ようかと思ってるよ」
創造のお蔭で準備らしい準備は必要なくなったしアルマの準備も終わってるみたいだけど、明日は急だからな。ちょっと余裕を持って明後日に出発だ。
「じゃ、確認は終わりって事でいいかな?実は孫ちゃんの旅のお供に創造した物があるんだけど、次はこっちの方も確認してもらっていい?」
え?そんなのがあるの?
貰えるものなら貰うよ。
「何を創造したの?」
「装甲馬車」
……え?もう一回。
「装甲馬車」
ふむ、どうやら聞き間違いではない様だ。
「装甲馬車?」
「かっこええやろ。装甲馬車って響き」
そこは、うん。確かにかっこいいけど。
裏の工房にあるからと、向かった俺の目の前には全長八m、横幅四m、高さ三m程の白銀色の馬車?が置いてあった。デカいな。
「前方に二門、後方に四門の砲台があってな、魔力を込めて魔弾を撃てるんよ。本体から車輪に至るまで全部ミスリル合金で頑丈さを高めるとともに軽量性をアップしとって、生半可な攻撃じゃ傷一つ付かんのよ。しかも馬車を引く馬もミスリル合金製のゴーレムでね、疲れ知らず。そしてミスリルゴーレムに取り付けられたドリル! これを付けることによってユニコーンっぽくするのと同時に、命令すればその高速回転により触れるもの皆砕け散る浪漫武器になるんよ! 勿論内装も拘ったんよ? キャタピラと車両本体の間に強靭なバネを組み込むことにより衝撃を吸収緩和。浴室は無いけどシャワーとトイレもバッチリ完備。水の魔石のお蔭で五百リットルは魔力補充無しに使用可能。ベッドは最高級羽毛布団に、約束された勝利の快眠でお馴染みの低反発マットレスの組み合わせ。盗難防止には魔力ロックを採用して登録された魔力以外では馬車のドアすら開けられない仕組みになっとる。これで馬車から離れてても安心て訳やな。パーツ毎に創造するしかなかったから組み合わせるのに結構苦労したけど、その分会心の一品になっとるよ。どう? 凄いやろ?」
内装も見ながらそう説明してもらったんだけど……ちょっと凄すぎませんかね。
「これは最早、馬車、か?」
兵器とか、要塞とか、では?
「正直、ちょっとばかしやりすぎたかなぁ~。とは思っとる」
「いや、かなりでしょこれ……」
「でもその分色んな安全は保障されとるから」
「それは、うん」
見た目は白銀色で派手だけど、大砲も付いてて、ゴーレムが引っ張ってる馬車とか、傍から見たら恐ろしい。乗り手としては頼もしい限りだが。
でも、流石にこれを貰うのは抵抗があると言うか。
「気が引けるんだけど……」
「遠慮はせんでええよ。どうせ次からは創造で一発やしな。それに貰ってくれんとワシも困る」
「あ、そうだよね。折角造ってもらったのに」
「それもあるんやけど、こんな大きい物置いとったらミコちゃんに怒られるんよ」
「そっちが本音ですか」
それほどまでに祖母ちゃんが怖いか。
まぁ、貰うのに気が引けるってだけで実際かなりありがたいしな。
「じゃあ、ありがたく貰っとくよ」
それに、折角造ってくれたのに悪いからね。
そう言うとじいちゃんは明らかにホッとした表情になった。
それほどまでに怖いのか祖母ちゃん。
「んじゃ、この魔石に魔力流して。それが馬車本体と連動してて魔力登録されるから」
「わかった。――これでいい?」
「うん。バッチリやね。これは孫ちゃんに渡しとくから、明日にでもアルマちゃんにも登録してもらっといてな」
「あー、アルマのとこには今から行ってくるよ。出発が明後日だって言っておかないとだし」
その時についでに登録してもらおう。




