表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異なるスキルの使い方  作者: 黒服
33/47

33:獣

2018/9/11

全編に対する句読点や数字表記の修正。


12話の内容から26話で創造出来る鉱石にミスリル鉱石を追加いたしました。

33話の内容から22話での「ロックシードの種から魔弾を作る」という文章を削除いたしました。


合わせてお知らせいたします。

◆一週間後◆


「カナメさん」


 時刻はお昼を過ぎた辺り、昼食を食べ終えて外でボケっとしている時にヤゲンさんとリクと…初めて見るけど多分奥さんらしき人物が牧舎まで訪ねて来た。

 ヤゲンさんにオーダーメイドをお願いして一週間が経った今日、訪ねて来たという事は魔銃が完成したってことだろう。


「こんにちわ、ヤゲンさん。リク」

「こんにちわです、カナメさん」

「それと、えーっと……」


 奥さん……だよね?


「初めましてカナメさん。私、ヤゲンの妻でクイナと申します。二度ご来店下さった時どちらも留守にしておりましてご挨拶をと…この度主人に無理をいって同行させていただきました」

「あ……どうも」


 ペコリと頭を下げるクイナさんにつられて俺も軽く会釈をする。

 挨拶とか俺はそんなの全然気にしてなかったんだけど、商売人ってそういうもんなのかな?


「妻がどうしてもと言うので……ご迷惑では無かったでしょうか?」

「いえ、そんなとんでもない。わざわざありがとうございます」

「それはよかったです。大勢で押しかけてご迷惑にならいなかが心配で」


 んー、大勢っても三人だしな。

 それに装甲馬車が大きすぎて牧舎の外だし、迷惑っていうならここに装甲馬車を預けた時点で牧舎の人にとても迷惑を掛けている気がするけどそれは俺達のせいだしな。


「ヤゲンさん。リク君」

「こんにちわアルマさん」


 馬車の中で本を読んでいたアルマもこちらの会話に気付き外へと出て来た。


「初めましてアルマさん。私ヤゲンの妻のクイナと申します」

「あ……どうも」


 そんなアルマに本日二度目の自己紹介&会釈のクイナさん。

 そして俺と同じような反応で会釈を返すアルマ。

 

 咄嗟だとそういう反応になっちゃうよね。


「えーっと、魔銃が完成したって事ですかね?」

「はい。自分で言うのもおこがましいですが、とても良いモノが作れたと自負しておりますよ。……リク」

「はい。お父さん」


 ヤゲンさんに促され、リクはそれまで大切そうに抱えていた荷物をそっとテーブルの上に置くと、巻かれていた布を丁寧に取っていく。

 二重に包装された布から出てきたのは、白銀に輝く魔銃が二丁。


「アルマさん、手に取ってご確認下さい」

「……」


 アルマは魔銃を手に取ると、感触を確かめるようにグリップを握り、魔銃の全体を様々な角度から眺め始める。

 そのキラキラした瞳は祖父ちゃんに小説の続きを創造してもらった時と同じだ。


「……綺麗」

「どうやら気に入っていただけたようで何よりです」


 俺も残る一丁を手に取ってみる。 

 メインの素材はこっちが用意したアイアンファングの牙だけど、あの鈍く輝いてた牙がこうもピカピカになるものかね。


「これ、何かコーティングとかしてるんですか?」

「いえ、ただ研磨を重ねただけですよ。普通のアイアンファングの牙であれば不純物が混ざっている影響でもっとくすんだ鈍色になるのですが、今回ご用意していただいた素材は不純物も殆ど無く、密度も申し分ない一級品でしたのでここまでの輝きを持ったと言えます。実際に加工をしてみて改めて驚きましたよ」

「加工している時の主人の顔ったら、新しいおもちゃを買ってもらった子供みたいだったんですよ」


 クイナさんが微笑みながら加工中のヤゲンさんの様子を話してくれたけど、その様子は何となく目に浮かぶ。オーダーしている時も抑えきれないワクワク感がにじみ出てたし。

 きっと今のアルマみたいな感じだったんだろうな。

 まさしく新しいおもちゃを手に入れた子供だわ。


 いや、武器なんだけどね。おもちゃじゃないんだけどね。


「お父さんのあんな顔初めて見ました」

「ハハ……参りましたね。っと忘れる処でした。こちらは魔弾となります」


 リクからもそう言われてしまったヤゲンさんは苦笑いを浮かべると、こちらも布に包まれていた魔銃の弾、魔弾を差し出してくる。

 オーダーの後にロックシードの種で魔弾を作ってもらえないか頼んでいたヤツだ。


「ありがとうございます」


 流石に一から弾を作れる程の器用じゃないからね。

 でもこれでとりあえずの魔弾には困らないし、他の素材で作る時に参考に出来るってもんだ。


「アルマさんもカナメさんも魔銃を扱うのは初めてという事ですので、おさらいにはなりますが、改めて扱い方のご説明をさせていただきます。まず装填の仕方……は問題有りませんでしたね」


 回転式魔銃には、装填の仕方が振り出し式、中折れ式、固定式と三種類存在していて、今回アルマが頼んだのは固定式と言われるタイプだ。

 これは他二つに比べると魔銃本体の堅牢性が高いので、扱える魔弾の素材が豊富という利点があるけど、魔弾の再装填に時間がかかるという欠点がある。

 だがこの欠点、アルマからしてみれば何の問題も無いのだ。

 と言うのも。


「収納系統のスキル経由で装填が出来るとは思いませんでしたよ」


 そう。ヤゲンさんの言う様に、宝物の園を経由することによって装填が可能だったりする。

 

 いやね、装填方法の説明を受けた時にはたと思いまして、ちょっとお願いしてウラエヌスをお借りして試してみたんですわ。

 そしたらね、まぁその思い付きが当たりまして、手でするよりも早く出来たんです。

 

 これスキルの中で物を組み合わせる事が出来るってことで、それならとついでに試してみたけどシリンダーから魔弾を取り除く事も出来たんだよ。

 で、この一週間色々試してみたんだけど、これ結構細かい部分まで操作出来る事がわかった。

 今の所魔弾の装填くらいにしか使い道は無いけれど、まぁとにかくそんな訳で、欠点が無くなるのであれば堅牢性の高い固定式がいいだろうという話になった訳さ。


「では、撃ち方のご説明を。と言っても引き金に指を掛けて引くだけなので大した説明も無いのですが……魔力の込めすぎには注意をして下さい」


 魔銃に込めた魔力を圧縮させて弾く事で魔弾が発射されるんだけど、この時に魔力を込めすぎると弾がボロボロになってしまったり、最悪魔銃そのものが耐え切れずにバラバラになってしまう事があるとの事だ。


「弾の素材としては脆いですからね」


 現状、魔銃の性能に弾の素材が追い付いてない状態なんだって。

 ロックシードの種で魔弾を作って下さいって頼んだ時にそう言われたんだよ。

 魔力伝達もかなり良いらしいから、アルマ自身がそこまで魔力を込めたつもりが無くても魔力過多になる場合があるんだってさ。

 素材の質の差がそんな所に影響を及ぼすとは思いもしなかったね。


「次に魔銃の手入れですが、銃身内部のライフリングが弾の削れカスで埋まる事がありますので、それを取り除いてあげて下さい」


 ライフリングってのは弾を真っ直ぐ飛ばすために掘られた螺旋状の溝、だったかな?

 螺旋回転を与える事で軸を安定させて、とかなんとか、うん。

 

「これを使うんですよね?」


 アルマが取り出したのは、オーダーの時に買っておいた、デミスライムの粘液を加工して作られた魔銃用の手入れ道具だ。

 棒の先端にゼリー状の粘液がくっ付いてるこれの使い方は、銃口にツッコむだけ。

 すると、ゼリーの部分が内部形状に形を変えて汚れをしっかりと吸着してくれるって寸法だ。

 

「はい。手入れのし過ぎは悪い事では無いですので、一度使ったらメンテナンス。を習慣付けておきますと長く使えますよ」

「わかりました」


 おさらいではあったけど一通りの説明を受けた後、折角だからとアルマの提案で皆でティータイムとなった。

 例のハーブティーは出せないからモンシロ茶っていうまんま牛乳みたいな色合いの紅茶を出したんだけど、これウルスラじゃそこそこ良いお茶でして……流石ダンジョン産の中級素材と言いますか、今度はそこでクイナさんのテンションが上がっちゃって。

 あまりにも幸せそうな顔で口に運ぶものだから、帰り際に茶葉を少し御裾分けしたよ。

 自分たちで飲む分には困らないしな。


「んー、思ってたより長く滞在したな。」


 ヤゲンさん達が帰った後、俺は背を伸ばしながらウルスラでの出来事を思い返していた。


「最初はコランダムクラブの素材を売ってブーストポーション買うだけだったのに」


 ほんとな。

 それが暁と出会い、ダンジョンに潜り、固有スキルが増え、アルマ用の魔銃をオーダーして、と色々あったもんだ。


《ですが、良き滞在ではなかったでしょうか》

「まぁね」


 クロエの言う通り、悪い事なんざ一つも無かった。

 

「これが祖父ちゃんの言う旅の醍醐味ってやつ?」

「多分」

《人との出会いと、ハプニングですね。今回は良い事ばかりでしたけれど、当然ながら悪いハプニングも起こり得ますのでそこは注意が必要ですよ》


 ちょっと浮かれてた気分を見透かされたかの様に釘を刺されてしまった。

 でも確かに。気を付けよう。


「そういえば名前とかあるの?」

「何が?」

「魔銃」


 未だオーダーした魔銃を抱き抱える様に持っているアルマに名前を訊ねてみた。

 ウラエヌスってのは固有名詞じゃなく、グリップの彫金が蛇だったからその名前ってだけだからね。

 ってヤゲンさんが言ってた。初めて知った。


「勿論あるよ。名前はセリオン」

《獣を意味する言葉ですね。他には自然の力を象徴する言葉だとも太陽だとも言われています》

「あー、クロエをイメージしてるってんなら何となくわかるわソレ」

「でしょ?」

《…恐縮です》


 そう言って畏まったクロエだけど、そこはもうちょっと自信を持っても良いと思う。

 獣って言葉から連想するイメージはあまり良く無いモノかもしれないけれど、きっとそういう類では無いだろうし、自然の力の象徴って言われても納得出来るくらい底なしの強さも持ち得てる。

 ま、そういう部分が良い所でもあるんだけど。


 そんなクロエがモチーフになった魔銃セリオン。

 意思は持っていなくとも、是非ともクロエと一緒にアルマの力になってやってくれよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ