馬鹿では生きていけない国際社会
雇い先で騒動に巻き込まれた。
事情を聞く。
話を聞くと。
この王国では女に相続権がない。
男が生まれない家門で父が早逝すると。
「はい、会ったことも聞いたこともない遠い親戚が相続人になります。そして、女達は追い出されます」
私はダーク王国の事情を話した。
ダーク王国では男に相続権がない事情を知っているようだ。
「そうです。私の故国では女性のみに相続権があるから、男はアクセサリー扱いです」
「フウ、やっぱり、理想社会ではないのですね・・・」
「失礼ですが、婚約者はおられないのですか?」
「はい、一歳下におりましたが、学園卒業まで後1年です。学園を卒業しなければ貴族の当主になれませんから、お父様の余命が半年と診断されてから婚約を破棄されましたわ・・・近づいて来る殿方は信用できなくて・・・」
「私はダーク王国の貴族学園を卒業しております。もし、良かったら婚約者(仮)にしませんか?虫除けぐらいにはなるでしょう」
「まあ、本当ですの?」
手の平を胸の前で合わせてパアと輝いた。可愛いな。
「お父様に会って下さいませ」
「はい、当主にご挨拶させて頂きます」
それからトントン拍子に話が進んだ。
伯爵は病気で伏せっている。
「ワシは女にも相続をできるようにするべきじゃ・・・ゴホ、ゴホ、と思う・・・愛する我が子と妻に財産を残せないなんて嫌だ・・・」
伯爵は家族愛から相続法に反対のようだ。空理空想ではない。地に足が付いているな。
「話を聞いた・・・フローリアと結婚してくれ、頼む。妻と娘達を守ってくれ」
「伯爵・・・」
手をガッチリ握られて目をみつめられたら、「諾」というしかない。
「伯爵、分かりました」
「おお、そうか、娘の結婚ドレスを見たい・・」
「お父様」
こうして、私は会って一日目の令嬢と結婚することになった。
伯爵は娘の晴れ姿に号泣をしている。
「グスン、グスン、クララとの約束を守れた・・・」
「お父様・・・今まで育てて頂いて有難うございます」
伯爵はその日のうちに家督を譲る決断をされた。
「アルベートよ。君が第12代フロン伯爵だ・・・妻と娘達を頼む」
「はい、伯爵・・・」
勢いで結婚したが悪くない。むしろ、嬉しい。
仕事は王宮で既にしていたから楽勝とは言えないが領地経営は上手くいった。
伯爵はちょうど半年後に亡くなられた。
葬儀を行い。
義母とその連れ子も屋敷で残す。
義母を養い義妹を養育する。
生活は順調だ。
第一子が生まれた。
「あなた・・女の子ですわ」
「おお、嬉しいぞ」
しかし、第二子、第三子も女の子だ。
母子ともに健康だが・・・
「あなた・・・男の子が生まれないわ」
「君のせいではない。他の方法を考えよう」
男子がいないと養子を取るしか無い。
私は良い。婿養子だ。しかし、もし、私が婿を迎える前に亡くなったら・・・・
フローリアの体は強くない。これ以上、子を産んでもらうには・・・
社交界に出席し、養子を探すが・・・
この国ではレディーファーストだ。表向き女性は大事にされている。
しかし、相続権はない。離婚は女性からは法律的に切り出せない。
結婚している女性に財産の所有権はない。
表向きは大事にされている。
しかし、気がつく者もいる。
「アルベート様ですね」
「これは王女殿下」
ビィクトリア王女殿下に話しかけられた。夫婦で礼をする。
若い。学園二年生だと聞いた。
「ダーク王国のお話を聞かせて下さいませ」
目を輝かせている。そうだ。女系国家だから興味があるのだろう。
「メリッサ女王陛下とはどのような方ですか?」
「はい、豚です。一言で言えば強欲です」
一瞬で顔が曇った。
「もう、いいわ」
この年頃は危うい。素直に本当の事を話したのに・・・
しかし、この頃から、ダーク王国の悪い噂を聞く。
「金を払ってくれない」
「男達が次々と逃げだしている」
「将軍級まで亡命したよ」
「何でも、最後で唯一の王宮官吏アルベート殿が亡命されてから、誰も事務を統括する者がいなくなった」
何だ。俺は最後の王宮官吏と言われていたのか?
元々、実力主義の国だったから官吏は優秀だった。
それがいつしか、綺麗な男子ばかり婿に選ばれる事になったな。
そして、遂に王宮に呼ばれた。
「輝く王国の太陽ダキア王にご挨拶申し上げます」
「うむ。挨拶は良い。早速、ダーク王国の話だ。元公爵令息としての話を聞きたい」
ダーク王国はデフォルトを起しているそうだ。
つまり、破産だ。国家が破産することは通常ない。何故ならば徴税権がある。
100年の割賦払をすれば良いからだ。
でも、それは条件がある。政体が信用できるかどうかだ・・・
「うむ。何度も話会いの場を設けているが、官吏がおかしいのだ。『女王陛下に聞いて見る』『だって仕方にない』と連発している・・チャラチャラした男達ばかりだ」
「はい、もう、話会いのできる相手は私の義父だった女公爵の夫しかおりません」
「その方は亡くなったよ・・・」
「そうですか・・・」
「内密だが、ビィクトリアがメリッサに騙された・・・」
女傑として尊敬して文通を申し込んだが、ネックレス、宝石を借パクされ。果ては知らない請求書が届くようになった。
ダーク王国を討伐することになった。
私は防衛線が薄い所を将軍達に教えたが既に防衛線は瓦解していた。
抵抗は軽微だった。
兵士の給金は数ヶ月遅れている。士気が著しく低い。
どうして、国防を担う兵士をないがしろにして国を保てようか?
一度、王都郊外で近衛騎士団数百が出てきた。美男子だからけだ。
弓矢で簡単に撤退した。
こうして、王宮に占拠し。メリッサを拘束し。拷問をした後に。
裸にして豚のような体をさらして、
「処刑だ!」
四つん這にして首に縄をかけて引っ張らせた。
女系国家の終焉だ。いや、違う。場所を変えて存続するのだ。
ダキア王国に帰国した後。陛下に策を述べた。
「女性にも相続権を認めるべきでございます。メリッサのような偽者に各国の王女が騙されたのは、ひとえに相続の問題があるからだと思います」
「うむ・・・しかしな・・・」
「実際に弊害が生じています。愛する我が子に男女の区別はありません。
ビィクトリア王女殿下に法案の指揮を執らせて汚名挽回の機会を与えてればどうでしょうか?」
「うむ・・・」
こうしてダキア王国では女性に財産権、相続権が認められた。
今まで婚姻は旦那に財産を譲渡する契約でもあった。
それが結婚しても妻独自の財産を持つ事ができる。
婿養子を迎えても顔色をうかがう事はない。
相続、つまり、女伯爵になれると言う事だ。
「クラウディア、総領娘として女伯爵になるのはどうかな?ダキア王国初の女伯爵だぞ」
「お父様・・・頑張りますわ」
「うむ。少し気を抜いた方がいいな。クラウなら上手く出来るよ」
今、娘を女伯爵になってもらうように教育中だ。
最後までお読み頂き有難うございました。




