『役立たず』として追放された聖女、追放されて我が王国に来たが活躍しないのだが?
「アルテシア、話がある。前に来てくれないか?」
殿下が異世界から来た女学生を傍らに侍らせ私を呼んだわ。ここは講堂、大勢の学生達の耳目が集まる。
「アルテシアはメルル様を注意したそうだな」
「はい・・・婚約者のいる殿方に近づくなと申し上げましたわ」
「うむ。メルル様が皆の前で言いたい事があるそうだ」
「メルルは~異世界から来たので事情を知らないのん♩男友達が欲しかったのん♩次からは気をつけるのん♩」
弾けるように言う。淡い茶髪で薄いブラウンだ。
珍しい。異界から来る聖女様とは違う色だ。
「芽留留は、日本人とフランス人とのハーフだのん♩」
よく分からない。
実は彼女は隣国ダルク王国に召還された聖女様だったが、スキル判定をしたら『役立たず』だった。これは間違えた。
全く役に立たないと判断され追放されて我が王国にやってこられた。
常識を学ばせるために学園に通ってもらっている。
ジョブ聖女なのに祈りも浄化もできない。魔物が少なくなるという事もない。
だけど、我が王国は王宮に留まることを許可した。何か知識があると判断されたが、
特に別段の新しい知識はない。
「芽留留~教科書ないとわからないのん♩」
「そうか・・・」
我国でも全く役に立たない。
一方、ダルク王国は新たな聖女を召還し、豊作が続き。魔物も減ったそうだ。
更に様々なスキルを持つ異世界人を召還し王国は栄えているそうだ。
我国はほどほどだ。
「のん♩のん♩」
メルル様は全く自然体でいらっしゃる。
「ダルク王国から使者が参りました。黒髪族です」
王宮で大騒ぎになった。転移者だ。男だ。
王宮での礼儀作法が洗練されていない。
理由は、メルル様に会いに来たようだ。
「うわ。本物の木原芽留留だ!」
「のん♩?」
「僕と一緒に魔王討伐行かない?」
「いかないのん♩」
「魔王討伐の栄光を分かち合おう。僕を励ましてくれればいいから、スキル『役立たず』でも気にしないよ」
「つまらないのん♩」
何でもメルル様は異世界では有名な貴族令嬢のようだ。
更に・・・何回か使者が来たが、メルル様は断った。
「芽留留は普通が一番のん♩」
ダルク王国は勇者パーティーを出発させた。
隣国は名を成し更に大国になるであろう。
しかし。失敗。
「勇者パーティー全滅、魔王軍が反攻作戦を企てています」
「な、何だと!」
「我が王国も備えるのだ!」
「「「御意」」」
ダルク王国は大慌て。
魔王軍が侵攻してきた。
次は我が王国に違いない。
国境の砦を固める。
「のん♩のん♩」
更に、魔王軍は死霊の群れを前線に投入した。
その死霊の群れが・・・・
「のん♩のん♩」
「我が王国には来ません。迂回します」
「何と・・・」
更に魔王軍の幹部が気象攻撃を行うが・・・
「のん♩のん♩」
「我が王国は・・・普通です。特段豊作でも無ければ不作でもありません」
「何と・・・微妙にすごいのか?」
さすがに、私はメルル様に問いただした。
「メルル様、貴女の力のせいでなくて・・」
「のん!」
メルル様は異界の格言を話された。
「国乱れて忠臣現れるのん♩家貧しくて孝子顕れるのん♩・・・聖女転移して婚約破棄が起きるのん♩」
「え、何を・・・」
「役に立たない状態が一番なのん♩」
それからも、国周辺で魔王軍と連合軍で戦争が勃発したが、我が王国は不思議と何にもない。
さすがに、メルル様の能力だと分かった。
彼女の能力は『普通』に保つ能力だ。彼女が役に立たない状態が平和で普通なのだ。
ある日、我が王国に使者が来た。
ダルク王国だわ。瀕死の状態だが何とか魔王軍を撃退した。
「追放は間違いだった。我が王国に来ることを命令する」
断るよね。
「わかったのん♩」
えっ、行くの?
それから・・・メルル様はダルク王国で・・・数々の失敗をして。
「メルル、豊作の祈りをしたら不作になったのん♩スキル『役立たず』なのん♩」
「何だと!」
「メルル、ごめんなさいのん♩召喚魔法の魔方陣、間違ってお絵かきしたのん♩」
「な、何だと、古代の魔法だぞ!何故、消えない魔道顔料でワザワザ?」
「なんて、役立たずなんだ!」
また追放され戻って来た。
今、メルル様は隣にいる。
「のん♩普通に保つことが一番むずかしいのん♩」
「また、ありきたりな事を・・・本当は召還魔方陣を消したくて行ったのでしょう」
「のん♩召還がないほうが普通だのん♩」
ずっと一緒にいて欲しいと思う。
最後までお読み頂き有難うございました。




